【完結】腐女子の私が美少年⁉

とある男 サイド

今日はなんだかいつもと違うことをしたいと思い、散歩に出てしまった。

いつも通りの朝、いつも通り仕事を片付けて、家に帰り寝るという代わり映えのない日常に飽きたのかもしれないと感じていたが後になってから考えると何か虫の知らせのような、第六感がはたらいていたのかもしれない。





そんなわけで、俺は騎士団長の仕事を早々に終わらせる。散歩と言っても町中だと肩書から俺を知っている人は多く休めないため、森へ来ていた。

適当に流れるがままに足を動かしていると湖があるところまで来ていた。
仕事を終わらしたと言っても、訓練の指導に入ったりなど教育など部下の士気を上げることも仕事の一つなためあまり長居は出来ないなと思いながら水をすくって飲む。

来た道を戻ろうと振り返ると…天使がいた。
俺は疲れているのか…そう思い目を擦ってもう一度見る。いや、間違いなく、紛うことなき天使がいる。ここは、天国か？

俺が混乱している間にも天使はスース―と寝息を立てて眠っている。起こさないようにスッと近づき、改めて間近に見るとさらに目を見張る。この世のものとは思えず、作り物なのかと疑う容姿に、ゴクリと喉が鳴る。

「いやいやいやいや、まだ少年とも取れる子供に俺は…」

思わず出てしまった独り言に、

「んん――……」

高過ぎず、低すぎない中性的な聞き心地の良い声が返ってきた。

「ッ！」

咄嗟に手を引っ込めたことで、無意識に自分がその少年に触れようとしていることに気づく。悪いことはしていないはずなのに、ドキドキと動悸が治まりそうもない。

「ぅん、んん？…ふぁ――わあぁぁぁ!?」ゴンっ
「ッい!!～～～～っ!!」

天使が目を覚まし、瞼が上がることで覗いたキラキラとしたアメジストに見惚れていると、俺に気づいた天使が驚き背後にあった木にぶつかり悶えている。その様子すら可愛く、神秘的に見える。

いつも通りとは程遠くなった1日とこれからに、無意識に口角が上がるのを感じながら、たまにはいつもと違うことをしてみるものだと思う騎士団長なのであった。