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1章 巡りあい
26 招かれざる人
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「ティア?おい!ティア?どうした?」
体を揺さぶられるまで、脳内整理の追いつかない私はザックが声をかけていた事に気がつかなかった。
正直驚いた!あり得なくはないが初めての体験とでもいうのだろうか? 初めて見た!
確かに古代魔法にはそれがあったが、実際それをするにはかなり大きな代償を伴うので今までそれを試した者はいないと記憶していたが、私たちがいない2000年の間にいたのだろうか?
確かめる術はないけど……一体なんの為に……。
鑑定結果を伝えるために私はザックとアズモンド殿下を防音結界で包み他の者達を離れたところで控えさせた。
「簡単に結果からいうと異世界人。死んで転生ではなく、一応生きてる間に何者かにこちらの世界に呼ばれた。つまり召喚されたってこと。」
「「はっ!召喚?」」
「そう、私も言い伝えしか知らない話だったんだけど、“召喚魔法“遥か昔、大魔法使いが興味本位で作り出した魔法。生まれ変わる転生と違い生きている状態で全く異なる世界の人間を本人の意思とは関係なく呼び出す魔法で、大魔法使いがその時呼び出した者がかなり高度な文明と知識を持っている世界の者だった為、それを利用し傀儡として国を混乱に陥れたことにより、処刑され、この魔法は禁忌となったそうよ。
でも、欲深い者はいつの世も生まれてしまうもので、処刑される前に召喚に関する文献を残していたらしく、再び禁忌を破り呼び出した魔法使いが居た。その時召喚されたのはわずか13歳の少女。少女は知識はさほどないが、その身に魔法を付与することが出来たらしいの、魔法石に付与するように簡単に、好きな魔法を3つ。頭でイメージするだけでね!」
「好きなまほう?イメージ?オイオイ、そんな事出来たら簡単に世界を滅ぼせるじゃないか?」
流石ね、ザックはすぐにこの恐ろしさに気がついた。
「そうね、おそらく、でもそうならなかったの。召喚された少女は幼すぎた。ずっと怯えるだけで魔法使いの思い通りにはならなくて、自己防衛で無意識に強力な結界を作ってしまい誰にも壊すことができず、そこから出ることもなく短い命を終えてしまったのその魂が召される時に時間の神が現れどの世界においても異世界からの召喚を禁忌とする、破ったものは輪廻の輪から外し寿命を削ると告げた後、召喚魔法を使った魔法使いは1年後に突然亡くなったと言われ、それから召喚魔法は使われていなかったはず、それに使うには古代魔法という特殊な魔法が使えないと出来ないから、おとぎ話のように語られていたんだけど」
………2人とも暫し沈黙の後、ザックが口を開く。
「ティア、あの異世界人の詳細わかるか?」
「ええ、」
_鑑定結果_
*名前 工藤 ことみ
*種族 人間 異世界人(第7アース)
*性別 女
*年齢 30
*レベル 0
*属性 なし
*魔力 0
*付与 魅了
*状態 幻影魔石移植(無力化) 光魔石移植(無力化)魔力の器(無力化)第7アースでの残命7秒
*装備 魅了アーティファクト(指輪)ーアイザックにより破壊され現在無効
*称号 招かれざる悪意
以上_
一通り鑑定に関する話が終わったので結界を加除した。
結果を聞いて、ザックは
「魔石って人間に移植できるのか?そんなことできるやついるのか?」
「うーんいるんだろうね、実際3つも移植されてるから、もしかして異世界人だから?かな?」
とにかく、疑問は尽きないが、召喚された者だということがわかり、できれば召喚魔法使った者の情報が欲しい。それを踏まえて私が尋問することにした。
なんせ、アズモンド殿下だと話が進まないので私の側にマイとミミを控えさせ尋問を始めた。
理由は見ての通り、彼女はイケメン男子を見ると見境なく発情して興奮状態から、戻ってこないから、不本意ですが女性陣で尋問することにした。
牢の前に立つと先ほどとはうって変わり、不機嫌丸出しでこちらを見た。
「初めまして、工藤ことみさん、これからいくつか質問させていただきますね。キチンと質問に答えていただけたら、大好きなアズモンド殿下に合わせて差し上げます」
「まじ!」
視界から外れたところにいるアズモンド殿下の『なっ!冗談じゃな、モゴッ、ウーウー』と抗議の言葉をザックに遮られている雑音が聞こえるが、こういうタイプは餌を与えた方が話はスムースなので無視します。
「ところで、あんた誰?なんで私の名前知ってんの?あいつの仲間?」
ん?あいつ?あらら~いきなりヒットしたわね。
「あいつとは?どなたですか?」
「私を呼んだって言ってたやつよ」
「どんなかたでしたか?お名前は聞いてますか?」
多分名前は教えてないと思うけど、特徴ぐらい聞けるといいんだけど、
「名前は知らない。フードで髪の色はわかんないけど、目が緑だったから私はグリーンって呼んでたけど、親切な人だった。色んな魔法くれて希望通りの美女にしてくれた私はこの世界のヒロインだから呼んだんだって、ヒロインはたくさんのイケメンに愛されるのよ。私の世界の逆ハー小説みたいにね。」
「??ギャクハー?」
なんだそれ?
