【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか？

４カ月遅れの誕生日

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「ああ。やっぱまだまだ復帰しない方がいいんじゃねぇか？」
と憎まれ口を叩かれて
「それ、どういう事よ！」
と口が膨ふくらんでしまう。


ディオンは、本気じゃなかったかもしれないけど、私やアランを殺そうとした人物。

それに、どういう理由か分からないけどローレンの前でキスなんてして……さらには押し倒しても来た。
本当にめちゃくちゃな講師だ。


でも、後々知ったけど、そんなディオンは私の夢の中に入り込んだらしい。
だから、あの暗い洞窟みたいなところは、私が作り出した夢の中という事になるんだろう。

夢の中に入るのは、命の危険を伴ともなう行動らしい。
途中で目覚めてしまったら、戻る方法が無くなるんだとか……。

そんな危険まで冒して私を助けに来てくれたなんて、呪いが原因だったとしても……感謝以外にない。

それに、口は悪いけど、そんなに悪い人じゃないと思う事が多い。
だからなのかも。
前みたいには憎めないし、不快感も無い。だから自然と感謝の言葉が出てくる。


ふと、昨日メイから聞いた言葉が浮かんでくる。
『夢の中に入れるのは大魔法使いクラスじゃないと出来ない神業かみわざのようなものだったはずなのに、カミヅキ講師は使えたんだよ。凄いよね』

その時は『へぇ』って、何も分からないフリをしたけど、実はその真相を私は知っていた。

それは……
ディオンが大魔法使いに限りなく近い存在だということだ。だからそんな神業も使えたんだろう。



なぜそう思ったのかと言うと……
見えるようになってしまったからだ。


……みんなの……、魔力が……。