228 / 338
私、死にたくない……
4
しおりを挟む
…………
……
「……おい!聞こえてんだろ!?開けろ!」
それと同時にパリンとガラスが割れるような音が何度も聞こえてくる。
「うぜぇ、何重にしてんだよ、この壁……」
でも、そんな状況に目をやる気も起きない。
私は、学園長の話を聞いた後、すぐに自分の部屋まで飛んで来た。
そんな私を追って来たディオンから逃げるように、私はこの部屋を取り囲む光る防御壁を何重にも張り巡らせた。
「……あっち行って……」
ベットの上で小さくお山座りし、膝に顔を埋める。
ラブは、そんな私の横で目を潤ませて私に寄り添っている。
「またそうやって引きこもるのかよ。今度はキノコじゃなくて苔でも作る気か?」
その言葉に、バッと顔を上げた。
こんな非常事態だというのに、鼻で笑られた事に腹が立ってディオン睨む。
ディオンは大魔法使いで無敵だから、1か月後には自分が死んでしまっているかもしれないという、この不安や恐怖なんて分からない。
だからそんな事が言えるんだ!
「作るわけないでしょ!私の気持ちなんて分からないクセに!あっち行ってよ!」
「またそれかよ。俺はお前じゃねぇからお前の気持ちなんて分かるわけねぇだろ」
その言葉にさらにイラつく。
「俺は戦争も出た事もねぇし、命じられた事もない。……でも、それだとお前の傍にいちゃいけねぇのかよ」
そう言われて分からなくなる。
「あと、前から思ってたんだけど、お前いつも俺の事を勝手に決め付けるよな。お前は俺の何を知ってんだよ」
その言葉に、とても悲しくなった。
本当の事なのに、まるで私との間に線引きされたように感じたから。
「そ……そうだよ……。私はディオンの事なんて何も知らないっ!」
本当は、すごく知りたいのに……。
「なんで大魔法使いという事を隠してるのかも、どんな風にして生きて来たのかも、普段は何してるのかとかも……知りたいのに一切教えてくれないのはディオンじゃん!!」
こんなに一緒に居るのに、ディオンの私生活は未だにオブラートに包まれたままだ。
私だって人の事なんて言える状況じゃないのに、それがやっぱり凄く淋しい。
「……まさかお前……」
目を大きくしたディオンは、次にとんでもない事を口にした。
「俺の事好きなのか?」
その言葉に、カチンと体が固まってしまう。
「……へ?」
……
「……おい!聞こえてんだろ!?開けろ!」
それと同時にパリンとガラスが割れるような音が何度も聞こえてくる。
「うぜぇ、何重にしてんだよ、この壁……」
でも、そんな状況に目をやる気も起きない。
私は、学園長の話を聞いた後、すぐに自分の部屋まで飛んで来た。
そんな私を追って来たディオンから逃げるように、私はこの部屋を取り囲む光る防御壁を何重にも張り巡らせた。
「……あっち行って……」
ベットの上で小さくお山座りし、膝に顔を埋める。
ラブは、そんな私の横で目を潤ませて私に寄り添っている。
「またそうやって引きこもるのかよ。今度はキノコじゃなくて苔でも作る気か?」
その言葉に、バッと顔を上げた。
こんな非常事態だというのに、鼻で笑られた事に腹が立ってディオン睨む。
ディオンは大魔法使いで無敵だから、1か月後には自分が死んでしまっているかもしれないという、この不安や恐怖なんて分からない。
だからそんな事が言えるんだ!
