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分からない気持ち
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しおりを挟む「この奥好きだよな。でもこっちの方が……もっと好きだよな?」
遥が1番好きな体勢に変えると、また顎を反らして悲鳴のような喘ぎ声を上げる。
「あぁッ……!」
また背が弓のようにしなったと思ったら、いきなり脱力した。
直後、遥の大きく丸い目はゆっくりと閉じていく。
「え?」
そんな遥の様子に驚き止まると、静かな車内に寝息が漂って来た。
「まさか……寝てる?は?おい、寝るな」
揺らしても揺らしても起きない遥。
汗だくでぐったりとなった遥に呟く。
「……まだ、俺イってないんだけど」
でも目の前の遥は満足したのか、驚く程スッキリとした寝顔だった。
「覚えとけよ」
寝てる遥に、ため息をついて抱き寄せた。
「クソッ」
…………
……
鳴り続けるアラームを消す。
かなり長い間鳴ってたはずなのに、俺の隣で静かに寝息を立て続ける可愛い遥の姿。
よっぽど疲れてるのだろう。
よく分からない薬まで盛られて。
まぁ、俺もちょっと無理させた気はするけど。
大半はあのクソ野郎のせいだ。
「あのクソ野郎、絶対に許さねぇ」
遥に薬を盛った事、遥に手荒な真似をした事、遥に手を出そうとした事。
何もかも絶対に許さねぇ。
薬なんて盛らなければ、遠くに飛ばすくらいで済ませてやろうと思ってたのに。
まあ、それでも今みたいな生活は到底戻れないようにするつもりだったけど。
俺の遥に手を出そうとした事、
一生かけて後悔しろ。
俺はスマホを手にし、遥が寝息をついている寝室を出る。
そして朝日が差し込むリビングのソファに埋もれると、実家に電話を掛けた。
「俺だ。今から言うやつの名をメモれ。
山村証券の杉山正治。こいつを……」
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