ヒロインと呼ばないで2nd

キャロル

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5 ピンクは最凶

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お久しゅう御座います。皆様お変わりなくお過ごしでしょうか?ジャスミンです。

夏季休暇を領地で過ごす事になり早10日過ぎました。
我が領は広大で資源も豊富な為王都に匹敵する程?むしろこちらが王都では?と思われる程に洗練された街並みになってますが、都会的な街並と落ち着いた静かな空間もしっかり作られており、華美(レッド)上品(パープル)素朴(ブラウン)安らぎ(グリーン)清廉(ホワイト)、娯(ピンク)この6つのコンセプトに合わせて6ブロックに分けて街並みを作ってあり、その中の安らぎをメインとしている街は美容と医療に力を入れた街、娯は文字通り娯楽、脳の娯楽から体の娯楽となっています。

さてここで、この2つの街の立案者は私です。おや?と思われましたでしょ?あなた最近転生者って気がついたのでは?
そうなんです。気がついたのは最近ですが、どうやら前世ゲーム途中亡くなったことをあの時思い出したようで、なぜあの時していたゲームに酷似した世界に転生していたのか多くの疑問は残るけど、そこは深く考えてもわかりません。

ゲームの世界に類似したこの世界の時間軸と前世の時間軸がどう繋がっているのか分かりませんが、幼い頃より前世の世界の知識を持っていたらしく色々発案していたそうです。脳の娯楽、特に医療に関して思いつきの様にお父様にご意見申し上げていたようで、溺愛する娘の言うがまま実行していたら、いつの間にか充実した医療体制と衛生管理が施されていたと言うわけです。

と、言うことは私は自覚していなかっただけで、生まれた時からジャスミンであり私であったと言うことですね。ハハハハ。
そうなると、今更、この中途半端なあちらの世界の知識を出し惜しみする必要はないのでは?と、……。となると、私は娯楽ブロックが気になった。脳の娯楽施設はカードゲームでの遊びをメインに頭を使うゲームを楽しむ施設が充実しており軍師や策士を育成する為に役立っています。そしてもう一方の体の娯楽施設は流石に私はノータッチでした。

最近になってあちらの世界の知識が鮮明に蘇り、18禁の知識だけは…そう知識だけはある、そこで実情、娼館の衛生管理や品位節度、ルール、待遇(従業員側)がどうなっているのか気になった。性病に関して知識はあるのか予防はしているのか避妊は?…女性がどう言う扱いを受けているか、そこで働く女性は本意ではない者もいるかもしれない、ここは是非、次期領主(仮)として視察し、状況に応じては改善しなくては。


「ねぇ、ルーク、今日はピンクブロックの視察に行くわ。支度お願いね!」

「は?……ピンク?…そこがどんな所かご存知ですか?ただの娯楽施設だけじゃないんですよ?そんなのダメに決まってるでしょ!」

「…知ってるわよ、当たり前じゃない!子供じゃないんだから!気になることがあって、この目で確かめて改善できる所は早めに改善したいのよ。」

「何が気になるんですか?言って頂ければ私が調べてきます。あそこはジャスミンには無理ですよ!」

ここにきてから、なぜかお嬢様呼びをやめて名前呼びになったルークは前より過保護に拍車がかかったように感じるけど、私もそろそろ自立したい。

「自分で確認したいの、ルークの目で見たことと私が見たものが同じでも感じ方は違うでしょ。これは決定事項です。反対するならルークはここに残ってください!ケリーと行ってきます。」

この案件は絶対引かないんだから!働く女性が冷遇されてないならそれでいいが、違うなら改善と希望によっては向こうの世界のような本番なしの施設や高級ホステスとして教育してお酒の接待だけの施設もいいわね。いっその事こと私がママとして仕切るのもありかしら?そうすればルークが養子になって妻を貰っても私はピンクブロックと今手掛けているグリーンブロックの経営者として食い扶持には困らないし、……あら?かなりいいんじゃない?ふふふ…将来安泰じゃないの~、

