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眠れる夜⑴
しおりを挟むそんなことがあった夜、眠れないからか頭が冴えて色んな思考がグルグルと頭の中を巡る。
まさかユーリお兄さまのお友達が皇子とは思わなかったなぁ。公爵家ってことも関係あるのかな。
それにしても、今日は今までで一番多く知らない人達と話したな。元から社交的な方じゃないから、と言うか人付き合いは苦手だ。まぁ、得意だったら引きこもりなんてしてないしね。
しかも相手は皇族だったから、僕結構頑張った、はず。
礼儀がなってないとか思われてない、よね…
前世にはなかった貴族と言う肩書は僕にとって、思いのほか重くのしかかっているみたい。三男と言う何の権利も持たない立場でありながら甘えたことを言っている自覚はあるけど、公爵家ってだけでそれ相応立ち振る舞いが求められる。失敗は許されないとはよく言ったものだ。三男でもそれは免除されることは無いと思う。それが貴族の世界。
今日はプライベートの場だったから皇子もフランクだったけど、公式の場だったらって考えるだけでもゾッとする。
コンッコンッコンッ
「ディ?寝てるかな?入るね。」
「ヴァンお兄さま?」
布団に入ろうとしていた身体を起こして部屋へ入って来たヴァンお兄さまを出迎える。
「起きてたんだね。いや、私が起こしたのかな。ごめんね…」
「ぼ、僕おきてまちた!だから、ヴァンお兄さまは何も悪くないでしゅ。」
それに、寝られる気分ではなかったし…
「ふふ、そっか。ありがとう。」
ドアの前で話すのはと思ってとりあえず中に入ってもらう。
「今日のディの様子が気になってね。ユーリの友達に会ってから落ち込んでいる様子だったし。今日のディの挨拶とってもかわっじゃなくて完璧だったよ。」
……もしかしてヴァンお兄さまは僕を励ましに来てくれたのかな。
僕の勝手な思い込みかもしれないけど、そう思うと胸の辺りがほあぁってしてくる。
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