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最後のチャンス

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ヒロインとは何ぞやを考えている内に、既に卒業式が目前に迫っていた。

あれから、先輩とのメッセージのやり取りはしていない。ホニャララさんともだ。


「お前、最近元気ないよな」
と言う森田は、つい先日、私と同じ私立大学の合格に喜んでいた。

「そうだね……卒業したら私、どうなるんだろうって考えてた」

そう、このゲームは卒業式でエンドを迎える。ハッピーエンドだろうがバッドエンドだろうが、私にはその先が全く読めないのだ。

私って……転生したって事はもう死んでるって事なのかな?なら、戻った所で……。そう考えると詰んだな……としか思えない。

「は?何言ってんの?楽しい大学生ライフを満喫するだけじゃね?それともJKって呼ばれなくなるのが悲しいとか?」
と、森田は私を馬鹿にする様にそう言って笑ったが、私は全く笑えない。

もし……卒業式前日に『AKARI』から連絡が無かったら……そう思うと憂鬱にもなるってもんだ。

「そんなんじゃないよ……。私にだって悩みくらいあるの。あんたと違って」
と私が力なく言えば、森田は、  

「馬鹿にすんなよ?俺にだって悩みくらいある」
と口を尖らせた。こいつ……悩みなんてあったんだ。……モブなのに。

「ふーん。じゃあ、その悩みとやらを話してみなさいよ。私が解決してあげるから」
と私は何の根拠もないが、安請け合いしてみた。
すると、

「お前には相談しない」
と言われてしまった。……森田のくせに生意気な……と、私は某アニメのガキ大将みたいな事を考えていた。


森田とそんな話をした所で私の気分は全く晴れなかった。
そんな鬱々とした日々を過ごす内に、卒業式前日となってしまう。

スマホに目を落とすが『AKARI』からのメッセージは届かない。私は意を決して、自分から『AKARI』へとメッセージを送ろうと画面を開いたその時、『AKARI』からのメッセージを告げる通知が明るく光った。

私は急いでメッセージを開く、そこには
『確か明日卒業式だよね?おめでとう!』
と至ってシンプルな1行が記されていた。

ゲームなら卒業式の後、あの丘で会う約束をする筈なのだが、このメッセージにそんな気配は一切ない。

私は、自ら
『直接会って祝って欲しいな。……どうかな?無理に、とは言わないけど、AKARIのお陰で高校生活を乗り切れたから』
とメッセージを入力する。……何とか私の知っているゲームの流れに持っていきたい。これが最後のチャンスだ。
私は祈るように送信ボタンをタップした。



✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱✱

何と前回更新日から約6ヶ月……作者自身も話の内容を忘れてしまいそうな程に時間が空いてしまい申し訳ありませんでした。
ちゃんと物語の大筋は頭の中にありますので、絶対に完結させます。

こんな作品でも『まぁ、読んでやるか』と思っていただけると嬉しく思います。
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