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転校生

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驚いて目を見開いた私の頭上から、独特のイントネーションのいい声が落ちて来た。

「なになに~?俺の話してるん?」


ハッとして頭を上げると、目と鼻の先に綺麗な猫目が映ったから、思わず変な声が出た。

「はわぁっ……!?」
「はは、ビックリしてる。かわい~」

「ジョウガサキさんっ!」
「あれ?ちゃうやろ?さっきアランでええって言ったやん」
「ですけど……」
「敬語もいらんて。シエルちゃん1回言うてみ。『アラン』て。言ってたら慣れるから」
「えっ?」
そう言われて周りの目が気になって辺りを確認すると、食堂中の注目の的になっていて変な汗が出そうになった。

「ほら」
「い、今はちょっと……難しそうです」
「なんや。そんなんやったらいつまで経っても言われへんやん。ほら、言うてみ?」
ニコっと目を細めてお願いされて、つい口から出てしまう私は押しに弱いんだろうか。

「ア……アラン……?」
肩に乗っていた手が離れたと思うと、今度はその手は頭上に移動していたようでポンポンとされた。


「よく出来ました」と子供をあやすみたいに言われて、恥ずかしいような、むずがゆい気持ちになると、遠くからキャーと言う悲鳴が上がる。

「後は敬語だけやな。次の休み時間、一緒に特訓しような」
「えっ」
「じゃ、また教室で」
スッと手が離れると、アランは背を向けた。
すると後ろを追いかけている女子達が振り返り、酷い剣幕で睨んでくるからギョッとしてしまう。

「アカンで。俺のクラスメイトをにらまんといてや。そんなんされたら俺悲しいわ」
アランにそう言われてしまった女子達は、慌てた様子で謝り、小さくなる。

「ご……ごめんなさい」
「そんな顔したら勿体ないで。せっかく君ら可愛いんやから。な?」
その言葉で女子達の頬を一気に染め上げる様子にポカーンとしてしまう。

アラン達の集団が学食から消えてホッとしたとき、メイが呟く。
「新たなアイドル誕生ね」

その言葉に妙に納得していると、誰も座っていなかった方の隣の椅子が引かれた。
振り返ると、中性的で綺麗な顔が映った。

「ローレン」
席に座ったローレンは「ここ、いいかな?」と言うと、いつもと全然違う不機嫌そうな目を向けてくるから驚いた。

「大丈夫です」
あれ?どうしたのかな?
こんなローレンの顔、初めて……。


「あれが今日転校してきたという転校生?」
しかもローレンの声がいつもより低い。

「……はい。そうですけど、どうしたんですか?」
もしかして、体調でも悪いのかな。

私の言葉に何も返して来ないローレンは、まるで別人のよう。
何?この雰囲気は?

チラっとメイを見るとメイも驚いた顔をしている。

「ローレン、何かあったんですか?」
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