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結果発表
しおりを挟む風紀室へ行った日、俺は夢の中へ飛び立ってしまったため何があったかあまり覚えておらず輝樹先輩と会うのがちょっとばかし気まずかった。っていうのも、昨日目が覚めると、いつもの意地悪そうな顔ではなく飛び切り甘く優しい表情をした輝樹先輩が目の前にいて…ちょっと照れちゃってそのまま勢いで部屋を出て来てしまったからだ……
でも、今日はテストの結果発表の日。上手くいけば会うことないよね。
そう思いながら尊たちを廊下に張り出された順位表を見に行く。この学園では上位100位の点数と名前を張り出すらしい。
「さーて?外部からの転校生の栄人君は何位なのかな?」
「変態うざい。」
おちょっくった口調の尊を徹に任せて、俺は無視しつつ順位表に目を向けると……
「あ、あった。」
「え!どこどこどこ?」
「上から見た方が早い。」
「ほうほう、上から……って一番上じゃん!!」
「栄人すげぇな!かっけぇ!」
俺より興奮気味な尊と徹になごみながらその場を後に……したかった。
「栄人、1位だなんてやるな。」
俺はこの耳心地の言い低音ボイスはよーく聞き覚えがある。と言うか、昨日嫌と言うほど聞いたのだから、振り返りたくない。
「そ、そうですかね~ありがとうございます?じゃあ俺ここで失礼しますね。」
先手必勝逃げるが勝ちだ。
「おいおい、そんな顔も見ずに行ってしまうなんてずいぶんひどいな。」
寂しそうな声色が聞こえてきたから振り向いたのがいけなかった。目が合った瞬間ニヤリと笑う輝樹先輩のが…
「昨日はどーも?腰は大丈夫か?」
「えっ?腰って?どーゆーこと??」
鼻を押さえながら興味津々で聞いてくる尊を軽くあしらい、誤解を生む聞き方をする輝樹先輩をじろりと見上げる。
「ソファーで寝ちゃったんで多少腰に違和感ありますけど、痛くはないんで大丈夫です。わざわざご心配ありがとうございます。」
とげとげしく言い放つも楽しそうに笑うこの人には効果無さそうだ。
「はは、そうか、それは良かった。折角1位とったんだ。今度俺から何かご馳走してやろう。」
そう言って、俺の頭を撫でてから踵を返していった。
何がしたかったんだ?あの人。
周囲の人たちが輝樹先輩の様子に困惑してるけど知らんぷりをする。
「え・い・と・くーん!」
ドンッという小さな衝撃とともにギュッと誰かに抱きしめられた。
「1位なんてすごいねぇ。僕この学園で初めて負けたよ~。」
今まで教室に来てなかった二人が今日から俺の為に来てくれるようになって早速絡まれた。
「へぇ、これまで瑠季が1位だったのか?」
「そうだ、それで俺が2位だった。会長に教えてもらったのに…順位が落ちた…」
宗也あくまで会長ベースで世界が回ってんね。一つ落ちただけでそんなに落ち込まなくても。
なんか俺が悪いことをした気分になる。
「はいはい、みんな教室戻れよー予鈴なるぞ。」
廊下でたむろっていた、もとい順位を確認して喜んだり、落ち込んだりしていた生徒たちに対してシッシッと掃けてくる担任が見えたが無視してもバチは当たらないと思うんだけど…だって今日だけでもう色んな人と会ったんだけど…
そう思って160㎝後半の瑠季に176㎝の俺が隠れる様に教室へ戻ろうとしたら…
「お~栄人テスト頑張ったご褒美だ。」
思いっきり見つかって飴を口に放り込まれた。舌の上で転がすと
「あ、イチゴみるく…ありがとう先生!」
俺の大好きなイチゴみるく!満面の笑みでお礼を言って足早に教室へ戻った。
「っ!なんだあの笑顔は……かわいい…」
そう呟かれていることも知らずに…
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