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第2章 死系主人公

発想が主人公じゃない

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囚人生活が始まって一日もしないうちに、俺に死刑宣告が出されてしまった。罪状は明かされなかったが、死刑囚だということは刑務所中にすぐに広がった。

刑務所の生活は決まっているため、死刑囚だと知られたと知るのは少し後になる。一日二回の飯は各部屋で済ませ、一度だけ全員の囚人が広い多目的ホールで自由に行動ができる。就寝起床は完全に操作され、それ以外は牢屋でおとなしくしていないといけない。

その日の自由行動は、死刑宣告の後にあり、いろんな囚人に冷やかされた。

「ここの上下関係は罪状じゃねえ、服役年数だ。調子に乗るなよ?」

「死刑囚だか何だか知らねえが、あんま調子に乗ってると痛い目見るからな?」

「少し調子乗ってねえか?新人。ボスが黙っちゃいないからな?」

とまあ調子には乗らないようにとのことだ。

「死刑囚ちゃん、大丈夫?」

ブライは大柄なのに臆病なようで、自由時間中は俺から離れて行動していた。仲良くなる気があるのだろうか。

「大丈夫。」

俺は固いパンを冷たいスープに浸し、今後のことを考える。死刑執行は一週間後であり、一つだけ望むものを明日の夜に申告しなければいけない。罪人とはいえ余生を楽しめということらしい。

まあ死なないし、服でもお願いしようかな。

しかし、不死であることがばれたらどうなるのだろうか?死刑執行後、無期懲役で永久にここに住むことになったら…。

どうなるのだろうか?

…。

50年もすれば俺よりも服役年数が多いやつはいなくなる。でかい顔して過ごせるな。ぱっぱと食器を片付け、かっこいい服を申請して未来の牢獄のボスにふさわしい身なりになろうと考えるのだった。



朝になり朝食を済ませ、自由時間になった。前回同様ブライが姿を消すが、今回は昨日よりも囚人たちの活気があり、さながら動物園のような騒ぎ用だった。

「死刑って。そういえばソーンはどうやったら死ぬの?」

霊がポンっと現れ話しかけてくる。

「教えてやる。代わりにお前を消す方法を教えてくれ。」

俺が周りの騒がしい声に掻き消えるほどの独り言をつぶやくと、不自然に俺の前に道ができる。道というか、走り回ったり暴れている囚人が意図的に避けているかのように一直線にある男と俺の間から人がいなくなったのだ。

俺はそこを歩かない理由もなかったためある男ブライのもとへ足を運ぶ。

「やあ、死刑囚ちゃん。あたしがここのボス、ブライ。折り入って話がある。」

いつもの口調で話すブライではあるが、そこにいるのはおかまではなく、この刑務所の強姦魔…もとい、最古服役囚人のボスであった。

「この腕輪。何かわかるでしょ?」

ゴリゴリの腕に窮屈そうな腕輪がつけられている。知らん。俺もつけられたが、なんだそれは。採寸を間違えたのか?

「もしこれを外すことができるとしたらどうかしら?」

よくわからない。スッキリするんじゃないのか?。

そう思ったが、俺は少し驚くようにして眉をひそめる。そして間を開けた後鼻で笑い、そんなことできるはずがない。と言いたげに笑みを浮かべる。

まるで話を理解しているようにふるまい、ブライの話になんだと!?な表情を作り、一切口を開かずにやり過ごす。

俺が全く理解せず話を聞いていないことがわかったのか、俺の芝居を横で見ていた霊は、楽しそうに笑うのだった。
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