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可愛い所
しおりを挟む「可愛いなぁ。」
…………………えっ?
寮長の口から出た言葉に俺は自分の耳を疑った。いや、いったん落ち着こう、うん。深呼吸して口から出そうなのをこらえ、もう一度自分の中で思い出して
「えっ?」
今度は思い止めれず出ちゃったよ。出ちゃったものは仕方ない。戻せないし。
「ぁっ…」
俺の「えっ?」が聞こえたのか寮長はハッ!っとして手を口元に当てカァぁッと顔を赤らめさせた。
ちょっ待って待って、「ぁっ」って寮長が言ったの?純粋な女子高生が机から落ちたものを取ろうとして、隣の席の好きな人と手が触れちゃった時みたいな声(勝手な偏見です)出して、あの気だるげな色気どこ行った?
耳まで赤くしてるし、こういうの慣れてそうなのに…もしかして言うつもりなくて思わず出ちゃった言葉を本人に聞かれてた的な?それだったら絶対恥ずいわ~え?他人事みたいって?他人事だしね~
「こっち見るんじゃねぇよ。」
プイッと顔を背けて俺の目を隠そうとする寮長だが、素直に隠されてやるほど俺は大人しくない。と言うよりレアな寮長をもっと見ておきたい。
ってか耳まで赤くして突き放そうとする言葉とか、テンプレのツンデレじゃん。色気が爆発してるアブナイ人かと思ったら可愛い所もあるんだね。
「寮長も可愛い所もあるんですね。」
したり顔でそう言うと、寮長は限界突破したのかと思うほどに真っ赤にしていた。今のどこに照れる要素があった?
「うるせぇ…」
覇気がない。まぁこれ以上は顔が赤すぎて寮長の身体に悪いような気がしてきたから、撤収しよう。後が怖いし、寮長が立ち直る前に俺は立ち去る。
「寮長の意外な一面を見れたんで、案外寮長の部屋に行くのも悪くないですね。色々とゴチソウサマでした♪」
そう言って部屋を出る。最後の言葉が寮長へのトドメになっていたとは露にも思わず。
「攻めは逆に攻められるのに案外弱いのか?新しいとこを知った!」
と呑気なことを考えていた。
「ッ!いや、エロ可愛すぎだろ……はぁ~俺の理性頑張った……」
部屋の中には寮長の呟きが誰にも聞かれることなく消えていく。
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