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己との闘い

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「ふわぁ~生き返る~五臓六腑に沁みるわぁ。」

今オッサンみたいなこと言ったの誰かって?俺でーす!
久しぶりの温泉に大満足な夜須川栄人です。

「栄人がそんなに温泉好きだなんて知らなかったな。」

「確かに、うちの温泉を気に入っていただけて私も嬉しいです。栄人君なら大歓迎ですのでいつでもいらしてください。」

会長の呟きに同意した悠希先輩にちゃっかり売り込みをされながら、ゆっくりとした時間が流れる温泉を楽しむ。
それにしても…と先ほどから考えてることがある。みんな体格良すぎじゃね?

悠希先輩とか瑠季ってそんな体育会系みたいなイメージなかったけどしっかり細マッチョだし、会長と宗也に関してはガッチリとしたシックスパックが付いてる。会計はその間的な?

自分の身体が貧租に見えてショックを受ける。えぇ~瑠季は俺と同類だと思ってたのになぁ。

俺は日焼けしたくなくて色が白いからか余計に残念に見えてくる。ちぇ、帰ったらちょっと筋トレでもしようかな…帰ったらと言ってる時点でやる気ないんだけど。



そんな俺のことなんていざ知らず、俺の身体に釘づけになっている人がいるとは思ってもみなかった。





――――――――

「ヤバッ、俺違う意味でのぼせるんだけど、どうしよう。」

「うるさいですよ、颯先輩。」

興奮気味に言う会計に対して冷たくあしらう宗也も内心気が気でなかった。

それもそうだ。制服を着ているだけでも色気ムンムンの栄人が真っ白な肌を紅く染め、艶めいた肩や膝首筋を惜しげもなく晒しているのだから。加えて火照った頬と蒸気で潤んだ瞳で見られたら朝日は拝めないかもしれない。

生徒会はそんな覚悟で自分の理性と闘っているのだ。そんなこととは知らずに、自分たちの身体を羨ましそうに目をキラキラさせて凝視してくる栄人に誘っているのかとさえ思う。

コソコソ話で自分の中にある興奮を爆発させる前にぶちまけようという作戦なのだ。

あの栄人の綺麗な裸体を合法的に拝める機会はそうそうないのだから目に焼き付けておきたいと思いつつも、見ていると変な気を起こす自信があるのだ。みんな涼しい顔をして己の欲望と全力で闘っている最中だ。

今、栄人以外の気持ちは早く終わってくれと思いつつも永遠にこの時間が続けばいいのにと言う矛盾で混沌と化していることだろう。

果たして、その気持ちに栄人が気づく日が来るのだろうか。




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