【完結】腐女子の私が美少年⁉

ようこそ地獄の園へ⑴

「んふふ、クレマいつまでも閉じ込めておくことは不可能なのですよ。さぁ、ジル、ナオちゃん子どもの集まりに行ってらっしゃい。」

「おい、ちょっと待て。なんでナオまで…おい!!」

「まぁまぁ、あなたもうしばしここへ。最近は夜会へも来なくなって他の皆さんが少しでもお目に掛かりたいと躍起になっていますのよ。」

クレマさんは皇后に捕まったし、その皇后に促されると行くという選択しかない。あの恐ろしい視線が突き刺さる地獄の園に。








「あの、俺のことはジルって呼んでほしい。俺はなんて呼べばいいかな。」

地獄への道すがら、皇子は緊張した様子で話しかけてきた。
え、私が緊張するもんじゃない？

「分かりました。僕のことは何でも呼びやすいように呼んでください。」

「じゃあ、ナオって呼ぶね。ナオこれからよろしく。慣れてきたらでいいから敬語を抜いてほしいな。」

「分かった。こちらこそよろしく。」

ホントはあんまりよろしくしたくないんだよな～だって皇子だよ？なんかめんどくさそうじゃん。まぁこの子に何かされた訳でもないし避けることはしないけど…
皇子は私の言葉を聞きぱぁっと表情をほころばした。

「ナオは甘いもの好き？」

返事の代わりにコクンと頷くと皇子に手を引かれた。

「じゃあ、あそこに行こう。色んな種類のケーキがあるんだ。きっと好みのものが見つかると思う。」

美少年の顔で一生懸命に力説する姿が可愛く、つい笑ってしまった。

「ふふっ、どんなケーキがあるか楽しみです。」

皇子は私の顔をガン見したまま、顔を赤らめた。

「あ、あぁ。早速行こう。」

ジルが連れてきてくれた所には見たこともないスイーツが一杯あって涎が…失礼。

「うわぁ!美味しそう～ジルどれがおススメ？」

「俺のおすすめはこのイチゴタルトだね。家のシェフが腕によりをかけて作ったんだ。」

「そうなんだ!絶対美味しいやつじゃん、食べる！あとはこれとこれとこれと～」

「そ、そんなに食べるのかい…？」

「もちろん！だってスイーツとか久しぶりなんだもん。」

え、取り過ぎって？甘いものは別腹って言うしね。
このお茶会は参加者が多く、子供がメインと言うことからマナーが簡単な立食形式になっている。なので、隅の方により、思う存分食べまくる。

「んん～美味しい～幸せ～。」

「大げさだろ？食べ過ぎると太るんじゃないか。身体重くなるよ。」

「その分動いてるから問題ありません。」

ジルとつまらない談笑をしている間も食べる手は止まらない。

そこに、3人の令嬢が近づいてくるのが見えた。

ん～サッと逃げたいけどジルがいるしな…あ、そっか！ジルを盾にすればいいんだ。我ながらゲスい考えだと思う、が背に腹は代えられない。

「あのぅ～少しお時間よろしくて？」