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6夢なら覚めて

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「おじ様~おば様~ただいま~」
 私を笑顔で出迎えてくれた2人に走って抱きついた。

「おおーリリィ~おかえり~しばらく見ないうちにまた綺麗になったなぁ、向こうで、モテモテだったんじゃないか?」

「まさか~意外と縁がないものよ~私ってほら、かなり強いじゃない、男ってやっぱり守ってあげたくなるような子が好きでしょ
私じゃぁねぇ私の方が守る事になるでしょ、だから、全然モテないし口説かれた事もないわよ。でもいいの、結婚なんてする気ないし。」

「リリィ……」

「それより、お願いしていた件どうなった?」
おじ様に彼らとの面会を打診してもらっていた。

「それなら、2日後の昼に時間を取ってもらったんだが、ちょっと事情により王城のサロンで面会することになった。勿論私もついて行くから、心配ない。」

「そうですか。わかりました。では今日はゆっくりお二人と過ごせますね。」

ここじゃなくてよかったかも、何かあればおじ様たちに迷惑かかってしまうし。


それから、私はおば様と美容話に花を咲かせ、美容品作る過程でできたお酒の試作品をおじ様に試飲してもらい絶賛され、上機嫌で久しぶりに穏やかで楽しい時間が過ごせた。実の親より親のように愛しんでくれる2人に心から感謝している。




__2日後、王城に向かった、__


王城に着くと、話が通っていたのか、門番にすんなり通され、城の入り口ではグラシオスが出迎えてくれた。
今日、私は魔道具を付けていない。

本当に私が彼の番かきちんと確認してもらった上で話をしなくてはならないから、魔道具を付けていないことに気がついたようだ。
残念だけど、やはり私が彼の番で間違いないようだ。

実際、竜族がつがいに対してどういう態度を取っているか見たことなかったから、グラシオスが私に向ける眼差しに若干引き気味なのは許して欲しい。

これは、…ある意味凄い、どんな鈍い人でも丸わかりするほどの好きオーラが向けられて、思わずおじ様と後ずさった程だ。

初めて会った時はあれほど横柄な態度だったのに本当に随分変わったのね。手紙の文面から受けるの印象そのままなのね。

「グラシオス様、この度は私のわがままでお忙しい中お時間頂きありがとうございます。」

「あ、いや、気にしないでくれ、今日は魔道具なし来てくれたんだね、君を感じることができて嬉しいよ。君はいやだろうが隠されてない君を感じることができて、今、すごく幸せな気分だありがとう。じゃぁサロンに案内しよう、叔父上達は先にサロンで待ってるから」

え!やだ、泣いてるの?やめて欲しい。これから、あなたを傷つけることになるのにそんなに嬉しそうな顔しないで欲しい。

「リリィ、大丈夫かい、今とても辛そうな顔してる。何をする気か分からないけど、いつまでも過去に囚われないで前を向いて欲しい。リリィ、自分を許せなくなるようなことだけはしないでくれ。私たちはどんなリリィでも愛してるし、かけがえの無い家族だと思ってる血の繋がりだけが家族じゃないよ。リリィは私たち夫婦にとって大事な娘だよ。それだけは忘れないで」

ここで、そんなこと言うなんて、私だって本当の親より愛してると自信持って言えるよ、でも、でも、……。

「さぁ、ついたよ、」

中に入ると、王弟殿下と8歳くらいの男の子と…お腹の大きな彼女がいた。
成る程、これが事情ということね。

「初めまして、アルスト=レイだ、…この子はアイルス…私とマリアの息子だ」
子供がいる事は聞いていたけどまさか連れてくるなんて、これじゃ、……、

「お初にお目にかかります。リリアンナと申します。今日はお忙しい中お時間作って頂いてありがとうございます。」
私の挨拶が終わるとすぐ目の前まで男の子が駆けてきた。

「リリアンナ?ボクのおねえ様なんでしょ、すごくキレイ、リリィねえ様って呼んでいい?」
……流石子供、キラキラした目で期待いっぱいに聞かれて否と言える大人がいるだろうか?確かに姉といえば姉なんだけど、竜族は特殊で番が人間の場合生まれる子の遺伝子は竜の遺伝子しか受け継がないから、半獣は生まれない。遺伝子上は他人なんだけど、同じお腹から産まれているからやっぱり姉か。ふふ、子供って無邪気で可愛いなぁ

「ええ、勿論いいわよ。アイルスくん?」

「わぁい、リリィねえ様~」
いきなり私にぴょんと抱きついて膝の上に座りギュウギュウされている、なんで?いきなりなつかれてるの?確かに私は子供には好かれるタイプだけど、……どうすんのこれ。

「リリィねえ様とってもいい匂いがするーなんかボクの胸がぎゅーってするー」

「「「は???!」」」
え!なになに、王弟殿下とグラシオスがすごい顔してるんだけど、どうしたの?

