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獣人騎士団

第4話

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 sideジェリー&レン

 2人共。土下座をして両手を挙げる彼に戸惑っていた。あの日獣人は人間の奴隷になった。全員。王族も貴族も、平民も例外なく。命令に従わなければ罰を与えればいい。

「ジェリーさん。完璧に自分らが悪者じゃないすか」

「レン。人聞きの悪いこと言わないでちょうだい」

 ジェリーが耳に付けた通信の魔導具に連絡が入り、桜色の髪を耳にかけ右耳に装着した通信具に触れる。

「何よ。団長。緊急事態でも起きたのかしら」

 土下座に両手上げた状態を気の毒に思ったレンが、彼を立たせている姿を横目に見ながら、焦った口調でジェリーは問いかけた。

「緊急事態は緊急事態だ。異世界人を召喚しやがった。
 エルフと精霊のハーフ。フェリルシアの一族を虐殺した人間が今更、精霊が見える者を探してだな」

「簡潔に話なさいよ。精霊が見えるのはフェリルシアの一族だけよ。
 あるかどうか分からない別世界の人間に見えるわけがないじゃないのよ」

「ああ。ありえねぇ話だ。獣人を生贄にして召喚したが、召喚陣には誰もいなかった」

「待ちなさいよ。生贄」

「生まれたばかりのガキどもだ。誰かが来た痕跡はあるらしい。
 血眼になって探している。見つけたら保護しろ。俺らに反撃余地は無くなる。分かったな」

 一方的に通信が切られた。簡潔に話すようにジェリーは言ったけれど団長の話は短くまとめすぎだった。子どもがどうなったのか。痕跡は。どんな痕跡があったのか。レンも通信具を通して団長の言葉を聞いていたから複雑な表情になっていた。

「ごめんなさいっす。変な顔を見せて」

「いえ。私が勝手に此処にいたのが悪いので。
 私の事は空気だと思ってください」

 底抜けに明るく笑顔で話す彼にレンは無理をしているように思えた。

「無理して明るく話さなくていいっすよ。気持ち悪いっす」

 彼から笑顔が消えて、無表情になった。今までわざと笑っていたのが丸分かり。ぴくりとも表情は動かない。

「仕事モードはやめます。ありがとう。疲れるから。無理に笑うの。
 敵意が無いのは分かってもらえたかな。良かった言葉通じた」

 ぼそっと彼が最後に呟いた言葉を側にいたレンも、少し離れた場所にいたジェリーも聞こえなかった。

「あんた。名前は」

「私は三嶋薫。こちら名刺。プロフィールになります」

 受け取った2人はそのまま固まった。
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