【完結】引きこもり陰キャの僕が美形に転生したら

リアンサイド⑴

『いっそのことここで命を絶ってみるとか…なんていくら僕でもそんな』

役員の部屋に籠るために何か飲み物を取ってきてから廊下を歩いていた時、見慣れた愛おしい後ろ姿を見つけて中庭へ吸い込まれるように足が動いていた。

近づくにつれて憂いを帯びた横顔が美しくて目が離せなくなった。これ以上、私が近づいてもいいものなのか、私と一緒にいることでこの美しい存在を汚してしまいそうで怖くなるほどに現実離れした美貌。

そう考えていると自然と進んでいた足が止まる。

そしてじっと見つめていた時だった。彼から零れた一言に再び足が動いたのは。

思わず詰め寄り、自分よりも幾分の華奢な肩を掴んだ。こんなに荒々しく接したのは初めてだ。
自分でもどうしようもなく抑えられない衝動で、その言葉の意味をどうしても聞かないと、そして彼を、ディを掴んでおかないとどこかに行ってしまいそうで…私から離れるのはダメだ。

『じょ、冗談ですよ…い、痛いので離してください。』

そう言われてハッとする。

初めて手を振り払われた。いや、それ以上にディのこんな表情…私を怖がっている？