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尊サイド
しおりを挟む放課後特にすることもなかったから帰ろうとしたら栄人がホスト教師に呼ばれていたから、気になって待ってただけ。
中々帰ってこないから心配して見に行ったら、教室の前で百面相している栄人を見つける。
バレないようにソッと近づき、耳元で話しかける。吐息多めで。
「……何のぞき見してんの?」
「ッ!!!」
予想通りの反応に楽しくなるが、やり過ぎると後が怖いのでこの辺にしておく。
聞けば教室に体操着を忘れたけど、おせっせの真っ最中で諦めようとしていたと。これは俺の出番だ。颯爽と体操着を持ってきて良いところを見せるチャンス!
萌えを近くで見られるし一石二鳥じゃん。
別に気まずくなっても俺は気にしないし余裕余裕。
ガラッ
「はぁ~体操着忘れるとかツイてない。」
如何にも今来ましたよ風を装って教室へ入る。
教卓のところで委員長とモブが抱き合っているのが目に入る。へぇ、委員長ってあんな感じになるんだ。受け要員だとは思ってたけど、なかなか…俺のイメージは爽やか君だからそこは崩さず、心の中では目の前の萌えを楽しむ。これで俺が出て行ってから盛り上がってくれたら最高。
とか思いつつ、栄人の体操着を探す。
「あ、ごめん。すぐ出るね。」
お目当ての体操着を見つけて早々に教室を出ると、栄人が頬をうっすら上気させているのが目に入る。
「ほい、ご所望の体操着。」
「ありがとう、悪いな。」
「いや?良い顔見れたし、問題なし。…それで?そのちょっと赤らめた頬は照れちゃったの?」
可愛くて思わず指摘しちゃったのはしょうがいない。
「…悪いかよ。お前みたいに変態じゃねぇの。」
「何それ、可愛いかよ…」
そっぽを向くようにして言っても可愛いだけ。心臓がギュゥ~ってなって、思わず抱きしめてしまう。
「もう~ほんとそういうところ。自分がえっちなことするのは妙に慣れてる感じなのに、人の見ると照れるとか…俺をどうしたいわけ?ギャップがたまらん。」
普段生徒会のメンバーたちにはキスとかしてるくせに、こういう時照れるとか何?俺をどうしたいわけ?もうダメだわ、俺我慢できない。
「ねぇ、栄人?」
いつもの爽やかでも、変態でもない俺が出てることは自覚してるけど取り繕うことは出来ない。名前を呼んで、頬に手を添えてこっちを向かせると黒く濡れた瞳が俺を射抜く。そしてほのかに色づく唇は俺を誘ってくる。男尊…これはゴーサインだ。自己完結して顔を近づけると、栄人がタジタジと逃げ腰になる。そんなところも可愛いけど、ごめんね栄人。今日は逃がせてやれない。
「ダメ…?」
少し切なげに見つめると観念したように栄人がこっちを見ながら言葉をこぼす。
「ズルい…」
「ズルくても何でもいい。ねぇ、こっち向いて?」
君を捕まえるためなら今はズルくても何でもいい。
観念したように、目が合う。許しが出たと思って、今度こそはと顔を使づけるとギュッと目を瞑る栄人。
「…ふっ、そういうところも…」
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