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第21話

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私が不思議そうにそのドレスを見ていると、

「いつまでも下着姿で居たいのなら、私は構いませんが?」
とマギーが口にした。

「き……着ます」
私が小さくそう言うと、マギーは

「ではお手伝いさせていただきます」
とまた手早く私にドレスを着せていく。流れ作業の様に無駄な動きのないマギーに、私は感心してしまった。
しかし、貴族のドレスというのは、何故こんなに複雑なのだろう。絶対に一人では着られない服なんて、非効率極まりない。

私は着せられるだけなのに、疲労を感じて着替え終わる頃にはぐったりとしてしまった。
これなら仕事で朝から晩まで働いていた方がマシだと、心からそう思う。

私は着て来た物よりも、更に豪華なドレスの重さに辟易していた。

私がぐったりとしていると、

「あちらの長椅子に腰掛けてお待ち下さい」
とマギーから声が掛かる。

そしてマギーはまた扉の向こうに消えたかと思えば、先ほどまで私が着ていたドレスを身に纏った女性の手を引いて現れた。……あのメリッサと呼ばれていた女性は私の被っていた帽子も身に着けゆっくりと私に近づくと、

「……貴女、ジョシュとはどんな関係?」
と冷たい口調で私に尋ねた。

私は目の前に立つ女性を見上げる。……本当に私に良く似ている。特に……目が。珍しいと思っていたこの瞳の色。同じだ。

「別に……。何の関係もありません」
強いて言うなら『雇い主』だろうか?だが私は公爵家に連れて来られてから今の今まで、何の仕事も与えられていない。

言われるがまま。着せ替え人形の様に着飾らせたかと思えば、王宮に連れて来られて、また着せ替え人形だ。私の方が質問したい。『貴女は誰なの?』と。

「そう……。一つ貴女に言っておきたい事があるの」
メリッサと呼ばれた女性は、さっき公爵様の前で美しい涙を流していた人物とは思えない程の高圧的な態度で、

「勘違いしないでね。貴女は所詮身代わりなの。私の代役。陛下にとっても、ジョシュにとっても。貴女自体に存在価値はない。価値があるのはあくまでも私。それを忘れないで」
と私に言った。

私は彼女の言葉の半分も理解出来なくてポカンとしてしまう。いや、言葉が通じない訳ではない。彼女が何を言っているのか、その意味が全く分からずに困惑する。
身代わり?代役?この人は何を言っているのだろう。


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