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第四話 六万の侵略者

6.

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 リッテル辺境伯たちは横陣に展開して、丘陵を超えていく。

 ――そして会戦は、アルザス軍の先攻から幕を開けた。

 ちょうどリッテル辺境伯軍の左翼から、アルザスの魔法攻撃が降り注ぐ。

「辺境伯! 敵は我が左翼に攻撃を集中させています!」
 
 辺境伯は報告を聞いて舌打ちする。
 数が少ない軍隊が取る行動は決まっている。戦力を集中させるのだ。
 おそらく敵は左翼の兵を暑くして、局地的な勝利を得ようとしている。

「中央から左翼へ軍を回して強化せよ!」

「承知しました閣下!」

 だが、辺境伯は焦らなかった。
 敵の兵力は半分。その少ない兵士を我が左翼に向けて集中させてくるならば、逆に敵の反対側は手薄になる。
 そこから徐々に押しつぶしていけば、そのまま包囲できるだろう。
 数の暴力でそのまま押し切れるはずだ。

「左翼の突撃は、やつらのあがきにすぎない! ここを互角に戦えば、薄くなった敵の左翼を撃破できる。そうすれば、そのまま勝利できるぞ!」

 辺境伯は部下たちを鼓舞する。

 ――だが――それも全てアルザス軍の作戦だった。

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