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上手く乗せられた気がするが気にしない⑶
しおりを挟む「幻覚、僕使えるよ!現に、今バルが見ている僕たちは幻覚だもん。」
嘘だけど。
「そ、そんなはずはないッ!」
バルに向けて言ったのに、背後から抱きしめているジルが悲痛な叫びをあげて、私に抱きしめている腕の力を強める。
ちょっとしたイタズラ心でバルを騙そうとしたのに、約1名余分に引っかかってしまったみたい。
そんなに、真に受けなくても…
「この腕から感じる温もりが幻覚なのか…この数分の幸せな気持ちは、全部幻覚に魅せられていただけだったのか…」
そう言いながら、私の肩に額を押し付けてグリグリしてくる。こんな時に思うことじゃないと思うけど、可愛いかよ!
いやそんなことより、ほんとに信じちゃってるんだけど、どうしよう!
私、やり過ぎちゃった?今、ウソぴょーんとか言ったら、後が怖いな。
「あ、えっと…ごめんなさい。ちょっとしたイタズラ心で、ほんとはね嘘じゃなくて。あの、ちゃんと本当だから、ね?」
そう言いながら、お腹のあたりに来ているジルの腕をギュッと抱きしめる。シドロモドロになりながらも、嘘をついたことを正直に謝る。うん、これ以外に道はない!
「「(可愛いかよ!!!!!可愛すぎるんだよ!!!)」」
でも、何も答えない二人に不安になる。
「あの、騙してごめんなさい…もうしないから、許して…」
「ナオ、俺は怒ってはいないけど…そうだね、そんなに許してほしいならこっちを向いて?」
言われた通りに首だけ動かしてジルの方を向く。
「クスッ」チュッ
振り向いた先にあるキレイな顔は近づいて来て、そのまま……可愛いリップ音の後、離れて行く。
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