上 下
136 / 149

見ててね?

しおりを挟む



ある日の生徒会室で絶叫が響き渡った。もちろん絶叫したのは俺、来見颯。

なんでも会長が栄人クンに告って秒で振られたとか…

振られたことにも驚きだけど、いつも間に告ったんだ。ってか抜け駆け禁止!
一先ず会長が振られたことに安堵したものの、会長が自分のこと好きって知ったら意識しちゃうんじゃ…
そう思って焦った俺はテスト期間とか無視して栄人クンを連行しにクラスまで赴いた。


栄人クンの腕を引いて着いた先は屋上。2人だけになりたかったし、俺のお気に入りの場所だったから…
栄人クンにせかされ、本題に止む無く入るも…


「もっちのろんだよ~あのねぇ~……」



なかなか言葉が出てこない。こんなはずじゃなかったのに…もっとカッコよく告白したかったのに…
でも好きって言葉が出てこなくて…時間がたつとともに余計に恥ずかしくなって顔に熱が集まるのを感じる。


俺に告白してくれた子たちもこんな思いだったのかと、ふと気づかされた。

「あの、オレ…栄人クンのことが…栄人クンのことが好きなんだ。初めて本気になれたんだ。遊びもやめて、勉強も生徒会の仕事も頑張ってカッコいい所見せたいって思ったのも、俺だけ見てほしいって思ったのも、この人じゃなきゃダメだなって思ったのも…全部初めてで…どうすればいいか分からなかったけど、この気持ちに嘘はないから…あの、オレとお付き合いしてくれませんか?」


勇気を振り絞ってやっと出て来た言葉は、ちぐはぐで…全然カッコついてなくて…もっと伝えたい事いっぱいあるのに…それでも真剣に受け止めてくれたのだろう栄人クンは真剣な表情で……

「会計…いや颯先輩、本気の気持ちってやつを疑ってないんですけど、ごめんなさい。」

そう言った。今まで会計ってオレのこと呼んでたのに…今名前で呼ぶとか反則…

「…ぁ……その好きな人がいるの?」

口から情けない声が出たけど、今は気にしてる暇なんてない。縋りつく様にでた質問は誰から見ても未練たらたらで…昔のオレが聞いたら鼻で笑われそう。

「いえ、そういうわけでは…」

「…未練がましくてごめん。理由を聞いてもいい?」

「颯先輩のことは先輩として好きです。でも俺、恋愛的な意味で好きじゃないと付き合うことが失礼だと思って…」

栄人クンらしく、誠実で優しいと思った。でも、そんなことを言われたら諦めきれない。だから同時に残酷だとも思った。諦められないし、忘れられない。

「じゃあ、俺のこと恋愛的な意味で好きになったら付き合ってくれるってこと?」

ズルい聞き方だと思う。でも、少しの望みがあるのならそこに賭けたいと思うほどにオレは君溺れてる。

「そう、ですね…」

「分かった、なら仕方ないね!でも俺諦めないから。良い男になるから見ててね♪」

当たって砕けてもいい。でも、砕ける前にもっといい男にならないと。そう思える人に出会えたオレは幸せだと思った。

オレが頑張るのはこれからなんだ。だから、見ててね?愛しい人。




しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

ちょろぽよくんはお友達が欲しい

日月ゆの
BL
ふわふわ栗毛色の髪にどんぐりお目々に小さいお鼻と小さいお口。 おまけに性格は皆が心配になるほどぽよぽよしている。 詩音くん。 「えっ?僕とお友達になってくれるのぉ?」 「えへっ!うれしいっ!」 『黒もじゃアフロに瓶底メガネ』と明らかなアンチ系転入生と隣の席になったちょろぽよくんのお友達いっぱいつくりたい高校生活はどうなる?! 「いや……、俺はちょろくねぇよ?ケツの穴なんか掘らせる訳ないだろ。こんなくそガキ共によ!」 表紙はPicrewの「こあくまめーかー😈2nd」で作成しました。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい

椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。 その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。 婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!! 婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。 攻めズ ノーマルなクール王子 ドMぶりっ子 ドS従者 × Sムーブに悩むツッコミぼっち受け 作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

ヒロイン不在の異世界ハーレム

藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。 神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。 飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。 ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?

学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――

天海みつき
BL
 族の総長と副総長の恋の話。  アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。  その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。 「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」  学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。  族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。  何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。

風紀“副”委員長はギリギリモブです

柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。 俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。 そう、“副”だ。あくまでも“副”。 だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに! BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。

処理中です...