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 ――初めてダンジョンボスを倒したその翌日。

 俺は、再びギルドへ向かった。
 もっと自分の力を試したくて、うずうずしていた。

 ギルドに入ると、朝一番ということですでに冒険者が大勢いて、受付待ちで並んでいた。

 俺は整理札を取って、大人しく椅子に座って順番を待つ。

 ――ふと、近くで話していた冒険者の声が聞こえてきた。

「いや、ほんと最悪だよ。お気に入りの剣だったのによぉ」

 なにやら剣を見てため息をついている。見ると、その剣の刃は少し欠けていた。

「鍛冶屋には行ったのか?」

「ああ。ここまで欠けが大きいともう直せねぇって。60000ゴルしたのに<ゴミ>になっちまった」

 と、突然出てきたその言葉に俺は思わず反応する。

 ――ゴミ。

 それなら、俺の“ゴミ強化”で強化できるんじゃないか。

 村でクワを直した時も、ボロボロのクワがマジックアイテムのように強化された。
 同じようなことが起きるかもしれない。

「あの……」

 俺は見知らぬ男に声をかけた。

「ん? なんだ?」

「その剣、もしかしたら直せるかもしれないんですけど、俺の強化魔法試して見てもいいですか?」

「……強化魔法で? 別にどうせ捨てるだけだからいいけど……」

 と、男は俺に剣を手渡してくれた。

 俺はすぐにスキルを発動する。

「――“ゴミ強化”」

 俺がそう言うと、刃の欠けた剣は光り輝く。
 見た目にはあまり変わらないが――

「……これでどうですか? 見た目は変わらないですが、多分ステータスが強化されてると思うんですが」

 男に剣を返す。
 すると、男は半信半疑で仲間に“鑑定”を依頼する。

 そして鑑定をした冒険者は、すぐに目を見開いた。

「……おい、ちょっと待て、ステータスが爆上がりしてるぞ。強度100!? しかも魔力耐性も30になってる! どうなってんだよ!? 魔道具みたいになってんぞ!?」

 どうやら強化は成功したようだ。

「ならよかった。これで捨てなくて済みますね」

「し、信じられねぇ」

「……あ、ありがとう。お前の強化スキルめちゃくちゃすげぇな。ゴミが一瞬で魔道具になるなんて、やばすぎる」

「いやいや、それだけが取り柄なので……」

 俺は朝からいいことをしたと、気分が良くなる。

「兄ちゃん、ゴミを魔道具に変える力があるんだったら、<剣の遺跡>に行ってみたらいいかもしれねぇな」

 と、男が教えてくれる。

「<剣の遺跡>ですか?」

「あそこには、使えなくなった武器が山のようにあるんだ。町から遠いし、ゴミしかないからって理由で、攻略を後回しにされてんだが、兄ちゃんにとっては宝の山かもな」


 なるほど、確かにそれはいい情報を聞いた。
 捨てられたゴミを強化すれば中古屋で売れるかもしれない。
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