「キャハハ、知らないの?ハーレムの逆よ王様がたくさんの美女を侍らしてるでしょ、その逆で私が女王になってたくさんのイケメン侍らすのよ。ヒロインは多くのイケメンに愛されるのよ。アンバルの次はアズ様だったのになぜかアンバルの攻略失敗しちゃった。」
「……それでアズモンド様を攻略?した後は?」
「決まってるじゃない皇妃になってクリスタ王国のアイザックを愛人するのよ、最高のハーレム完成でしょ、ふふふ…」
ピキっ!落ち着け~私こんな雑魚にキレちゃいけない…
「実際それは難しいのでは?アズモンド殿下は独身だけど、アイザック大公殿下は奥さんがいるし愛妻家よ」
よし!穏やかに言えた!えらい!。
「あーそれは大丈夫、グリーンが私がアイザックに呪いかければ大丈夫って言ってたし、その間に奥さんの方はグリーンが連れてくって言ってたから」
ビキ!ビキ!
壁に亀裂が……ま、まずい!ザックの魔力が漏れてる建物壊す気か?この辺で切り上げよう
「お話ししてくれて、ありがとう、じゃあ、アズモンド殿下呼んでくるから、じゃあね」
すぐザックにもとに向かい抱きしめて落ち着かせた。セーフ?セーフだよね…。
「アズモンド殿下、ほんのすこーしお相手してあげて~私を嘘つきにしないでね~お・ね・が・い・ね」
必殺祈りポーズに上目使いでどうだ!
「…うぐっ!…」
「じゃ~ね~」
「あ!ま、待て置いてくな」
聞こえないふりしてさっさと地下牢を後にした。
最優先はザックの怒りを鎮めること、これ重要案件です。魔王を怒らすと怖いんだぞ!
___________
体を揺さぶられるまで、脳内整理の追いつかない私はザックが声をかけていた事に気がつかなかった。
正直驚いた!あり得なくはないが初めての体験とでもいうのだろうか? 初めて見た!
確かに古代魔法にはそれがあったが、実際それをするにはかなり大きな代償を伴うので今までそれを試した者はいないと記憶していたが、私たちがいない2000年の間にいたのだろうか?
確かめる術はないけど……一体なんの為に……。
鑑定結果を伝えるために私はザックとアズモンド殿下を防音結界で包み他の者達を離れたところで控えさせた。
「簡単に結果からいうと異世界人。死んで転生ではなく、一応生きてる間に何者かにこちらの世界に呼ばれた。つまり召喚されたってこと。」
「「はっ!召喚?」」
「そう、私も言い伝えしか知らない話だったんだけど、“召喚魔法“遥か昔、大魔法使いが興味本位で作り出した魔法。生まれ変わる転生と違い生きている状態で全く異なる世界の人間を本人の意思とは関係なく呼び出す魔法で、大魔法使いがその時呼び出した者がかなり高度な文明と知識を持っている世界の者だった為、それを利用し傀儡として国を混乱に陥れたことにより、処刑され、この魔法は禁忌となったそうよ。
でも、欲深い者はいつの世も生まれてしまうもので、処刑される前に召喚に関する文献を残していたらしく、再び禁忌を破り呼び出した魔法使いが居た。その時召喚されたのはわずか13歳の少女。少女は知識はさほどないが、その身に魔法を付与することが出来たらしいの、魔法石に付与するように簡単に、好きな魔法を3つ。頭でイメージするだけでね!」
「好きなまほう?イメージ?オイオイ、そんな事出来たら簡単に世界を滅ぼせるじゃないか?」
流石ね、ザックはすぐにこの恐ろしさに気がついた。
「そうね、おそらく、でもそうならなかったの。召喚された少女は幼すぎた。ずっと怯えるだけで魔法使いの思い通りにはならなくて、自己防衛で無意識に強力な結界を作ってしまい誰にも壊すことができず、そこから出ることもなく短い命を終えてしまったのその魂が召される時に時間の神が現れどの世界においても異世界からの召喚を禁忌とする、破ったものは輪廻の輪から外し寿命を削ると告げた後、召喚魔法を使った魔法使いは1年後に突然亡くなったと言われ、それから召喚魔法は使われていなかったはず、それに使うには古代魔法という特殊な魔法が使えないと出来ないから、おとぎ話のように語られていたんだけど」
………2人とも暫し沈黙の後、ザックが口を開く。
「ティア、あの異世界人の詳細わかるか?」
「ええ、」
_鑑定結果_
*名前 工藤 ことみ
*種族 人間 異世界人(第7アース)
*性別 女
*年齢 30
*レベル 0
*属性 なし
*魔力 0
*付与 魅了
*状態 幻影魔石移植(無力化) 光魔石移植(無力化)魔力の器(無力化)第7アースでの残命7秒
*装備 魅了アーティファクト(指輪)ーアイザックにより破壊され現在無効
*称号 招かれざる悪意
以上_
一通り鑑定に関する話が終わったので結界を加除した。
結果を聞いて、ザックは
「魔石って人間に移植できるのか?そんなことできるやついるのか?」
「うーんいるんだろうね、実際3つも移植されてるから、もしかして異世界人だから?かな?」
とにかく、疑問は尽きないが、召喚された者だということがわかり、できれば召喚魔法使った者の情報が欲しい。それを踏まえて私が尋問することにした。
なんせ、アズモンド殿下だと話が進まないので私の側にマイとミミを控えさせ尋問を始めた。
理由は見ての通り、彼女はイケメン男子を見ると見境なく発情して興奮状態から、戻ってこないから、不本意ですが女性陣で尋問することにした。
牢の前に立つと先ほどとはうって変わり、不機嫌丸出しでこちらを見た。
「初めまして、工藤ことみさん、これからいくつか質問させていただきますね。キチンと質問に答えていただけたら、大好きなアズモンド殿下に合わせて差し上げます」
「まじ!」
視界から外れたところにいるアズモンド殿下の『なっ!冗談じゃな、モゴッ、ウーウー』と抗議の言葉をザックに遮られている雑音が聞こえるが、こういうタイプは餌を与えた方が話はスムースなので無視します。
「ところで、あんた誰?なんで私の名前知ってんの?あいつの仲間?」
ん?あいつ?あらら~いきなりヒットしたわね。
「あいつとは?どなたですか?」
「私を呼んだって言ってたやつよ」
「どんなかたでしたか?お名前は聞いてますか?」
多分名前は教えてないと思うけど、特徴ぐらい聞けるといいんだけど、
「名前は知らない。フードで髪の色はわかんないけど、目が緑だったから私はグリーンって呼んでたけど、親切な人だった。色んな魔法くれて希望通りの美女にしてくれた私はこの世界のヒロインだから呼んだんだって、ヒロインはたくさんのイケメンに愛されるのよ。私の世界の逆ハー小説みたいにね。」
「??ギャクハー?」
なんだそれ?
「キャハハ、知らないの?ハーレムの逆よ王様がたくさんの美女を侍らしてるでしょ、その逆で私が女王になってたくさんのイケメン侍らすのよ。ヒロインは多くのイケメンに愛されるのよ。アンバルの次はアズ様だったのになぜかアンバルの攻略失敗しちゃった。」
「……それでアズモンド様を攻略?した後は?」
「決まってるじゃない皇妃になってクリスタ王国のアイザックを愛人するのよ、最高のハーレム完成でしょ、ふふふ…」
ピキっ!落ち着け~私こんな雑魚にキレちゃいけない…
「実際それは難しいのでは?アズモンド殿下は独身だけど、アイザック大公殿下は奥さんがいるし愛妻家よ」
よし!穏やかに言えた!えらい!。
「あーそれは大丈夫、グリーンが私がアイザックに呪いかければ大丈夫って言ってたし、その間に奥さんの方はグリーンが連れてくって言ってたから」
ビキ!ビキ!
壁に亀裂が……ま、まずい!ザックの魔力が漏れてる建物壊す気か?この辺で切り上げよう
「お話ししてくれて、ありがとう、じゃあ、アズモンド殿下呼んでくるから、じゃあね」
すぐザックにもとに向かい抱きしめて落ち着かせた。セーフ?セーフだよね…。
「アズモンド殿下、ほんのすこーしお相手してあげて~私を嘘つきにしないでね~お・ね・が・い・ね」
必殺祈りポーズに上目使いでどうだ!
「…うぐっ!…」
「じゃ~ね~」
「あ!ま、待て置いてくな」
聞こえないふりしてさっさと地下牢を後にした。
最優先はザックの怒りを鎮めること、これ重要案件です。魔王を怒らすと怖いんだぞ!
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