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*幻滅された…
しおりを挟む「部長、俺に幻滅されたくなくてこのお腹隠してたんですか?」
撫でる様に優しく触れる伊澤の手はどんどん上に上がって来る。
「え、やっ…なに…」
手が頬に添えられ、もう一方の手で腕をのけられていきなり入って来た光に目をしかめる。
「なにそれ、なんでそんなに可愛いことするんです?」
「えっんぅ?」
光に慣れていない視界がボヤける中で近付いていた伊澤の顔と唇、口先に感じる柔らかい感覚。
「んん、なんでキス…んぁ」
「なんでって、こんなに可愛いことされて我慢なんて出来ないでしょう。」
私は今伊澤とキスしてるのか?現実?本当に?
信じられなくて薄っすらと目を開けると、いつもの甘い顔立ちでニッコリ笑っている面影はなく、獲物を捕らえるかの如く、熱を孕んだ瞳に射抜かれる。
「んっあぅ…ふっあ…」
私のことをそんな目で見てくれるのか?私の勝手な妄想じゃなくて?
いきなりのことで力が入っていた腕は伊澤の手によって壁に縫い付けられている。でも、夢でもなんでもこんな嬉しいことを拒むなんて私には出来ない。
そう思うと身体は正直で、全身の力が抜けていく。
拘束の意味をなくした伊澤の手はイタズラに私の身体を這う。私の身体を求めてくれている…のか?
「あっ」
女性と比べると控えめな胸の頂に伊澤の指が触れた瞬間、腰を逸らしてしまう。
「部長…いや肇さん、そんなに可愛い反応されると俺止められないんですけど…」
「止めないで、欲しい。もっと…」
これは都合のいい夢なのかもしれない。そう思うと、正直な気持ちが口から出てしまう。
「ッ!…はぁ~ちょっと待っててください。」
そうすると、伊澤は溜息をついて部屋から出て行ってしまった。私、ガッツきすぎた?
キモチワルイと思われたのかな…
「(やってしまった…どうして私は…)」
急に熱が無くなった身体は疼いて仕方がないのに、胸のあたりからじわじわと嫌な感覚が広がる。
「肇さん、お店を出ましょうって…なんで泣いてるんですか?!」
「だって、君に嫌われっ幻滅された…ガッツいてキモチワルがられた…」
「あらら、肇さんそんなに泣くぐらい俺が好きなんですか?」
「…うぅ、好き!好きなんだ…私は一回り以上も年上でオジサンだし、こんなにだらしない身体して…でもどうしようもなく君が好きなんだ。」
「ッ!それは反則…」
ガバッっとさっき乾かしていたベストを頭からかけられ、足早にお店を出る。
「ちょっと待って!どこに…」
そこまで出て、言葉を止める。目の前にはピンクの建物があるから。
「すみません、近くにちゃんとした建物がなくて…」
伊澤はそれだ言うと私の腕を引っ張って中に入ってしまう。すると、もちろん私も強制的に入ってしまうわけで…
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