28 / 337
サークル飲み会
9
しおりを挟む
「どうして、ここにサークルメンバーじゃない人がいるんですか?」
「誘われたんだよ」
「ふーん」
さすがにこんなに沢山の人がいる所だし、アキラは何もしてこないだろうから別にいいけど。ただ酒が不味くなるだけ。
昔は酷いものだったけど、大人になったアキラは東十条ホールディングスの看板を背負っているのを自覚したのか、私以外には多少だけど外面が良くなっている。
だからきっと、こういう場のアキラは無害だ。
「遥ちゃん何飲む?」
わざわざメニュー表を手に注文を聞きに来てくれた美月さんに、カシスオレンジをお願いする。
「お前弱いから飲み過ぎんなよ」
「心配してくれてありがとう」
弱くなんて無いんですけど?何言ってんの?
心の中で喧嘩を売りながら完全な作り笑いで返す。
「お前、飲むと馬鹿になるからな」
皮肉な口調にカチンとくる。
「飲むと、馬鹿?⋯⋯どういう事よ」
アキラと仲いいとも思われたくない私は、出来るだけ表情をあまり変えずに返す。
「あれ?お前もしかしてあの日の事、全く覚えてねぇの?」
アキラはグラス片手に少し驚いた顔を見せる。
「あの日……?」
あの日って、多分アキラと再会した、あの宅飲み会の事を言ってるんだろうけど……。
そういえば、宅飲み会の翌日のメールに今アキラが言ったような事が書いていたような?
じゃあ……何?
あの日、私が何かおかしな事をしたって事?
あの日の事はほとんど記憶が無いから、一緒に行った友達に特に変わったことがなかったってちゃんと聞いたのに。
『何もなかった』って言ってる友達と、何かあったような口調のアキラ、一体どっちが本当なの?
「ふぅん、そうなんだ。馬鹿って幸せ者だな」
考え込む私の顔を覗くアキラは、意味深な言い方をした。
「な、なによ、なんかムカつくわね」
相変わらず癇に障るヤツ。
言うなら勿体ぶらずに言えばいいのに。
でも『教えて』なんて言うと、負けてる気がして絶対に聞けない。
「さっきから仲良さそうだけど、2人って知り合いですか?」
向かい側から声を掛けられる。
私たちの話に割って入ってきたのは、メイクが濃くなって戻って来たサークル友達。
「知り合い……?」
そう言われてアキラの方を向くと、胡散臭い笑い方をする端正な顔のアキラが映る。
ああ、どう見たらこんな奴と仲良さそうに見えるのか、是非教えて欲しいところです。
「言えば知り合い……なのかな?」
私の希望は完全に他人なんですけど。
アキラとの仲をあまり公言はしたく無い私は曖昧な返事をする。
仲のいい友達だけに口止め有りで話すならまだしも、こんな沢山の人がいる所で話すなんて論外だ。
「え、どっちなんですか?」
あれ、まだ掘り出そうとするの?もうこの話題嫌。
「えっと……」
答えないと逃げられなさそうな状況に、なんと言えばいいのか困っていると、横からアキラが片肘ついて横から話し出す。
え!?ちょっとまさか……待って待って!
「誘われたんだよ」
「ふーん」
さすがにこんなに沢山の人がいる所だし、アキラは何もしてこないだろうから別にいいけど。ただ酒が不味くなるだけ。
昔は酷いものだったけど、大人になったアキラは東十条ホールディングスの看板を背負っているのを自覚したのか、私以外には多少だけど外面が良くなっている。
だからきっと、こういう場のアキラは無害だ。
「遥ちゃん何飲む?」
わざわざメニュー表を手に注文を聞きに来てくれた美月さんに、カシスオレンジをお願いする。
「お前弱いから飲み過ぎんなよ」
「心配してくれてありがとう」
弱くなんて無いんですけど?何言ってんの?
心の中で喧嘩を売りながら完全な作り笑いで返す。
「お前、飲むと馬鹿になるからな」
皮肉な口調にカチンとくる。
「飲むと、馬鹿?⋯⋯どういう事よ」
アキラと仲いいとも思われたくない私は、出来るだけ表情をあまり変えずに返す。
「あれ?お前もしかしてあの日の事、全く覚えてねぇの?」
アキラはグラス片手に少し驚いた顔を見せる。
「あの日……?」
あの日って、多分アキラと再会した、あの宅飲み会の事を言ってるんだろうけど……。
そういえば、宅飲み会の翌日のメールに今アキラが言ったような事が書いていたような?
じゃあ……何?
あの日、私が何かおかしな事をしたって事?
あの日の事はほとんど記憶が無いから、一緒に行った友達に特に変わったことがなかったってちゃんと聞いたのに。
『何もなかった』って言ってる友達と、何かあったような口調のアキラ、一体どっちが本当なの?
