神さまのレシピ

yoyo

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クリスマス⑶

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   ふぁ~と何度か欠伸が漏れると、朝の検温をしに来ていた湖城に「眠れなかった?」と聞かれた。数日前に、たまたま耳にした看護師達の話が頭をグルグルして、ここ2、3日なかなか寝付けなかった。

「なんかまた、不安なこととかある?」

   心配そうに下がった眉毛の顔を向けながら、血圧を測るために颯の手を取って湖城が聞いてくる。

   “担当外されそうになったのって僕のせいですか”

   ずっと頭に占めている言葉だ。目の前にいる張本人に聞いてしまおうかと一瞬、口を開きかけたけど、看護師という立場上、聞いても素直に教えてくれるはずもなく、余計に湖城を困らせてしまうのでなないかと、出かけた言葉を飲み込む。

「湖城さん……から借りてた漫画が面白くて……ちょっと夜更かししちゃいました」

「その気持ちはわかるけど、夜はちゃんと寝ないとダメだよ~。それじゃないともう貸してあげないよ~」


   へへっと作った笑いで謝ると「素直でよろしい」と頭に湖城の手が乗る。だけど、その心地いい重みは波のようにすぐに引いて、湖城は次の患者のところに行ってしまった。些細な湖城の行動に胸がときめく反面、颯に構うことが湖城にとってあまり、よくないことなんじゃないかと苦しさに変わる。
   もっともっと自分のことを見て欲しくて、話がしたくて、一緒に居たいという気持ちと、これ以上迷惑はかけたくないという気持ちがぶつかり合ってぐちゃぐちゃな状態だった。

   湖城のことが好きだと自覚してから、初めは自分のこんな気持ちは邪なものだから、入院している間だけひっそりと思っていようと思っていたのに、日を追うごとに、それだけじゃ満足できない自分もいた。顔が見たい、話がしたい、触れてほしいし触れたいと、邪な気持ちはどんどんと膨れ上がっていった。
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