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リエゾン⑵
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「佐竹さん……颯は病室にいますか?」
声の方へ顔を向けると颯の叔母である野山涼風がいた。ほぼ毎日、病室に顔を出しているので、すっかり顔見知りになっている。
「あ、野山さん。こんにちは。颯くん……病室にはいますけど……ちょっと頭痛いって布団かぶってます」
オレも涼風も颯の頭痛が精神的なものであることに察しがついていたので、目を合わせて苦笑してしまう。
「あのっ……佐竹さん、今少し時間ありますか?」
涼風を面談ルームに案内する。病状の説明をしたり、家族の相談を聞くために使う部屋だ。最近の颯の落ち込み具合について、オレも話したいと思っていた。
「何か……ありましたか?」
「佐竹さんと一緒に星を見に行ってから、少し元気になってきたと思ってたんですけど……ご存知の通り排泄面での失敗が続いて、また前みたく塞ぎこむようになっちゃって……。初めはリハビリもすごく頑張ってたんですけど、最近は全くやる気もなくなってるみたいで……」
「それは、オレも気になってました。それに、トイレに行く回数もかなり増えていて、神経因性膀胱の症状というよりも、精神的な部分が大きいように思います。今の状態だと症状も良くならないし、悪循環になってしまっていると思ってます。今、主治医とも相談して精神科ともリエゾン……あ、連携していこうかという話になっています。」
今朝のミーティングで、颯の精神科とのリエゾンの話が進んでいた。この病院には、精神科の外来はないけど精神科医がいて入院患者の精神的なサポートをしている。精神科医の吉志幸司は、吉志が研修医のとき湖城もまだ看護師になって1年目で内科で半年ほど一緒に働いていた。立場は違ったけど同じ1年目同士仲良くなった。だけど、科が違うこととお互い忙しかったことで、ほとんど会うこともなくなっていたから、今回颯のリエゾンで、久しぶりに会うことになる。
声の方へ顔を向けると颯の叔母である野山涼風がいた。ほぼ毎日、病室に顔を出しているので、すっかり顔見知りになっている。
「あ、野山さん。こんにちは。颯くん……病室にはいますけど……ちょっと頭痛いって布団かぶってます」
オレも涼風も颯の頭痛が精神的なものであることに察しがついていたので、目を合わせて苦笑してしまう。
「あのっ……佐竹さん、今少し時間ありますか?」
涼風を面談ルームに案内する。病状の説明をしたり、家族の相談を聞くために使う部屋だ。最近の颯の落ち込み具合について、オレも話したいと思っていた。
「何か……ありましたか?」
「佐竹さんと一緒に星を見に行ってから、少し元気になってきたと思ってたんですけど……ご存知の通り排泄面での失敗が続いて、また前みたく塞ぎこむようになっちゃって……。初めはリハビリもすごく頑張ってたんですけど、最近は全くやる気もなくなってるみたいで……」
「それは、オレも気になってました。それに、トイレに行く回数もかなり増えていて、神経因性膀胱の症状というよりも、精神的な部分が大きいように思います。今の状態だと症状も良くならないし、悪循環になってしまっていると思ってます。今、主治医とも相談して精神科ともリエゾン……あ、連携していこうかという話になっています。」
今朝のミーティングで、颯の精神科とのリエゾンの話が進んでいた。この病院には、精神科の外来はないけど精神科医がいて入院患者の精神的なサポートをしている。精神科医の吉志幸司は、吉志が研修医のとき湖城もまだ看護師になって1年目で内科で半年ほど一緒に働いていた。立場は違ったけど同じ1年目同士仲良くなった。だけど、科が違うこととお互い忙しかったことで、ほとんど会うこともなくなっていたから、今回颯のリエゾンで、久しぶりに会うことになる。
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