忘れられない思い

yoyo

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悶々⑶

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「はぁ……」

   昼休憩中、パンを片手にため息が出る。

「真野、どうした?今日は、集中できてないみたいだけど」

   隣のデスクに座る都築秋平 つづきしゅうへいが声をかけてくる。都築さんには、教育係として、入社した時から色々と教えてもらっていた。年も2歳しか違わなく、同期のいないボクにとって、社内で一番親しく、話しやすい人だった。


「すいません……ちょっと考えごとしちゃって……」

「なんだー?恋煩いか?」

「いや……別に……そういうんじゃ……」

「ふーん。頭の中だけで、ウジウジ考えていても、何かアクションを起こさないと何にも変わらないぞ」

「うっ……そうですよね……。た、たとえばですけど、すごく年上でずっと憧れてた人がいて……」


   都築さんがニヤニヤ、ボクの顔を見てくる。

「たとえばですよ!たとえば!!」

「はいはい」

「その時の気持ちって、憧れての純粋な尊敬の気持ちだけなのか、恋愛感情なのかわかんなくなることって、あるんですかね……」

「うーん。深く考えすぎなんじゃない?別々に考える必要はないと思うんだけど……まぁ、最終的には欲情するかどうか。キスとかエッチがその人とできるかどうかなんじゃないか」


 キス……先生とキスをする……。
 今朝の夢を思い出して、カーッと顔が熱くなって俯く。


「あれ?何か想像しちゃった?ウブでカワイイねー真野は。でも、想像してそんな顔しちゃうなら、もう十分に好きなんじゃない?」

 そして、やっぱりニヤニヤ笑いながら、都築さんは「どんな人?」なんてからかってくるから、トイレに逃げ込んだ。


 はぁ……ボクはやっぱり先生のことが好きなんだろうか……。
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