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推しとの……⑴
しおりを挟む「ディディエ様。」
廊下で呼ばれて振り返ると、そこには久しぶりの推しの姿が。
「アダム先生…」
「大変だったとお聞きしました。」
真剣な顔してゆっくりと近づいて来る。一歩一歩…
大変…大変かぁ…確かに大変だったかな…でも
「大変…ではあったかな…でも何も無かったですよ!この通り大丈夫です!」
「ディディエ様、本当に大丈夫な人は大丈夫とは言わないんですよ。」
「それは…」
鋭いアダム先生からの返答に言葉が詰まる。
「場所を変えても?」
「…?」
いきなりの提案に頭の中でハテナを浮かべながらも、その後ろをついていく。
「こちらへ。」
「ここは…」
「準備室です。誰にも聞かれたくない話でも大丈夫です。」
ついていった先には、チョコレートブラウンの重厚な扉が。
中に入り進められるがままにソファーへ座る。
「何があったのかは聞きません。でもしんどい時は頼ってください。」
「アダム先生…」
切実に懇願しているような表情でそんなことを言われたら、言わない選択肢なんてなくなってしまう。
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