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学園最弱の存在 Fクラス-16歳-
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しおりを挟む気付けば壁を掴んでいた手が離れていた。
その事に気付いて掴みなおそうとした手はもう壁に届かず、スカスカと空気を掴んだ。
今度は慌てて後ろに一歩踏み出す。
でも、急な斜面のせいで重力に負けた足がまた一歩、そしてまた一歩と行きたい方向と反対に進んでしまう。
「やっ……」
どうにかこの勢いを止めれないかと、足の裏で踏ん張るってみるけど、この勢いは全く止めらない。
そうこうしてるうちに、奴が遠くなっていく。
そしてついに、足裏にあった屋根の感覚が無くなった。
「……あっ……」
次の瞬間、奴は静かに目を細めて手を振った。
……最低……さいっあくの奴だわ!!
落下速度は体感のせいか、驚くほどスローモーションのように感じた。
でも、そのゆっくりとした感覚も、途中から真っ直ぐ落ちるジェットコースターみたいに重心が反対になっていって――
「わ…………あぁぁーーーー!!」
凄い勢いで落下し始めた。
どうしよう、どうしよう。
こんな所で死ぬ訳にはいかないのに!
奴に助けを求める?謝る?
いや、でも……それだけは絶対嫌っ!!
死んでも嫌!
でも、本当に死んだら復讐も出来ず、大好きな両親にも会えなくなる。
それも嫌っ!!
あ!そうだ!もしかして誰かが落下してる私に気付いて助けてくれたり……いや、その可能性は低い。ここは余り使われてない校舎だったから。
もう、自分でどうにかするしかない!
一か八か……。
まだまだ距離のある地面に向かってバッと手を広げる。
出来るだけ風を起こして、落下の速度を弱めるという作戦だ。
最悪、死ななければ治癒魔法でだいたいは治せる。落下は死ぬほど痛いだろうけど。
と考えていた時、すぐにその作戦は失敗に終わるかもしれないと思った。
だって、手の先から風が起こっている感じが全くしなかったから。
さすが学園最弱の私!
スピードは全く落ちていない。
頭上に『死』の文字が浮かび上がる。
つくづく思う。
やっぱり思い通りにはいかないというのが私の人生だって。本当に嫌になる。
でも、奴に頭を下げるという選択肢を選べない私は、生まれて初めて死ぬ気でありったけの魔力を手の先に込めた。
風よ、起こって……
……お願い……っ!!
すると、次の瞬間、胸元に酷い違和感が走った。
言うならば、何かもやっとしたような圧迫感もあるような、なんとも言えない感覚だ。
その違和感と同時に、胸元で何かが砕けたような音が鼓膜に届いた。
パキ……ッ
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