初めての物語【Ｂ面】～First Story～

第13章 初めての不信

５ 母親の忠告

　家に帰ると、母親が愛海を待ち構えていた。
「真斗君とはどういうお付き合いをしているの？男の子に振り回されて、自分が見えていないんじゃないの。高校生がキスしたり、それ以上の事をしたりしてはいけないとは言わないわ。だけど、今愛海がしなければいけない事は何か、よく考えてね。」母の言葉には説得力があった。
～愛海～母は私と真斗が何をしているか、私がもう処女でない事も知っている
　　　に違いない。何もかも知っていて、私が自分で気が付くのを待っていた
　　　のだ。それなのに、私は親に嘘を付いて、ばれない様に誤魔化して、ご
　　　めんなさい。

「分かった。真斗とは少し距離を置いて、大学に行けるように頑張るよ。」
母は愛海に、それ以上の事を何も言わなかった。
～愛海～私は恋愛に憧れ振り回されていた。いや、恋愛に溺おぼれてしまったのは、
　　　誰のせいでもなく自分自身だと思う。以前のように真斗と会っていても、
　　　将来の事とか学校の事とかを話さなくなっていた。それよりも、真斗だけ
　　　でなく私もだが、欲望を満足させる事を優先し、本来望んでいた恋愛とは
　　　かけ離れてしまった。真斗との事は少し冷静になって、考えてみた方が良
　　　いようだ。今は私も勉強に打ち込むべき時で、恋愛はその後でも構わない。
　　　真斗の事は嫌いになった訳でもないが、真斗にもその事を分かってもらえ
　　　るように話してみよう。