「とにかく、これは私の将来がかかっているの!絶対行きます。ケリー準備して!」

「……わかりました…私も行きます。まぁ、いいです。逆にその目で見て勉強するのもいいかもしれません。」

含みある言い方が若干気になったが、あれよね、きっと男女のあれこれの事だと思うけど、…確かに私は2次元の世界での知識しかなくアニメ漫画、など平面でしか見たことがないし、私自身前世も今世も経験がない(ルークとのキス以外)けどやることは平面だろうが一緒でしょ…多分…。

「大丈夫よ、私も本である程度の知識はあるから少々じゃ驚かないんだから~さぁさっさと行きましょう、昼は脳の娯楽を視察して夕方からは体の娯楽施設の視察します。」


………これは……いや、ここは?……。

「る、ルーク……、これは?……皆さんなになさってるの?」

目の前にある光景が私の頭の中にある体を癒してあげる(睦あう)イメージとは大きくかけ離れた光景に文字通り戦慄していた。
この領内は他の領よりこう言う施設はかなり整い清潔であると聞いていた、いたけど…これは何?これがこの世界の普通?
私には地獄絵図にしか見えない…。

あれれもない声があちこちから響き渡り、確かに施設内は清潔…多くは個室を利用するんですが、誰もがお金を出せば利用できるガラス張りのオープンエリアと称した見られることが好きな性癖のかたの為エリアでは女性2人に6人の男性が群がり、…群がり……ヒィィィ!吐いていいですか?

「ジャスミン、何って決まってるだろ?知っていてここに視察に来たんだろ!欲を発散させてるに決まってるだろそれ以外何するんだ?ここで?」

「決まってる?…欲?そ、そうだった…わね…ルークも欲の発散に…こ、これするの?」

「……俺は、愛する人にしかしない」

「え?愛する人に?これしてるの?……こんなこと……そうなんだ……そうよね、するわよね、恋人ぐらいいるわよね…変なこと聞いてごめんなさい、あ、あまりに凄くて…ちょっと動揺しちゃって…」

「ち、違う?恋人なんかいない!こんなことじゃなく、…くそ!どういえばいいんだ。まだしていない」

「い、いいのよ、ごめんなさい、変なこと言って、人それぞれよね、性癖は個人の自由だし愛する方との合意があれば問題ないんだから、私が言ったことは気にしないでね。ただ、ルークもほら。お年頃?だし、ただ、ルークも欲の発散に…あ、あんなことしてるのかと思っただけよ。好きに発散してちょうだい!」

「………」

あまりの光景(恐怖)に体の震えが止まらない。自分で何言ってるにかすらわからないくらい混乱していた。

ルークにしがみついたまま震えていたら、ふと、そのオープンエリアの女性の1人に見覚えがあった。特徴的なドッピンク色の髪に…。

「ローズ=ヨーク男爵令嬢?」

「あ、そうだね、ヨーク嬢だね、あそこのエリアは客同士が自由に楽しむスペースで彼女はここの従業員じゃないから安心していいよ」

安心って、そういうことじゃなくて謹慎中のはずでは?それによく見たら、男性の中には…

「ル、ルーク…だ、男性の中に…第3王子に似ている方が…キ、気のせいよね、…あれは一体何がどうなっているの?うう、何だか気分が悪くなってきたわ、ルー…」

衝撃的な光景と見知った人物がその当事者だったこともありキャパオーバーとなった私の意識はそこで途切れてしまった。

最近のお約束になってしまったが目覚めたら自室ベットでした。

ただいつもと違うのは、考えたいことがあるからと3日ほど自室に篭りルークの世話すら拒否してケリーに世話を頼み、ルークが我が家に来て初めて別に過ごすことになった。(3日だけだけど)


このたった3日離れたことによりルークのヤンデレ指数がさらに上昇してしまったことに私は気がついていなかった。


呑気なジャスミンは自分の何気ない勘違い発言がどんどんルークを追い詰めていることに全く気がついていない。

自分かどんなにハイスペックか知る由もないジャスミンはルークに想われているなんて微塵も思っていない自己評価が低い残念な子です。


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