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番外編
番外編・その33
しおりを挟む「クロエただいま!」
「お帰りなさい。お疲れ様でした」
約1ヶ月半ぶりにマルコ様が帰って来た。
セドリックの結婚式の後直ぐに隣国に旅立った彼は、疲れた様子も見せず笑顔で帰って来た。
私も笑顔で彼を出迎える。
やっと赤ちゃんが出来た事を彼に報告出来る。
いつ言おうかな?そう私が考えていると、
「クロエ…何か良い事あった?」
とマルコ様から訊ねられた。
「何で?どうしたの急に」
私は内心『何故バレた?』と思いながらマルコ様の顔を見る。
「どんだけ長い間クロエを見てきたと思ってるの?口…ムズムズしてるよ?」
とマルコ様が笑顔で言った。
急にデレられると恥ずかしいんだけど。
「もう!マルコには隠し事出来ないじゃない。後でちゃんと言うわ。
でもまずは湯浴みして、埃を落としてきたら?その後、夕食にしましょう」
と私が言えば、マルコ様は、
「そうだな。こんな汚れた格好じゃ、クロエを抱き締める事も出来ない。じゃあ、また後でな」
とまた、私をノックアウトする程の笑顔を私に振り撒くと、軽やかに去って行った。
夕食時には隣国でのトラブルについての報告を聞く。まだ妊娠については秘密にしていた…筈なのに…。
「クロエ。支店の話はもう良いだろう。それより、まず俺に言うことがあるだろう?
それに…その事はここに居る皆が知っていて、俺だけ知らない…だろ?」
「な、何故それを?」
私が動揺すると、
「やたらと赤ん坊の荷物が増えてる。それも、あの紋章…陛下からのプレゼントだよな」
…しまった…。片付けてた筈なのに…。
私が後ろのマリアを振り返ると、マリアは小さな声で、
「子ども部屋を今、リフォームしてるじゃないですかぁ。
それで、荷物を隣の部屋に移してたんですけど、廊下に何個か出てたみたいで…。それでバレました」
と私の耳元で囁いた。
私も本当ならマルコ様に1番に報告したかったのだが、妊娠が分かった翌日から、陛下からの贈り物が山のように送られてくるのだ。
広い屋敷だが、それでもちょっとな…と思う程。だから屋敷の皆にもバレた。
まぁ、父もナラも涙を流して喜んでくれたので、それは良かったと思う。
しかし、父があんなに喜んでくれるとは私もビックリだった。
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