【完結】腐女子の私が美少年⁉

上手く乗せられた気がするが気にしない⑷

「キス、してくれたからチャラにしてあげる。」



ちょっとイタズラ気な笑みを浮かべてそう言ったジルの唇に目が行く。
今、キスした。ジルと、キスを…


「ッ!」


バルが息を呑んでるが、そんなこと気にすることもできないぐらいに私は慌てている。

「なっ！き、えっ？」

「ふふ、そんなに驚かなくても、さっき母上から聞いたじゃないか。それで、生暖かい目で見て来たのはどこの誰だろうか？」

先ほどとは打って変わって、形勢逆転されてる。

こんな活き活きしたジルは初めて見るかも。そりゃ、キスで狼狽えるジルに可愛い所もあるなとは思ったけど、実際にするのはまた別だよ！

今になって現実味を帯びて来たのか、顔に熱が集まるのを感じる。

「そんなに顔を赤くして、またしてほしいのかい？」

うぅ、完全に揶揄われてる！

ブンブンと首を振って拒否する。
居た堪れなくなった私は転移を使ってその場から去る。










「あーあ、逃げちゃった。」

「お前が逃がしたんだろう。そこまでするとは思わなかった。抜け駆けは禁止のはずだが？」

「変な教師相手に現を抜かしている者に何も言われたくはないかな。」






私がいなくなった後、空気が荒れるに荒れていたことなど知りもしない私は、ただただ顔に集まった熱を冷ますのに尽力していた。