「アイルス!今すぐ離れろ!彼女は私のグラシオスの番だ!番に番以外の男が触れるのは許されない。」

グラシオスが離そうとするが子供でも竜族半端ない力で私にしがみつき、はっきり言って苦しい。

「やだーリリィねえ様はボクのものだー」

「は?ねぇどういうこと?誰か説明してもらえませんか?ねぇグラシオス様、聞くの怖いんですけど、まさかとは思うけど私今すぐあの魔道具つけた方がいいのかしら?」

「ああ、残念ながら、そのようだ、くそっ私でさえリリアンナに触れたことないのに、どさくさにまぎれ、む、胸に顔埋めやがって子供のくせに色気付きやがって、」

え?そこ?今の問題そこじゃないでしょ、悪女になってやると息巻いてきたのに、違う意味で悪女じゃないのか私?
もうどうでもいいから、帰ろうかな。とりあえず、アイルスを引き剥がすためにピアス番遮断を付けたいが、はぁ

「おじ様、私のマジックバックから、ピアスが入った赤い箱とってもらえますか?」
おじ様の不器用で太い指じゃピアスはつけられない、仕方ない

「グラシオス様、すみませんが、おじ様では無理なのでそのピアスをつけて下さい、私はアイルスで手が塞がってますので、耳に付けてください」

「え?ああ、こ、これか?」

真っ赤な顔して私の耳にピアスをつけたグラシオスを見て、見た目は青年だけど年齢は私の倍でしょうが、こんな事で照れるないでよ。もう、なんか毒け抜かれた気分だ。とにかくもっかの問題は一応弟?の処理だ。

「あれ?ぎゅーってしなくなった、なんで?」
ほんとに呪われてるんじゃないの?私。番って唯一無二じゃなかった?

「アイルス、早く離れろ、リリアンナは私の番だ!」

「えーボクのものだよ、ほらーいい匂いするもん。」
すんすん嗅ぐなー、こら、こいつ、子供でも竜族って力ありすぎてタチ悪いな。子供相手に魔法使うのは、…ないな…。

「アイルス、離れてくれるかな?話がチーッとも進まないから、ね!しつこい男は嫌いだよ」

「……わかった。でも、おててつないでて、いい?」
うるうると上目使い、クー可愛いじゃない!小さいお手て繋いじゃうよーヨシヨシ

「はいはい、大人しくお隣に座ってね」

しかし遮断魔道具完璧なはずなんだけどなぁ、何がダメなんだろ改良が必要だわ。
一度でも番認識すると駄目なのかしら?自信作だったにー。

「ねぇ、グラシオス、私の魔道具作動してるわよね、前のより性能いいはずなんだけどなぁ、お互いがつければいいのかな、完全に断ち切る薬も作ってみたんだけど、人体実験できなかったから、理論上は成功してるんだけど、試してみようかな。ちょっと2人で飲んでみてよ、これなんだけど。本当は王弟殿下とグラシオスに飲まそうと思ったけど、子供から親は奪いたくないから、あんた達なら問題ないでしょ、はい。これ飲んで!」

ストレージから薬を2本出した。

「「飲むわけないだろ」いやだよー」

「え?だって、番が断ち切れたら、好きな子と沢山恋愛できて、結婚できると思うけど、それに番とじゃなきゃ、ほら、あれよ、子供できないとかなくなるでしょ。」

「何、言ってんだリリアンナ、竜族は番の縁が断ち切れるということは先に死なれるのと同じ感覚になり廃人となって死んでしまうんだよ。だから、竜族にとっては唯一無二なんだ、己の命より大切なんだよ。」

「えーそれじゃ、これってなんなの?唯一無二じゃないよね、こんな事あるの?私はどうなるの?とにかく、これはおかしいよね?アイルスのこの態度は?何?竜族のシスコン病?」

「「違う」」
竜2人でハモったよ。

「これじゃ、埒あかないし私の予定狂ったから、今日は帰ります。おじ様失礼しましょう」
だめだ、前より状況悪くなったじゃない、さっさと東国帰らなきゃ。

「だめだ、このまま返したらまた東国に逃げるだろ、お願いだから、逃げないで向き合ってくれ。どちらにしても父に会ってもらわねばならない。頼む、この通りだ」

王族が頭下げるとか卑怯だぞ!

「……わかった。とりあえず、王に会う前になんか食べさせて、なんか一気に驚くこと会ってお腹すいた。それと、王弟殿下と母に聞きたいことあるし、本当は子供の前で聞きたくないけど、離れてくれそうにないから、いいですか?」

グラシオス、私の食べさせては竜の給餌じゃないぞ!頬染めて嬉しそうな顔するんじゃない!お前もだよアイルス!
ああ。疲れる。

闇キャラの私は何処いった。返ってきてくれ。誰か、夢だと言って欲しい。

全てアイルスのキラキラ攻撃のせいだ!恐るべしガキんちょパワー

番の縁を断ち切るどころか増えたじゃないの!どうすんのこれー! 

誰か、夢だと言って欲しい。お願いします。
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