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23 兄と

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怒涛の1日が終わり、今日は兄と2人で過ごさせてもらう事にしました。
実は兄と話していて、少し疑問に思った事があったので、その話をしたくて、今、庭園を散歩しながら四阿に向かってます。

防御系魔法が得意な兄に外に音が漏れないように結界張ってもらいました、私も張れるんだけど兄のレベルを確認したかったので今回は兄に頼みました。

「お兄様、担当直入にお聞きします。お兄様の体の成長は8歳ですが、…精神は8歳ではありませんよね。」

「……、ふぅ、結構上手く子供を演じられていたと思ったんだけどな~。なんでわかった?」

「目…ですね、お兄様は言葉と仕草は完璧に子供ですが、ほんの一瞬垣間見る目の表情とでも言えばいいのか、それが完全に大人になる時があって違和感があったんです。お兄様の防護結界は肉体の時間を冬眠状態にしていましたが、精神は違ったんですね。」

「うーん半分正解で半分ハズレかな、あの時は悪意から逃れる為に必死でさ!あれは勝手に発動した魔法だったんだ。あの時完全に眠りについてしまい、一時的に覚醒したのは連れ去られた場所に満月の夜月の光が差し込んだ時だった。自分で発動させた魔法なのに何故か解除できなくてさ!流石に混乱して嘆いたよ。そのうち普段は眠りについているけど、満月と新月の夜だけ精神体だけ外に出ることができることに気がついて、私を監禁している奴がお母様の執事だと知ったんだが、情報はある程度得ることができていたが、結界から出ることができなくてさ!ずっと歯痒かったよ。」

「そうでしたか、長い間お兄様は意識ある状態で監禁されていたんですね。昔から聡かったとは言えよく精神を壊さずにいられましたね。私では無理だったと思います、お兄様は凄いですね。」

「うーん、凄いというより切り替えが早かっただけだよ。こう見えて楽天的だしね!」

いや、そんなことはない15年たった1人あの中で…孤独だったはず、なのにそんなことをおくびにも出さず、ほんとにお兄様は凄い!

「これからどうしますか?…当初はお兄様が大人に成長するまでお母様と過ごした方が良いと思っていましたが、中身が大人では…ここで過ごすのは…、」

「…そうだよねぇ、いくらルーナの番と言われても相手はまだ赤ちゃんだし、あまりに近いところで過ごすと妹的な感情しか湧かないかもしれないし…正直リリィもそうだと思うけど、番と言われても獣人みたいに強烈に惹きあう感情はないんだよね。リリィはグラシオスには好意があるみたいだけどね!」

クスリと笑い含みのある顔で見られ、頬が熱くなった。今の私は顔が赤いだろう。自覚はある、グラシオスに惹かれている。

「……お兄様…、確かに…惹かれています…けど、…」

「まぁ、リリィは番が2人だったよね。大人のグラシオスだけってわけにはいかないよね、どうするの?」

「その事なんですが、…お兄様、今私は東国で魔道具屋を経営しています、しばらくアイルスとルーナがある程度成長するまで一緒に東国で暮らしませんか?」

「…うーん、東国かぁ、どうせ私たちの国は無いし、魔力が高いからそこそこ長生きできるしね。私も体が成長するまでここに居るよりは楽しそうだし、うん、行くよ!」

「では、早速、東国の私の共同経営者のトーヤさんに連絡しておきます。天馬(魔馬)で迎えに来て貰いましょう。トーヤさんが到着次第行きましょう」

「……、ず、随分早い行動なんだね、…」

「鉄は熱いうちに打て!ですよ、じゃぁお兄様、お母様に話を通してから竜達に話しましょう。お母様さえ味方につければ、アルスト様がなんとかしてくれます。アルスト様はお母様の頼みは断りませんから」

「……、リリィ、…君はきっと番が2人でも上手く操縦して強かに生きていけるね……」

ボソボソとお兄様が何か言っていたが、私は新しい兄との生活にウキウキと心弾んでいた。

「何か言いました?」

「…いや、なんでもないよ、お母様の所に行こうか!」

「はい!」



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