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第一話〈手紙〉
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〈那峰 ひより から、大好きなお師匠さまへ。~近況報告〉
拝啓。
お師匠さま、お元気ですか?
私は元気に過ごしています。
本当はもっと早く、お手紙を出したかったのですが、慌ただしい日々に追われ、今頃になってしまいました。
お師匠さま……。
私は三ヶ月ほど前、晶蓮城の統司宮より移動を命じられ、戦闘師団の〈糧給支部・厨房班〉に配属になり、さらにそこから第九班隊の専属賄い係に出向となりました。
突然のことだったので、正直とてもとても焦りました。
私のような闘魄の低い仙者が、護闘士部隊の皆様のご飯係りが務まるのか。
最初は不安でいっぱいでした。───でも。
胸に刻んだお師匠さまの教えを、日々思い出しながら、なんとか頑張って、毎日美味しいご飯を作るよう心がけています。
私の出向先、第九班隊は、隊長が 嵯牙黎紫という方で、通称「嵯牙班」と呼ばれています。
隊員は現在五名。九班の寮で共同生活をしています。
意外と少なくて驚きました。そして嵯牙隊長は………あ、隊長のいろいろは書くと長くなるので、また次の機会にします。
隊長のことよりも!
お師匠さま、嵯牙班には隊長の妹さんで玲亜さんという方がいます。
彼女は本来、七班隊員なのですが、私が早く班に慣れるよう指導係という名目で、臨時要員として嵯牙班へ来てくださった方なのです。
ただでさえ戦闘師団内での女性人員は少ないので、いろいろ教えてくださる玲亜さんに、私はいつも助けられています。
美人で優しくて、そして強くて。
私のような者に「友達になろうね!」と言ってくださいました。
とてもとても嬉しかったです!
嵯牙班の隊員の方々も、最初は皆とても怖かったけれど、最近は少しずつですがようやく慣れてきました。
まだまだ覚えることもたくさんありそうですが、ようやく三ヶ月が過ぎ、こうしてお師匠さまにお手紙を書く時間も作れるようになりました。
もうすぐ、春ですね。
暖かな季節になるのが待ち遠しいです。
では、風邪などひかないでくださいね!
またお便りします。
春近し 三月。
花甘雨の頃にて。
那峰 ひより
拝啓。
お師匠さま、お元気ですか?
私は元気に過ごしています。
本当はもっと早く、お手紙を出したかったのですが、慌ただしい日々に追われ、今頃になってしまいました。
お師匠さま……。
私は三ヶ月ほど前、晶蓮城の統司宮より移動を命じられ、戦闘師団の〈糧給支部・厨房班〉に配属になり、さらにそこから第九班隊の専属賄い係に出向となりました。
突然のことだったので、正直とてもとても焦りました。
私のような闘魄の低い仙者が、護闘士部隊の皆様のご飯係りが務まるのか。
最初は不安でいっぱいでした。───でも。
胸に刻んだお師匠さまの教えを、日々思い出しながら、なんとか頑張って、毎日美味しいご飯を作るよう心がけています。
私の出向先、第九班隊は、隊長が 嵯牙黎紫という方で、通称「嵯牙班」と呼ばれています。
隊員は現在五名。九班の寮で共同生活をしています。
意外と少なくて驚きました。そして嵯牙隊長は………あ、隊長のいろいろは書くと長くなるので、また次の機会にします。
隊長のことよりも!
お師匠さま、嵯牙班には隊長の妹さんで玲亜さんという方がいます。
彼女は本来、七班隊員なのですが、私が早く班に慣れるよう指導係という名目で、臨時要員として嵯牙班へ来てくださった方なのです。
ただでさえ戦闘師団内での女性人員は少ないので、いろいろ教えてくださる玲亜さんに、私はいつも助けられています。
美人で優しくて、そして強くて。
私のような者に「友達になろうね!」と言ってくださいました。
とてもとても嬉しかったです!
嵯牙班の隊員の方々も、最初は皆とても怖かったけれど、最近は少しずつですがようやく慣れてきました。
まだまだ覚えることもたくさんありそうですが、ようやく三ヶ月が過ぎ、こうしてお師匠さまにお手紙を書く時間も作れるようになりました。
もうすぐ、春ですね。
暖かな季節になるのが待ち遠しいです。
では、風邪などひかないでくださいね!
またお便りします。
春近し 三月。
花甘雨の頃にて。
那峰 ひより
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