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第2話 あなたは番に遭遇したらどうしますか?(テリオン・B・ドラゴニアの場合)

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皇都から離れた辺境に魔獣が出没したと報告がありその調査の為2週間の調査期間を設け予定の半分の期間を過ぎたある夕方
ふわりと番の香りが鼻をつく。

皇都の方角やはり我が番は皇都にいる。

やっと現れた私の唯一無二の番


竜が番を感知できるようになるのは同じ竜なら幼い頃よりお互いが認識できるが獣人でも相手が竜種以外または他族(妖精、人族、稀に魔族)の場合相手がその種族での成人を迎えていなければ感知できないシステムになっている。

獣人は14才妖精族は成長が遅いので25才人族の場合男女とも18才

寿命は人族が1番短いが魔力量で80~300才と差がある。

竜は大体1500才その他獣人は種類によるが平均500才妖精は1000年当たり前だが寿命が長いほど子が出来にくい大体障害で2人から多くて3人

人族同士だと多いものは10人は生まれるだが多種族と違い番という概念がない為パートナーが変わったり多妻多夫なんてこともあるらしい。

テリオンの番は人族ではない。

おそらく獣人、初めて感知したのが4年前。

初めて感知した時私は魔獣討伐中だった、任務中ながら番が現れた事に喜びそれからは早かった。

番効果かあっという間に魔獣を討伐し急ぎ皇城に戻り報告して番の元に向かおうそう思い番が居るであろう区域を通り兄である皇帝に討伐完了と番が現れたことを報告して急ぎ番を迎えに行った。





だが、確かに香った、感じた番の気配が跡形もなく消えていた。

1人で皇城に帰った私に兄は

「番は獣人である事に間違いないのか?」

と尋ねた。

「絶対に間違いありません。」

と答えた私に

「なら丁度武人祭が来週行われるそこで14才以上の番なしの全ての令嬢に事前にハンカチに刺繍をしてもらい入り口で騎士にランダムで渡すと称してお前が回収する。どうだ?どのくらいの人数が集まるかわからないがとりあえず最初に感じたカメリア地区の令嬢からあたりをつけてみよう。
それに獣人が番なら多少匂いに鈍い種でも対面すれば当然向こうも気づくであろう。」




そうだな匂いに鈍い種かもしくは魔力量が少ない為感知が弱い種かもしれないな。










カメリア地区最後は……リーシャ・バレンティノ公爵令嬢……14才…金獅子公爵の1人娘……表に滅多に出ない容姿すら伝わってない幻令嬢と言われてるが、今回の催しをかなり渋ってたなぁ、


「あの~ハンカチは右、左?どちらの箱に入れたらよろしいですか?」

「私がお預かりします。」

すずを転がしたような美しい声色とはこのような声の事なのだろうか、この令嬢の声はとても心地よい。

金獅子公爵と同じ見事な黄金色の髪に澄み渡る青空のような、いや宝石のように輝いてる美しい瞳
類稀なる美しさ、この年でこの美しさ公爵が隠したがるのも頷ける。

だが、このハンカチからは微かに甘いフルーツのような香りするが、番と似ているような気がするがあの時感じた強烈な
引き寄せられような感じは……しない、それよりも気になるのがこの令嬢自体なんの香りもしない…無臭?

なんの匂いもないなんて……ありえない!

無臭の獣人って居るのか?匂いの薄い人族でさえ何かしら匂うし同じ匂いはない!

香水つける獣人も中にはいたが人工的な香りの中に本人の香りがしっかり感じられたのだがこれはどういう事だ!

本当に何も匂わない。

近くで嗅いでみたい、……いや、なに嗅いでみたいとか思ってんだ



しかし、匂いがなんてちょっと気になるだろ?聞いていいことやら、




「では、騎士様達にご武運をお祈りしていますとお伝えくださいませ。失礼いたします。」

「あ!待って!君は観戦しないのか?」

なに引き止めてんだ!

「ええ、帰ります。では父が入り口で待ってますので失礼いたします。」

公爵、徹底してるなぁ。

彼女の種なら確実に番を認識出来るはず、なのにに特に反応なしって事は番ではないのだろう。

匂いがなかった事なんて気にすることではないか。

第一印象が好みだっただけに残念だ。……ん?残念?好み?
今私は……番がいるのに……、


頭をふるふると振り思考をリセットし次の地区の対応に集中した。







結果は、該当者なし。



モヤモヤとスッキリしないまま月日は過ぎて、それでも時々香る番の匂いと気配に私の番は存在するそのうち出会えると信じて待つ事…………気がつけば4年の歳月が過ぎていた。






そして今日、予定より早く帰還した私は、ふとそいいえば昨日からカメリア地区の平民街で屋台祭なるものが開かれていて珍しい食べ物がたくさんあって美味しいとカメリア出身の騎士が言っていた事を思い出して足を運んでみた


平民街のメイン通りなのだろう色とりどりの屋台が道を挟んでたくさん並び多くの人が食べ歩きしながら楽しそうにしていた。

!!!!これは番だ!間違いない!これ程強烈に感じるとは全身を熱くしびれさせる甘い香りがするヒートに近い感覚だ。

私は何かに惹かれ導かれるように時間にしてものの数秒である扉の前に立っていた。

………ここに番が……、

ドアに手をかけた瞬間バン!と扉が開きドンと何かが私にぶつかった?

「イタタタ」

女性?番?ではない?でも確かにこの扉の向こうから、匂いは弱く微かに香る程度になったが、…。

ん?黄金色の髪?

「す、すまない。………リーシャ嬢?君が何故ここに?」

見間違い?他人のそら似?いや、あるわない地味な装いで平民風を装っているのだろうが4年前に会った時より更に美しく成長している。

つい見惚れてしまっていた私に驚くべき言葉が聞こえてきた。

「えーっとご機嫌よう? 私は友達とちょっと、…………ところでテリオン様は遠征に行かれてたはずでは?しかもここは大衆酒場の……女子トイレ前ですが……、」


は?え?今なんと?大衆酒場?のジョ、女性のト、イ、レ?

そこからリーシャ嬢となにを話したのか兎に角、探していた番をここで感知したという事は伝わったようだ、下手したら変質者扱いだ、だがやっと目の前の扉の向こうに番が、早る気持ちを抑え扉から離れた所で中から出てくる人を待ったが、

出てくる気配がない待ちきれず店員に中に人が居るはずだが遅いので様子を見てくれないかと頼んだ。


結果誰もいないとの事、トイレの入り口ここだけで出入りも一箇所、黄金色の髪の美少女がいた席は?と尋ねるとトイレから戻り早々にピンクゴールド色の髪の美少女と店を後にしたそうだ。

良くも悪くも目立つ容姿の2人は店の客の記憶に残す。

ピンクゴールドの美少女といえば思いつくのは1人だけ、去年結婚した妖精国ザカライヤ・カリッシュ公爵の奥方、天才魔道士キャロル・カリッシュ公爵婦人、この夫人と友人だとすると答えは1つ。









テリオン・B・ドラゴニア番に遭遇したら………逃げられた。
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