67 / 95
帰国⑴
しおりを挟む
今日は、溜まっていた有給休暇を消化させるために休みをとって、買い物を兼ねて1人でブラブラと散歩していた。この間、急な残業で先生とまんぷく屋に行きそびれてしまったので、お昼は久しぶりに寄ってみようかなと、ボンヤリ考えていた。
「すいません。ちょっといいですか?」
キャチセールスだったら嫌だなと思いつつ、顔を向けるとジャケットにジーンズというラフな格好で、大きなキャリーバッグを持った男の人がいた。その後ろには、外国の金髪の男性と小学生くらいの子どもがいる。持ち物からして、旅行者かもしれない。
「この辺に、まんぷく屋っていう、ご飯屋というか定食屋があると思うんですが、ご存知ですか?」
「え、あ、はい」
今まさに、行こうと思ってた所が告げられて、びっくりしてしまう。それにしても、旅行者にも泰輔さんのお店が知れ渡ってるとは……と、更なる驚きもあった。
「ここから先が、ちょっとあやふやで……教えていただけたらと……」
「ボクも今から行こうと思ってたんです。良かったら、一緒に行きませんか?」
「助かります」
そう言ってフワッと笑った顔に既視感を覚える。不思議に思ってると、後ろにいた連れの金髪男性に声をかけられた。
「アリガト ゴザイマス。ヨロシク オネガイ イタシマス」
「あ、はい」
屈託無く接してくる金髪男性にボクの方が、なんだがドギマギしてしまう。
5分ほどの道のりを軽く話しをしながら進む。初めに声をかけてきた日本人男性は旅行ではなく、カナダから5年ぶりの帰国らしい。歳は先生よりは上かなと考えているうちに、まんぷく屋に着いた。
ドアを開けると、昼のピーク時は過ぎたようで店内には2組のお客さんしかいなく、ボクに気づいた夕花里さんが、笑顔で近づいてくる。
「真野くん!いらっしゃ……えっ⁈佑輔さん?」
夕花里さんは、ボクの後ろの人を見て驚きの声を上げたので、思わずボクも振り返ってしまう。そこには、今ボクと一緒に来た2人の男性と子どもがいる。
「久しぶりだね、夕花里。結婚式以来だもんなぁ」
「来る時は連絡して下さいよ~。佑輔さんは、いっつも突然だから。近々帰国することは知ってましたけど、ビックリするじゃないですか」
「あははは。びっくりさせたかったからね~」
2人のやり取りに唖然としていると、厨房から苦虫を噛み潰したような顔の泰輔さんが出てきて声をかける。
「夕花里っ、他のお客様もいるんだから、そんな所で喋ってないで、席に案内」
「真野くん、ごめんな。えっと、カウンターでもいい?」
「あ、はい。大丈夫です……えっと……」
「あぁ、こいつは俺の兄貴だよ。前に少し話したことあったよな」
さっきの既視感は、泰輔さんが笑った時に似てたんだと納得する。
「あーえっと……真野くん?だっけ?ありがとね。泰輔とも仲良いみたいだし、良かったらこっちで一緒に食べない?」
「佑兄と一緒だったら、ゆっくり食べれないだろ」
「あ、大丈夫ですよ。お邪魔でなければ……」
「全然。もう少し君と話してみたかったんだ」
「すいません。ちょっといいですか?」
キャチセールスだったら嫌だなと思いつつ、顔を向けるとジャケットにジーンズというラフな格好で、大きなキャリーバッグを持った男の人がいた。その後ろには、外国の金髪の男性と小学生くらいの子どもがいる。持ち物からして、旅行者かもしれない。
「この辺に、まんぷく屋っていう、ご飯屋というか定食屋があると思うんですが、ご存知ですか?」
「え、あ、はい」
今まさに、行こうと思ってた所が告げられて、びっくりしてしまう。それにしても、旅行者にも泰輔さんのお店が知れ渡ってるとは……と、更なる驚きもあった。
「ここから先が、ちょっとあやふやで……教えていただけたらと……」
「ボクも今から行こうと思ってたんです。良かったら、一緒に行きませんか?」
「助かります」
そう言ってフワッと笑った顔に既視感を覚える。不思議に思ってると、後ろにいた連れの金髪男性に声をかけられた。
「アリガト ゴザイマス。ヨロシク オネガイ イタシマス」
「あ、はい」
屈託無く接してくる金髪男性にボクの方が、なんだがドギマギしてしまう。
5分ほどの道のりを軽く話しをしながら進む。初めに声をかけてきた日本人男性は旅行ではなく、カナダから5年ぶりの帰国らしい。歳は先生よりは上かなと考えているうちに、まんぷく屋に着いた。
ドアを開けると、昼のピーク時は過ぎたようで店内には2組のお客さんしかいなく、ボクに気づいた夕花里さんが、笑顔で近づいてくる。
「真野くん!いらっしゃ……えっ⁈佑輔さん?」
夕花里さんは、ボクの後ろの人を見て驚きの声を上げたので、思わずボクも振り返ってしまう。そこには、今ボクと一緒に来た2人の男性と子どもがいる。
「久しぶりだね、夕花里。結婚式以来だもんなぁ」
「来る時は連絡して下さいよ~。佑輔さんは、いっつも突然だから。近々帰国することは知ってましたけど、ビックリするじゃないですか」
「あははは。びっくりさせたかったからね~」
2人のやり取りに唖然としていると、厨房から苦虫を噛み潰したような顔の泰輔さんが出てきて声をかける。
「夕花里っ、他のお客様もいるんだから、そんな所で喋ってないで、席に案内」
「真野くん、ごめんな。えっと、カウンターでもいい?」
「あ、はい。大丈夫です……えっと……」
「あぁ、こいつは俺の兄貴だよ。前に少し話したことあったよな」
さっきの既視感は、泰輔さんが笑った時に似てたんだと納得する。
「あーえっと……真野くん?だっけ?ありがとね。泰輔とも仲良いみたいだし、良かったらこっちで一緒に食べない?」
「佑兄と一緒だったら、ゆっくり食べれないだろ」
「あ、大丈夫ですよ。お邪魔でなければ……」
「全然。もう少し君と話してみたかったんだ」
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?
こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。
自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。
ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?
専業種夫
カタナカナタ
BL
精力旺盛な彼氏の性処理を完璧にこなす「専業種夫」。彼の徹底された性行為のおかげで、彼氏は外ではハイクラスに働き、帰宅するとまた彼を激しく犯す。そんなゲイカップルの日々のルーティーンを描く。
くまさんのマッサージ♡
はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。
2024.03.06
閲覧、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。
2024.03.10
完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m
今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。
2024.03.19
https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy
イベントページになります。
25日0時より開始です!
※補足
サークルスペースが確定いたしました。
一次創作2: え5
にて出展させていただいてます!
2024.10.28
11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。
2024.11.01
https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2
本日22時より、イベントが開催されます。
よろしければ遊びに来てください。
【R18】気持ちいいのがバレるまで
葉住 純/Hasumi Jun
BL
【注意】
◆R18作品です。18歳未満の方はお控えください。
◆BLです。本当にお気をつけください。
◆4話まで予定しています。
【あらすじ】
ちょっとしたことでも大袈裟なくらいくすぐったがる拓海を見て、奏のイタズラ心に火が点き⋯⋯。
王道です。
【要素】
◆くすぐり
◆寸止め
◆亀頭責め(ちょっと)
【本文抜粋】
(こんな感じで書いてあります)
奏は俺の肩に顔を近づけ、耳元で言う。そしてそのまま俺の首に唇を這わせた。いつの間にか奏の両手は俺の腰に巻きつき、ぎゅっと抱きしめられている。
「ちょっ、まじでくすぐったいんだって」
俺は首を動かし、奏から逃れようとした。しかし奏は
「耳も? 拓海お耳好きだもんね?」
と言いながら、今度は耳に唇を寄せた。
「んっ⋯⋯だから、やめ⋯⋯」
隠れSな攻めの短編集
あかさたな!
BL
こちら全話独立、オトナな短編集です。
1話1話完結しています。
いきなりオトナな内容に入るのでご注意を。
今回はソフトからドがつくくらいのSまで、いろんなタイプの攻めがみられる短編集です!隠れSとか、メガネSとか、年下Sとか…⁉︎
【お仕置きで奥の処女をもらう参謀】【口の中をいじめる歯医者】
【独占欲で使用人をいじめる王様】
【無自覚Sがトイレを我慢させる】
【召喚された勇者は魔術師の性癖(ケモ耳)に巻き込まれる】
【勝手にイくことを許さない許嫁】
【胸の敏感なところだけでいかせたいいじめっ子】
【自称Sをしばく女装っ子の部下】
【魔王を公開処刑する勇者】
【酔うとエスになるカテキョ】
【虎視眈々と下剋上を狙うヴァンパイアの眷属】
【貴族坊ちゃんの弱みを握った庶民】
【主人を調教する奴隷】
2022/04/15を持って、こちらの短編集は完結とさせていただきます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
前作に
・年下攻め
・いじわるな溺愛攻め
・下剋上っぽい関係
短編集も完結してるで、プロフィールからぜひ!
【Dom/Subユニバース】Switch×Switchの日常
Laxia
BL
この世界には人を支配したいDom、人に支配されたいSub、どちらの欲求もないNormal、そしてどちらの欲求もあるSwitchという第三の性がある。その中でも、DomとSubの役割をどちらも果たすことができるSwitchはとても少なく、Switch同士でパートナーをやれる者などほとんどいない。
しかしそんな中で、時にはDom、時にはSubと交代しながら暮らしているSwitchの、そして男同士のパートナーがいた。
これはそんな男同士の日常である。
※独自の解釈、設定が含まれます。1話完結です。
他にもR-18の長編BLや短編BLを執筆していますので、見て頂けると大変嬉しいです!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる