皐月くんが男好きだと僕だけが知っている

南峰祐樹には「愛」が見える。例えば、そこらで手を繋ぐ男女が歩くと、双方、でなければ片方から赤色のハートが生まれる。また友人同士、恋愛以外での愛情は、黄色のハートマークとして現れるのだ……。

高校二年生の彼は同性愛者だ。中学の頃から多くの恋を経験してきた。しかし、愛が見える彼にとって、その恋に望みはなかった。その理由など言うまでもない。

転機がやってきたのは高校生になって初めて進級したとき。同じクラスになった西館皐月が、異常なほどの赤い愛をばら撒いているではないか。それも全部、男子に。
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