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こっちが夢じゃないよね…⑸
しおりを挟むパンっ
「さ、辛気臭い話はここまでにしてご飯にしましょう。皆お腹空いてるわよね。」
お母さまが手を叩いてその場の空気をかえてくれる。
「なんてったって、ディが目覚めるまで食べのもが喉を通らないって言って皆何も食べなかったんだから。それ、ディもずっと眠ってたし、お腹空いてるでしょう?」
「お母様!それは言わない約束…」
「あら、ユーリ。そんな約束なんてしてないわ。」
「口約束ではなくて、そういうことは言わないのがマナーなんです。」
「まぁまぁ、ヴァンにマナーを教えられる時が来るとは思わなかったわ。」
お母さまの思わぬ暴露で狼狽える面々。そんな中お兄さま達が何とか反撃するも加齢に交わされ、撃沈。
さすが社交界の女帝とも言われるお母さまに口が勝てるものなどいないだろう。
「ディ、行きましょう。」
まるでこんな人達放って置いて、なんて副音声が聞こえてきそうな声でお母さまに促される。
「ディ、ごめんなさい。」
「えっ…」
お母さまと二人、先に部屋を出て歩いていたらいきなり謝られて、戸惑う。
「どうしてお母さまが謝るのですか?」
「…幼い頃からディがどこか一線引いた感じは気づいていたの。子どもの割に落ち着いていたし。でも、愛情を持って接していればいつか打ち解けてくれるって思って放置していたから…お母さん失格ね。そんなにもディが悩んで、苦しんでいたのに、知っていて何もしなかったんだから…」
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