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追憶

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「こ、ここリビングなんだけど」
「で?」

「で、って……」
間接照明だけど、この部屋めちゃくちゃ明るく感じるし……なにより、この部屋、
壁一面がガラス張りだから外から丸見えなんですけど!?

って、そこまで言わなくても分かるでしょ!
このソファからでも凄い夜景が見えてるし!
って事はあの光の数だけこっちの様子が見えてるって事でしょ!?

「彰、寝不足なんでしょ……?」
「ああ、でもさっき車で少し寝たから大丈夫」

「少しだと駄目だよ、もっと寝た方が……」
「ごちゃごちゃうるさいな。何が言いたいんだよ」
面倒くさそうに低い声でそう言われたと思うと、シャツの中で止まっていた手が動き出して、ブラ越しに揉み始める。

「……んっ、待っ……て」
知らない間に何か刷り込まれてるんじゃないかって思うくらい、たったそれだけで体のスイッチが入れられ、甘美な気持ちにさせられる。

「ここだと……そ、外から……見えちゃ……うよ……」
私の言葉に一瞬不思議そうな顔をして手を止めた彰は、フッと笑う。

「ふぅん、なる程な」
そう言う彰は酷く悪戯いたずらな顔をして、いきなり私をお姫様抱っこをした。


「……えっ、な、何?!」
驚く私は抱き上げられながら、彰の不可解な行動に眉を寄せて聞く。

彰の行動だけを取って考えると、やっと私が言いたい事を理解してくれて、このまま寝室に連れて行かれる⋯⋯という話な気がする。
でも今浮かべるその表情は、そういうのではない事を物語っていた。

そして進む方向はどっからどう見ても、壁一面のガラス張り。

いったい何?!

彰の行動に頭が混乱する中、ガラスに向き合うように降ろされた私は、耳元で囁くように言われる。
「そこに手ぇつけよ」
「え?手?」


恐る恐る、言われた通りにそっと手を突く。

手のひらにガラスのヒヤリとした冷たさが伝わって来るけど、一体何がしたいのか、首を傾げ視線を下げる。
すると、凄く小さい光る粒みたいな車がたくさん通っているのが見えた。

そしてそのまま少しだけ視線を上げると、向こうの窓とかも見えるくらいの、ここより少し低い建物がいくつか見える。

きっとあの辺りの建物からだと、こっちの様子なんて見えてしまうんだろう。
と考えた矢先、彰も同じ事を考えていたようで、
「あっちの方から見たら、俺ら丸見えかもな」と後ろから抱きつき言ってくる。


さっきから、彰の行動が謎過ぎる。

両想いになっても彰は謎だらけだ、と思った瞬間ーー
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