忘れられない思い

悶々⑵

   ４月に先生と再会したあの日から、ずっとおかしかった。先生は、高校の頃から、気になっていて特別な存在だった。でも、それはいつも周りに慕われていて、自分に持ってないものをたくさん持っていて、だけど何もないボクのことも見てくれる……。

   尊敬や憧れの感情だと思っていた。


   再会してから、会うたびに胸が高鳴って〝憧れの先生だから〟と思い込もうとしたけど、本当にそうなんだろうか……。
   最近、先生とご飯を食べるようになって、今までよりずっと親しくなれたのに、もっともっと知りたいと貪欲に思う自分がいる。


   自分は一体どうしたいのだろうか……。
   どうなりたいのだろうか……。

   答えが見つからないまま悶々と先生のことを考える日々が続いた。


   先生のことが好きなのだろうか……と思うものの〝でも、ボクも先生も男じゃないか……〟〝ボクは男が好きな訳じゃない……〟という思いから、打ち消しては、また悶々としてしまう。


   実際、大学の頃は、女性と付き合っていた。告白されて付き合うことになったが、普通に可愛いと思っていたし、好きという感情もあった。それに、恋人同士がやる一通りの行為は、全て経験もしていた。