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第34話
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「ニコルか」
『ノア』……どこかで聞いた事があるような気がする……が思い出せない。
そのノアと名乗った男は私に尋ねた。
「お前は何故ここに連れてこられた?お前の意思ではないだろう?」
「確かに自分の意思ではないわ」
「誰の差し金だ?」
正直、私は迷っていた。この男を信用なんて出来ない。
だが……じゃあ誰なら信用出来るのか?
マギーか?いや彼女は私が偽物とバレないように張り付いているだけだ。王国軍の敗戦が濃厚になった時には……間違いなく私を見捨てて逃げるだろう。
じゃあ、国王か?あれから陛下とは話せていない。彼が何故私を偽物と知りながら……いや、公爵のあの口ぶりでは、元々約束をしていたのではないかと私は予想していた。
『メリッサの代わりを見つけてメリッサ王妃を助ける』それが陛下と公爵との間の密約だったのではないか……と。
私が馬車の中で聞いた公爵の婚約者の話……あれはメリッサ王妃の事だったのではないか……と。
国王にとって王妃がどんな存在だったのか……それは『メリッサがいないこの世への未練はない』という言葉で想像出来る。メリッサという女性は国王と公爵のそのどちらもの心を独り占めしている人物なのだろうと思う。
悩んで黙り込んだ私は徐々に俯いた。その頭に、ノアという黒髪の騎士はそっと触れた。
「大方……ベイカー公爵って所だろうな。言いたくないなら言わなくても良いが、聞くだけ聞いてくれ。……俺がお前を助ける」
そう言われた私は顔を上げる。
「助けるって……どうやって?」
「詳しい事はまだ言えない。だが、困った事が起こったら、俺を頼れ。そしてこの事は誰にも言うな。お前の味方はここには誰一人として居ない」
『味方はいない』そんな事、自分が一番よく分かってる。
「それなら、貴方も味方じゃない」
「味方じゃないかもしれないが、敵の敵は味方だ」
……難しい事を言う。近衛騎士の敵といえばは反乱軍の事だろうか?王国軍が負ければ私はいずれ反乱軍に殺される。だから、味方だと?
「貴方を信用出来ない」
「それも十分分かっている。だが、俺はお前の側にいる。不本意ながら、俺の護衛対象はあの女だった。お前の側に居る理由なら十分にある」
彼はそう言うと、私の頭を撫でながら、
「マギーを信じるな。あれはメリッサの犬だ。ならば俺の方がましだろう?」
とそう言った。
『ノア』……どこかで聞いた事があるような気がする……が思い出せない。
そのノアと名乗った男は私に尋ねた。
「お前は何故ここに連れてこられた?お前の意思ではないだろう?」
「確かに自分の意思ではないわ」
「誰の差し金だ?」
正直、私は迷っていた。この男を信用なんて出来ない。
だが……じゃあ誰なら信用出来るのか?
マギーか?いや彼女は私が偽物とバレないように張り付いているだけだ。王国軍の敗戦が濃厚になった時には……間違いなく私を見捨てて逃げるだろう。
じゃあ、国王か?あれから陛下とは話せていない。彼が何故私を偽物と知りながら……いや、公爵のあの口ぶりでは、元々約束をしていたのではないかと私は予想していた。
『メリッサの代わりを見つけてメリッサ王妃を助ける』それが陛下と公爵との間の密約だったのではないか……と。
私が馬車の中で聞いた公爵の婚約者の話……あれはメリッサ王妃の事だったのではないか……と。
国王にとって王妃がどんな存在だったのか……それは『メリッサがいないこの世への未練はない』という言葉で想像出来る。メリッサという女性は国王と公爵のそのどちらもの心を独り占めしている人物なのだろうと思う。
悩んで黙り込んだ私は徐々に俯いた。その頭に、ノアという黒髪の騎士はそっと触れた。
「大方……ベイカー公爵って所だろうな。言いたくないなら言わなくても良いが、聞くだけ聞いてくれ。……俺がお前を助ける」
そう言われた私は顔を上げる。
「助けるって……どうやって?」
「詳しい事はまだ言えない。だが、困った事が起こったら、俺を頼れ。そしてこの事は誰にも言うな。お前の味方はここには誰一人として居ない」
『味方はいない』そんな事、自分が一番よく分かってる。
「それなら、貴方も味方じゃない」
「味方じゃないかもしれないが、敵の敵は味方だ」
……難しい事を言う。近衛騎士の敵といえばは反乱軍の事だろうか?王国軍が負ければ私はいずれ反乱軍に殺される。だから、味方だと?
「貴方を信用出来ない」
「それも十分分かっている。だが、俺はお前の側にいる。不本意ながら、俺の護衛対象はあの女だった。お前の側に居る理由なら十分にある」
彼はそう言うと、私の頭を撫でながら、
「マギーを信じるな。あれはメリッサの犬だ。ならば俺の方がましだろう?」
とそう言った。
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