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魔法会
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しおりを挟む今日は、年に一度開かれる魔法会の日。
魔法会とは、進級試験前にこの1年間どれだけ頑張ったのかを競技形式で見てもらう発表会的なもので、前世で言う『運動会』のような存在だ。
運動会と何が違うのかと言うと、当たり前だけど競うのは『運動力』ではなく『魔法力』だ。
そして後は、競う相手の歳が5歳くらいから70代までという、年齢層が本当にバラバラだという事だろう。
幼児と老人が同じステージで競う姿は、未だになんとも言えないような不思議な光景だ。
しかも、幼児が老人に勝つことがあるから意外と見ていても面白い。
魔力は練習すればするほど精度が上がるし、コントロールも上手くなる。
微々たるものだけど、使えば使う程に魔力量も少しづつだけど上がって行く。
なのにどうして魔法を覚えたての幼児が何十年も練習をしている老人に勝てるのかと言うと、クラス別に配られる、この腕に付いているハンデバンドと呼ばれるバンドのお蔭だ。
もちろん、元々の魔力量が多い少ないという事はあるけど。
ほとんど魔力を使った事がないIクラスと、何十年と練習し続けているSクラスとでは正直勝負にならない。
だから、このハンデバンドでクラス毎にだいたい同じくらいの魔力になるように、長年の統計で出したクラス別平均魔力量を元に、魔力を上手く調節しているらしい。
でも、それでも10歳以下が多いFクラスより下が優勝した事はあまり無い。
通常よりも大きく成長した人や特別に魔力が多い人が居ないと、やっぱり魔力を増加するだけでは足りず、どうしても経験値の少ない小さな子供は不利になるのだそう。
だから私は、優勝を経験した事はない。
「頑張って~!」
声援が聞こえて目を向ける。
すると甲子園球場よりも広い、グランドの真ん中に、女子達の背中の壁が見えた。
今年は例年よりも盛り上がっている。特に女子が。
それは、また一段と大人っぽく色気を増したローレンと、最近学園のアイドル的存在にランクインしたばかりのアランがいるからかもしれない。
あとついでにディオンも。
カミヅキ・ディオン、サオトメ・ロレンツォ、ジョウガサキ・アランの3強と呼ばれているらしい。
初めて聞いた時は鳥肌が立ったわ!
なんでディオンがそんな所に入っちゃってるの!?って。
ローレンについては理解しか無い。
アランについても100歩譲って分かるとして……ディオンは本当に顔だけなのに!!
この前アランを殺しかけたし。本当にとんでもない奴なのになんでみんな分からないの!?
「シエルお姉ちゃんも応援しに行こうよ」
Fクラスの待機場に座ってる私は、クラスメイトに誘われる。
「私は後で行こうかな」
「そっか。分かった~先行ってるね」
「うん」
駄目だ。
緊張で……無理かもしれない。
昨日、一睡も出来なかったし。
そらそうだ。
だって、もうすぐ、あの念願の……
魔書資料室に入れるんだから!!
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