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眠れる夜⑵
しおりを挟む「ほんと?皇子さま怒ってない?」
「ん?どうして皇子殿下が怒るんだい?」
先まで一人で考えてたことをお兄さまに話して不安な気持ちが前面出てきて何故か泣きそうになってしまう。幼児になったら精神まで幼児退行しちゃったみたい。
「僕、お兄さまの後ろに隠れてたから、皇子さまに失礼なことだと思って…家名に泥ぬっちゃった?」
「(そんな難しい言葉まで知っているんだ)…そんなこと考えていたんだね。ディ、今回のことは全然気にするようなことは無いよ。丁寧なお辞儀もできていたし、皇子は友達の家に来ていただけだから。それに、仮にディが失礼なことをしたとしても私やお父様がどうにかするから気にしなくていいんだよ。たとえそれが皇家の前でも他の貴族の前でも。」
「うん…」
「だから、これは私のエゴだけど…ディには貴族とかちゃんとしないといけないとか、そういう難しいことは考えずに伸び伸び生きてほしいし、そんなディを見て居たい。」
こんなに励ましてくれるなんて、僕そんなに落ち込んでるように見えたのかな。
「うん、心配かけてごめんなしゃい。」
「ふふ、ううん。私が勝手に心配したいだけだからね。」
ヴァンお兄さまってなんて優しんだろう。それにまだ12歳なのにこんなに弟を気にしてあげられるってどれだけできた人間なんだろうか。僕の前世の12歳なんて勝手に大人になった気でいた、イきり散らかしたガキだったのに。
「ヴァンお兄さま、ありがとうごじゃいましゅ。大しゅきでしゅ!」
「はぅっ!私の方こそありがとう。私も大好きだよ。」
「??」
なんでお兄さまがお礼を言うんだろう?でもすっごく嬉しそうな顔をしているから何でもいいや。
憂鬱な気持ちだったけどお兄さまと話すことが出来て、気持ちよく眠られそうだ。
前世でもこんなに心配されたことなんてなかったからなんだかソワソワするけど…心地のいいソワソワだ。ヴァンお兄さま、本当にありがとうございます。
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