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上手く乗せられた気がするが気にしない⑴

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「何を始めるの?」

体勢よりも内容の方が先に口から出てしまって、体勢に対してどうこう言うこともできなくなってしまい、仕方なく受け入れる。が、ジルの腕の中でモゾモゾ動いて、せめて体の向きを変える。

「ナオは知りませんでしたか。もうすぐある新入生歓迎会で私達新入生からも上級生に向けて何か見世物をしなければいけない決まりがあるんですが…そこに今回はジルとその周りにいる私とナオが選ばれてしまったということです。そこで今日は何をするか決めようと集まったわけです。」

なるほど。私の疑問にバルが丁寧に教えてくれる。新入生歓迎会ねぇ。何をするか、詳しいことは何も知らないけど、ここにいる2人と学園の生徒に向けて見世物になれって、酷だな…

目立ちたくないのに…待てよ?これってもう目立っているってことでは?もう手遅れなのでは?
なぜ今まで気が付かなかった私!!気づいてしまった以上は開き直るしかない。

「なるほど…じゃあ、魔法で盛大にぱぁぁぁっとやろ!」

私の提案に、言葉より先に後ろからハグをしていたジルの腕に力が入る。

「可愛い…じゃなくて、その詳細を決めないとだね。盛大にってことはナオも手伝ってくれるみたいで良かったよ。」

ジルがニッコリと微笑ましそうにこちらを見ながら言われた言葉にハテナを浮かべる。

「ナオも手伝ってくれるみたいって、手伝わなくても良かったの!?」

「そう、とも言うかもしれないね。」

サラッと流された…と言うか二人に言葉巧みに騙された。くそっ!言質を取られた以上は男ナオ、二言はない。

「いいもん、二人が霞むぐらい盛大にしちゃうから!」

ついムキになった言い方をしてしまった。子ども相手に精神年齢高いはずの私が面目ない。
でもそれを、二人はほわぁとした空気を周りにまき散らしてこちらを見て来るのだから、もう何も言うまい。

「ふふ、そうだね。楽しみにしておくよ。それじゃあ、当日まで時間もないことだし、もう少し詰めた内容の話をしようか。」

私のことを軽くあしらったジルは話を進めていく。

件の新入生歓迎は二週間後にあるんだって。そして一週間後には会場を確認してリハーサルを行うんだとか。
いや、なんでもっと早く言わなかった?もうほとんど日にちないじゃん!



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