上 下
76 / 95
第15章 初めてのわかれ

1 率直な気持ち

しおりを挟む
 「真斗は私のこと、どう思っているの?」愛海は率直に質問していた。
「どうって、今でも愛海のことが好きだよ。」
「私も真斗のこと好き。でも、今の真斗と付き合うのは嫌。真斗は私とエッチすることが好きで、私のことをそういう対象でしか見ていない気がするの。」愛海は話し出したら、止まらなくなっていた。真斗は空になったコップのストローに口を付けて、黙って聞いていた。
 東京から帰って来てすぐに、真斗に連絡を取り会った。まだまだ夏の暑さは収まらず、愛海はタンクトップにミニスカートで真斗に会った。駅前の涼しそうな喫茶店に入り、話をする事になった。客席が一つひとつ仕切られており、周りの話し声は余り聞こえず好都合だった。
「私だって真斗と初めてエッチした時は、嬉しかった。でもそれは、心が通じ合っていて、一つになれたから幸せな気持ちになったの。男の人を愛しいと思ったのも、その時が初めてだった。真斗は好きだって言ってくれたけど、私のどこが、何が好きなの?」愛海は一気にしゃべったが、まだ言い足りない気がしていた。
~真斗~愛海は理屈っぽいな。エッチしたいなら、それでいいじゃん。心と身体は
   一緒だよ。でも、茜が言っていた事も気になるし…。

 しばらく黙って聞いていた真斗が、ようやく口を開いた。
「愛海は頭で考え過ぎだよ。心が大事って言うけれど、俺の場合は心が愛海の身体を欲しがっているんだよ。何が好きって、愛海とエッチすることが好きで、それが恋愛関係というものじゃないのかな?」話が全然かみ合わなかった。
「やっぱり真斗はそういう考えなんだね。私の気持なんか、解かろうとしない。恋愛は相手のことを好きになって、その結果を身体に求めるんじゃないの?私達も最初はそうして結ばれたのに、今は欲求を満たすだけの関係になっている。恋愛は、お互いの気持ちを理解して、成長していくものだと思うの。」愛海の意見に、真斗はもう沢山だという顔をしていた。
「分かったよ。愛海の気持ちを1番に考えるよ。でも、俺の気持も理解してほしいな。頭で考えているばかりでなく、五官で感じ取ってみようよ。」
「五感?五官?どういうことなの?」愛海は彼の意見を聞いてみようと思った。
「目、耳、口、鼻、皮膚を五官と言って、それらの器官で感じるのを五感と言うんだよ。だから、目で見て好きだとか、耳で声が聞きたいとか、口でキスしたい、手で触りたい、鼻で…そういう感覚が恋愛には大事なんだよ。」いつもの真斗とは違い、説得力があった。このままでは平行線に終わってしまうと愛海は考え、彼のいう五感とやらを試してみようと思った。その上で、この先真斗とどうするか考えようと思った。
~愛海~真斗の言う事はよく解からない。彼の気持ちを理解するためには、何も考
   えずにエッチする事なのかな。

 喫茶店に入って1時間になろうとしていた。その間、店員がお冷を2度入れに来た。真斗との話し合いに目途めどを付けるために、愛海は決心していた。
「真斗、行こうか。」と言う私に「どこへ?」と真斗はいてきた。
「私、自分の気持ちを確かめてみたくて。真斗の言う五感を試してみよう。」
 二人で店を出て、駅へと向かった。三つ先の駅で降りて、駅前から道を外れて歩いて行った。この近辺は歓楽街で、ホテルが数軒建っていた。
「愛海どこへ行くの?この辺はやばいよ。」真斗ががらになく心配していた。
「真斗、前にラブホテルに行きたいと言っていたよね。だから行くよ。」愛海は振り返りもせずに早足で歩き、フェニックスという看板の前で立ち止まった。真斗を先に促し、後ろから隠れるようにして中に入った。真斗も初めてで戸惑っていたが、キーボックスから405の部屋の鍵を取り、エレベーターに乗った。部屋に入るまで、誰ともわなかったので愛海はほっとしていた。
~真斗~愛海がラブホに連れてきた。俺とやりたくなったのか?それなら嬉しいが、
   何を考えているのか解からない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生

花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。 女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感! イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

処理中です...