「作るわけないでしょ!私の気持ちなんて分からないクセに!あっち行ってよ!」
「またそれかよ。俺はお前じゃねぇからお前の気持ちなんて分かるわけねぇだろ」
その言葉にさらにイラつく。
「俺は戦争も出た事もねぇし、命じられた事もない。……でも、それだとお前の傍にいちゃいけねぇのかよ」
そう言われて分からなくなる。
「あと、前から思ってたんだけど、お前いつも俺の事を勝手に決め付けるよな。お前は俺の何を知ってんだよ」
その言葉に、とても悲しくなった。
本当の事なのに、まるで私との間に線引きされたように感じたから。
「そ……そうだよ……。私はディオンの事なんて何も知らないっ!」
本当は、すごく知りたいのに……。
「なんで大魔法使いという事を隠してるのかも、どんな風にして生きて来たのかも、普段は何してるのかとかも……知りたいのに一切教えてくれないのはディオンじゃん!!」
こんなに一緒に居るのに、ディオンの私生活は未だにオブラートに包まれたままだ。
私だって人の事なんて言える状況じゃないのに、それがやっぱり凄く淋しい。
「……まさかお前……」
目を大きくしたディオンは、次にとんでもない事を口にした。
「俺の事好きなのか?」
その言葉に、カチンと体が固まってしまう。
「……へ?」
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
兄のお嫁さんに嫌がらせをされるので、全てを暴露しようと思います
きんもくせい
恋愛
リルベール侯爵家に嫁いできた子爵令嬢、ナタリーは、最初は純朴そうな少女だった。積極的に雑事をこなし、兄と仲睦まじく話す彼女は、徐々に家族に受け入れられ、気に入られていく。しかし、主人公のソフィアに対しては冷たく、嫌がらせばかりをしてくる。初めは些細なものだったが、それらのいじめは日々悪化していき、痺れを切らしたソフィアは、両家の食事会で……
10/1追記
※本作品が中途半端な状態で完結表記になっているのは、本編自体が完結しているためです。
ありがたいことに、ソフィアのその後を見たいと言うお声をいただいたので、番外編という形で作品完結後も連載を続けさせて頂いております。紛らわしいことになってしまい申し訳ございません。
また、日々の感想や応援などの反応をくださったり、この作品に目を通してくれる皆様方、本当にありがとうございます。これからも作品を宜しくお願い致します。
きんもくせい
11/9追記
何一つ完結しておらず中途半端だとのご指摘を頂きましたので、連載表記に戻させていただきます。
紛らわしいことをしてしまい申し訳ありませんでした。
今後も自分のペースではありますが更新を続けていきますので、どうぞ宜しくお願い致します。
きんもくせい
いいですよ、離婚しましょう。だって、あなたはその女性が好きなのでしょう?
水垣するめ
恋愛
アリシアとロバートが結婚したのは一年前。
貴族にありがちな親と親との政略結婚だった。
二人は婚約した後、何事も無く結婚して、ロバートは婿養子としてこの家に来た。
しかし結婚してから一ヶ月経った頃、「出かけてくる」と言って週に一度、朝から晩まで出かけるようになった。
アリシアはすぐに、ロバートは幼馴染のサラに会いに行っているのだと分かった。
彼が昔から幼馴染を好意を寄せていたのは分かっていたからだ。
しかし、アリシアは私以外の女性と一切関わるな、と言うつもりもなかったし、幼馴染とも関係を切れ、なんて狭量なことを言うつもりも無かった。
だから、毎週一度会うぐらいなら、それくらいは情けとして良いだろう、と思っていた。
ずっと愛していたのだからしょうがない、とも思っていた。
一日中家を空けることは無かったし、結婚している以上ある程度の節度は守っていると思っていた。
しかし、ロバートはアリシアの信頼を裏切っていた。
そしてアリシアは家からロバートを追放しようと決意する。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
えっと、先日まで留学していたのに、どうやってその方を虐めるんですか?
水垣するめ
恋愛
公爵令嬢のローズ・ブライトはレイ・ブラウン王子と婚約していた。
婚約していた当初は仲が良かった。
しかし年月を重ねるに連れ、会う時間が少なくなり、パーティー会場でしか顔を合わさないようになった。
そして学園に上がると、レイはとある男爵令嬢に恋心を抱くようになった。
これまでレイのために厳しい王妃教育に耐えていたのに裏切られたローズはレイへの恋心も冷めた。
そして留学を決意する。
しかし帰ってきた瞬間、レイはローズに婚約破棄を叩きつけた。
「ローズ・ブライト! ナタリーを虐めた罪でお前との婚約を破棄する!」
えっと、先日まで留学していたのに、どうやってその方を虐めるんですか?
ある公爵令嬢の生涯
ユウ
恋愛
伯爵令嬢のエステルには妹がいた。
妖精姫と呼ばれ両親からも愛され周りからも無条件に愛される。
婚約者までも妹に奪われ婚約者を譲るように言われてしまう。
そして最後には妹を陥れようとした罪で断罪されてしまうが…
気づくとエステルに転生していた。
再び前世繰り返すことになると思いきや。
エステルは家族を見限り自立を決意するのだが…
***
タイトルを変更しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる