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case 鬼 ⑮
しおりを挟む「ここが…ONIGASIMA…鬼がたくさんいるんですよね…」
「何を当たり前の事を。さぁ、行くぞ、兵六さんが待ってる」
「兵六さん?」
「あぁ、連絡したら、紫電の邸で待ってるってさ」
私達は、紫電の邸へ向かう。
ONIGASIMAは私が思うよりずっと近代的だった。
鬼達は、私達が珍しいのだろう、ジロジロと眺めているが、妖怪である事がわかっているので、警戒は怠っていないようだ。
人間がこの島に来る事はない。この島へ入れるのは貞光の血をひく帝だけなのだから。
紫電の邸は昔ながらの日本家屋でかなり立派だ。まるで大蔵の家のよう。
立派な門の前で私達が名乗ると門番は邸から1人の鬼を連れてきた。
鬼にしては小柄だろう。2mぐらいの背丈のがっちりとした鬼が私達を迎えてくれた。
「私の名は雨月。紫電様に仕える者です。大蔵八雲様、凛様でいらっしゃいますね。当主がお待ちで御座います。どうぞこちらへ」
私達が案内されたのは広く立派な応接間だった。
そこには、
「よう!待っとったぞ!」
と軽く手を挙げた兵六さんと、禍々しい紋様に顔中が覆い尽くされた大きな鬼がいた。
これが紫電だろう。きっとこの紋様が無ければ見惚れてしまう程の美丈夫だ。
「私が紫電だ。待っていた。話をしよう」
私達が座布団に座ると、直ぐ様さっきの雨月がお茶を持ってきた。
先に口を開いたのは紫電だ。
「昨日、兵六殿より話を聞いた。私のこれは『呪い』らしいな」
「はい。先日、紫苑さんの姿を拝見させて頂きました。間違いないと思います。
しかし、貴方の様に体中全てを覆い尽くされれば、死に至っていてもおかしくないと思うのですが…」
と私が答えると、
「確かに。この島で死んだ鬼達はこの紋様が体中、所狭しと浮かび上がっておった。きっと私ももう少しで死ぬ運命であろう」
紫電は自分の命であるのに、まるで他人事の様に淡々と語った。
兵六さんは、
「紫電の妖力は普通の鬼の数倍はあるからな。普通ならとっくに死んどるじゃろう。それに、こいつもこうやっておるが、今は話すのが精一杯じゃ。そのせいでこの島の結界も揺らいでおるわ」
「紫苑さんも、紫電さんに何かあれば結界がどうなるかと、心配していました」
と私が答えれば、
「結界は私の妖力で形成されているからな。
この呪いは…多分鬼の妖力を吸い取り増殖していくタイプなのであろう。
病かと思っておったが、呪いと言われる方が説明がつく」
淡々と話しているが、紫電さんの手は微かに震えている。
もしかすると、既に限界が近いのかもしれない。
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