「ふぅん、そうなんだ。馬鹿って幸せ者だな」
考え込む私の顔を覗くアキラは、意味深な言い方をした。
「な、なによ、なんかムカつくわね」
相変わらず癇に障るヤツ。
言うなら勿体ぶらずに言えばいいのに。
でも『教えて』なんて言うと、負けてる気がして絶対に聞けない。
「さっきから仲良さそうだけど、2人って知り合いですか?」
向かい側から声を掛けられる。
私たちの話に割って入ってきたのは、メイクが濃くなって戻って来たサークル友達。
「知り合い……?」
そう言われてアキラの方を向くと、胡散臭い笑い方をする端正な顔のアキラが映る。
ああ、どう見たらこんな奴と仲良さそうに見えるのか、是非教えて欲しいところです。
「言えば知り合い……なのかな?」
私の希望は完全に他人なんですけど。
アキラとの仲をあまり公言はしたく無い私は曖昧な返事をする。
仲のいい友達だけに口止め有りで話すならまだしも、こんな沢山の人がいる所で話すなんて論外だ。
「え、どっちなんですか?」
あれ、まだ掘り出そうとするの?もうこの話題嫌。
「えっと……」
答えないと逃げられなさそうな状況に、なんと言えばいいのか困っていると、横からアキラが片肘ついて横から話し出す。
え!?ちょっとまさか……待って待って!
0
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説
年下の彼氏には同い年の女性の方がお似合いなので、別れ話をしようと思います!
ほったげな
恋愛
私には年下の彼氏がいる。その彼氏が同い年くらいの女性と街を歩いていた。同じくらいの年の女性の方が彼には似合う。だから、私は彼に別れ話をしようと思う。
こじらせ女子の恋愛事情
あさの紅茶
恋愛
過去の恋愛の失敗を未だに引きずるこじらせアラサー女子の私、仁科真知(26)
そんな私のことをずっと好きだったと言う同期の宗田優くん(26)
いやいや、宗田くんには私なんかより、若くて可愛い可憐ちゃん(女子力高め)の方がお似合いだよ。
なんて自らまたこじらせる残念な私。
「俺はずっと好きだけど?」
「仁科の返事を待ってるんだよね」
宗田くんのまっすぐな瞳に耐えきれなくて逃げ出してしまった。
これ以上こじらせたくないから、神様どうか私に勇気をください。
*******************
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
【R18】十六歳の誕生日、許嫁のハイスペお兄さんを私から解放します。
どん丸
恋愛
菖蒲(あやめ)にはイケメンで優しくて、将来を確約されている年上のかっこいい許嫁がいる。一方菖蒲は特別なことは何もないごく普通の高校生。許嫁に恋をしてしまった菖蒲は、許嫁の為に、十六歳の誕生日に彼を自分から解放することを決める。
婚約破棄ならぬ許嫁解消。
外面爽やか内面激重お兄さんのヤンデレっぷりを知らないヒロインが地雷原の上をタップダンスする話です。
※成人男性が未成年女性を無理矢理手込めにします。
R18はマーク付きのみ。
隣人はクールな同期でした。
氷萌
恋愛
それなりに有名な出版会社に入社して早6年。
30歳を前にして
未婚で恋人もいないけれど。
マンションの隣に住む同期の男と
酒を酌み交わす日々。
心許すアイツとは
”同期以上、恋人未満―――”
1度は愛した元カレと再会し心を搔き乱され
恋敵の幼馴染には刃を向けられる。
広報部所属
●七星 セツナ●-Setuna Nanase-(29歳)
編集部所属 副編集長
●煌月 ジン●-Jin Kouduki-(29歳)
本当に好きな人は…誰?
己の気持ちに向き合う最後の恋。
“ただの恋愛物語”ってだけじゃない
命と、人との
向き合うという事。
現実に、なさそうな
だけどちょっとあり得るかもしれない
複雑に絡み合う人間模様を描いた
等身大のラブストーリー。
【R18】豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網〜策士な後輩から逃げられません!〜
湊未来
恋愛
「ねぇ、本当に陰キャの童貞だって信じてたの?経験豊富なお姉さん………」
30歳の誕生日当日、彼氏に呼び出された先は高級ホテルのレストラン。胸を高鳴らせ向かった先で見たものは、可愛らしいワンピースを着た女と腕を組み、こちらを見据える彼の姿だった。
一方的に別れを告げられ、ヤケ酒目的で向かったBAR。
「ねぇ。酔っちゃったの………
………ふふふ…貴方に酔っちゃったみたい」
一夜のアバンチュールの筈だった。
運命とは時に残酷で甘い………
羊の皮を被った年下オオカミ君×三十路崖っぷち女の恋愛攻防戦。
覗いて行きませんか?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
・R18の話には※をつけます。
・女性が男性を襲うシーンが初回にあります。苦手な方はご注意を。
・裏テーマは『クズ男愛に目覚める』です。年上の女性に振り回されながら、愛を自覚し、更生するクズ男をゆるっく書けたらいいなぁ〜と。
私の心の薬箱~痛む胸を治してくれたのは、鬼畜上司のわかりづらい溺愛でした~
景華
恋愛
顔いっぱいの眼鏡をかけ、地味で自身のない水無瀬海月(みなせみつき)は、部署内でも浮いた存在だった。
そんな中初めてできた彼氏──村上優悟(むらかみゆうご)に、海月は束の間の幸せを感じるも、それは罰ゲームで告白したという残酷なもの。
真実を知り絶望する海月を叱咤激励し支えたのは、部署の鬼主任、和泉雪兎(いずみゆきと)だった。
彼に支えられながら、海月は自分の人生を大切に、自分を変えていこうと決意する。
自己肯定感が低いけれど芯の強い海月と、わかりづらい溺愛で彼女をずっと支えてきた雪兎。
じれながらも二人の恋が動き出す──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる