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第1章
第11話 不可触民の宣言
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「くくくっ……ははははは……!」
静まり返った校庭の片隅に、一人の男の笑い声が木霊する。ここには大勢の生徒が居るというのに、誰も口を開かない。
ジンはしばらくの間不気味に嗤い、そして言葉を発した。
「無様だな……ラグナ」
「っぐ……!」
学年主席は、穢れた男を前に息を詰まらせるだけで、何も言えなかった。
「身分階級から弾かれたクズを前に、手も足も手せずに完敗……そんなんで良く学園を正しい姿に導くなんて大見得が切れたものだ……!」
「だ、だまれ……」
ふるふる肩を震わせながら弱弱しく口が開かれた。
その様子にジンは再び笑いが込み上げるのを懸命に堪える。
「お前には人を従える力なんか無いし、何かを変える力も無い。ましてや戦争なんざ……ラグナ。潔くクラブを解散しろ」
ジンの宣告にラグナは睨んだ。
それを引き金にレヴィアタンが威嚇の唸り声をあげる。
「身の程を知れ。そんな器じゃねえんだよ、お前は」
「黙れ……! 竜門会を解散だと……? 誰が貴様の言う事など聞くか!」
「ああ、そうかい……」
「ふざけやがって不可触民が……! 僕は、負けたなどと思っていない!」
「負け犬の遠吠え結構……どちらにせよ、落とし前は必要だ。お前は、多くの勤勉で真面目な生徒をいたぶり、傷つけ、虐げて、迫害した……! それには何の意味も無かった。ただ自身の権力を振りかざしたかっただけの、くそ最低なエゴだ……! 戦いの前に言ったな、俺はお前を潰すと……」
ジンの声は静かで低い。その言葉の奥には怒りと嘆きと優しさが混同し見え隠れしており、ここにいる全てに分からせるような語り口調だった。
「いいや……! いずれ潰されるのは貴様の方だ、アンタッチャブル!」
「ヴィクトリア、やれ……!」
「っは……!?」
ジンが手を下ろすと、ヴィクトリアは大口を開いて、ラグナの体をバクリと一飲み。
――そして、呑み込んでしまった。
驚きの出来事に見物人達は顔を青ざめさせ、それでも恐怖のあまり悲鳴も上がらない。
「何をしているだ、ジン!!!」
バートラムが血相を変えてジンの肩を強く掴んだ。
「安心しろ、殺しはしない」
そう答えてもバートラムの様子は変わらなかったが、何を言われても無視し決め、掴まれた手を振りほどき、ここに居る全員へと向き直る。
「聞け! ここに居るあんたら全員は、俺の存在が許せないだろう。追い出したくて仕方が無い筈だ……俺を追放したいなら、掛かってくるがいい。俺は逃げも隠れもしないし、どんな卑怯な手でも使ってくるがいいさ。俺は正面から迎え撃つ。ただし、覚悟はしておけ……! これはちんけな戦争ごっこなんかじゃない、革命だ。俺は、宣言する……! この学園を作り替える! 身分階級という、他者が決めた価値観を捨て去り、真の実力が評価される、あるべき姿の学園にしてみせる……! そこには、上流だの下流だのの区別はない。気に入らなければ止めてみろ……! 俺は、ことごとくを返り討ちにしてやろう……!」
ニヤリと口角を吊り上げて締めくくった。
不可触民の戯言に、誰も何も答えない。
ラグナが魔物に飲み込まれた光景が頭から離れないのだろう。彼らの記憶にはしっかりと恐怖が植え付けられた。
「……ヴィク、出してやれ」
レヴィアタンは二度三度えづくと、地面に鼻先をくっ付けて、ラグナを吐き出した。
命に別状は無くとも、体中は胃液まみれでべとべとで二枚目が見る影もない。
「がはっ……! かひゅぅっ……!」
ラグナは胸を掻き毟りながら酸素を貪った。少しの間とはいえ、水竜の胃袋の中に納まった恐怖体験は、普段は身だしなみも綺麗な紳士の少年に、多大な精神的損傷を与えたようだ。
身体に傷は無いが、立ち上がる事すら出来ない。がくがくと膝を震わせて、直ぐに転び倒れる。
「ははははははははは……!」
その姿を目の当たりにして、ジンは大いに笑ってやった。
そして再び口を開く。
「俺と戦いたい奴は、こうなる覚悟を決めておけよ……」
これは、見せしめだった。
召喚士としての圧倒的な力を見せつけた後、敗北した時に負うリスクを、ここに居る者全員の脳裏に焼き付けた。歯向かう気すら起こさせないように。
それは、しっかりと彼らの心の中に根を張り、取り除く事も出来ない。
その証拠にジンと目を合わせようとするものは居なかった。誰もが俯き唇を噛む。ラグナが地べたに這いつくばっているというのに、竜門会のメンバーは誰一人として、手を貸しに来ることは無かった。
実質、竜門会は解散したも同然だった。
それを理解してラグナは額を地面に擦りながら自嘲気味に笑った。
「あはは……そうか……そうか……」
貴族の子に生まれ社会のトップに立つ少年。更には召喚士としての腕も一流の学年主席は、胃液と泥に塗れてどろどろだ。
いつも見下していた不可触民に見下され、立場が逆転している。
「それが、君の、本当の姿というワケだ……!」
腕を突っ伏し、震える膝に鞭を打ち、無理やりに立ちあがった。
そして、ジンを睨みつけ、口を開く。
「覚えたよ、ジン……! 君の名前は生涯忘れる事が出来ないだろう。この僕に初めて黒星をつけ、汚辱と屈辱と恥辱を塗りたくった男だ……! この恨みは決して忘れない! そして、覚えておけ! 君は必ず、僕が、潰す……! ラグナ・エンリの名に懸けて! 覚悟をしておくんだ、君の時代が長く続くことは無い……! 潰す、僕が……! 忘れるな、ジン!」
ジンは静かに嗤った。
◇
終わってしまえば熱気が冷めるのも早かった。
ジンは小屋の庭先で焚火を見つめながら座り、空いた小腹を満たす為にベーコンを串に刺して温めて頬ばるが、旨いのか、そうでも無いのか良く分からなかった。
「何だが、妙に惚けてますね……」
コーヒーカップを両手で傾けるミノアがジンに問いかけるも、気だるそうに眼を向けて答えるのも億劫だった。
「うん……なんというか、一気に燃え上がったから、その反動で、一気に疲れが来たというか、一段落して安心した、というか……」
思考も纏まらないままに歯切れの悪い言葉が散文で出てくるだけだ。
まだまだやらなければならない事も沢山ある。
革命は始まったばかりで多くの敵を作ったし、気を緩めるわけにはいかないのだが、どうもやる気が起きない。
「そ、そうですか……それで、私の写真の事なんですが……」
「まだ返す訳にはいかない」
「ですよねー、分かってたんですよ?」
少し気が緩んだとは云え、それは計画が順調に進んでいる証でもある。
一晩経てばいつも通りに戻ってくれるだろう。
それは激動の日々の始まりでもあるから、今だけは気持ちを休ませていたい。
それでもミノアと合流したのは、最終の打ち合わせをしたかったからだ。
「それで、今日で確実にジン君は学園中を敵に回しましたよ? 生徒会からは完全に目を付けられましたし、他のクラブや、それにラグナ君もあの様子ならばまた牙を向いて来るでしょう……そんな人たちが一斉に向かってきたら、いくらあなたでも太刀打ちできないんじゃないですか?」
「その為に恐怖を植え付けた。少なくともしばらくの間は警戒されるだろうが、手は出されないだろう」
「あ、ラグナ君にした事、あれは教師としては見過ごせません! 今後あんな、命を脅かすようなことはしないで下さい!」
「絶対に殺さない自信があったからこそやった。それに、あんたに教師面されると無性に腹が立つな……どの口が言っているんだと思ってしまう。いたいけな少年を毒牙で蝕んておいて……」
「ま、また蒸し返すんですか……? だからもうやってないじゃないですか……! その毒牙は虫歯になったので抜きました!」
「そういえば、あんたお気に入りの少年が、あんたに会いたがっていたぞ?」
「本当ですか!?」
「嘘に決まっているだろ、毒蛾野郎め。俺に面識があると思うか?」
嬉しさを満面に表したかと思うと、直ぐに落胆した。「ひどい……」と恨めしそうに零す。もうしばらくジンが弱みを握ったままでいないと、この女は懲りずに件の少年にイタズラをしそうだ。
味のしないベーコンを食べ終え、残された木串を弄んでいると、枝の弾ける音が聞こえた。焚火の中からではなく、森の暗闇の中から。
「よお……来るだろうと思っていたぞ」
「………」
闇の中から、同じように闇色をした髪を揺らして現れるカレンに挨拶を送るが、冷たさと警戒を含んだ視線が返されるだけで言葉は返されない。
「大体の要求と、あんたの言いたいことは分かっている……でも残念、あんたを手放すつもりも無いし、というか、その事に意味は無い」
「そう……全部あなたのお見通し、計画通りってことね……」
「そういう事だ」
「あの、どういう事ですか?」
事の次第を知りたそうにミノアが首を傾げた。
「先生同様、彼に私を解放してもらうように頼みに来たのです。でも、それは私の予想通り叶いませんでしたけど」
「というか、俺はお前に何も要求していなければ、何も指示していない。ただ今まで通りいつも通り学業と生徒会活動に従事し、青春を謳歌していろと、至極当たり前な事を言っただけだ。それで開放も何もないんだよ」
「あなたに、関わってしまった時点で、私の運命は決まっていたというワケね……」
「そういう事だ……」
カレンは拳を握り締めて悔しさを表現し、ジンは「話が早くて助かる」と口元を綻ばす。
「では、色々と教えてちょうだい。あなたは今日のこの結果、何処までを予想していたの?」
「その質問も含めて、全部だ」
ジンが淡泊に答えるとカレンは息を詰まらせた。
「ラグナが下流生狩りをする事、下流生を人質に俺を排除しようとする事、生徒会が動き出し、あんたが処理人として立ちはだかる事、そして負ける事、俺が奴を叩きのめす事、それによる周りの奴らの反応……全部だ、可能性としてはその他にもいく通りかのパターンはあったが、今日起きたことはその可能性が現実になっただけで、全て予想通りと云える」
「ふふ、ふ……私がラグナに負ける事も予想通りなんて、ね……」
「ああ、それに関しては確信があった」
堪え切れなくなったカレンが声を荒げる。
「確信ですって!? 私とラグナとの間に、実力の差はほぼ無かった筈……! 今日私が敗北したのは、ただの運! 私にもどうしようも無い力が働いただけのことよ! それを確信があったですって!」
「ああ、そうだ……! ケルベロスに見限られる程度の召喚士が、あの男に勝てるワケが無い。その確信があった……!」
「……っ!」
カレンは言葉を詰まらせたが、ジンは止めの一撃とばかりに言葉を放つ。
「運、だと言ったな……あんたが負けたのは運のせいで、自分でもどうしようも無かったと……それならば、あんたは一生どうしようも無い人間のまま、召喚士として底辺のままであり続けるだろう。あんたがラグナに負けたのは、単純に技量と召喚士としての器だ」
「ラグナの方が、私よりも優れていると……?」
「遥かにな。あいつは考え方が少々過激なだけで、召喚士としては既に一流の域に片足を突っ込んでいる」
カレンは何か言いたげだったが、逡巡した挙句、拳を解いて柔らかく口を開いた。
「それでもまだ一流じゃないのね……」
「一流の召喚士ってのは俺みたいな奴だ」
「言うわね……」
ついに、優等生の少女は黒真珠のように潤んだ瞳から、涙を零した。
「あんたは泣いてばっかだな……」
「泣いてなんか、ないわよ……!」
赤らんだ頬を隠すようにそっぽを向く。しかし、袖で目元を拭う姿は隠しようがなかった。
「でも、ほんと、ぜんぶ……あなたの言う通りよ。自分でもそんな事分かり切っていた筈なのに、確かめずにはいられなかったのね、きっと……」
背中を震わせるカレンに、ミノアがそっと近寄った。少女もそれを受け入れ女教師の腕をとる。
「別にそこまで悲観する事じゃ無い。この学園は世界一の召喚士養成学校とか謡いながら、8割はボンクラだ。あんたもそのボンクラの一人だったってだけだ」
「もう! 泣いている女の子に向かってその言い方は無いぞ!」
「先生、泣いて無いです……」
ミノアの抗議には耳を傾けず、ジンは続きを語る。
「召喚士の技量なんてのは、磨けばどうとでもなる……あんた、人としてはめちゃくちゃ優秀だよ」
「えっ……?」
思いもよらぬ言葉だったのか、驚いたカレンは面を上げる。涙は流れていなかったが、目は少し赤くなっていた。
「俺みたいに壊れても無いし、そうやって自分と真剣に向き合い、俺にムキになって怒り、己の弱さを痛感し反省する……それは案外難しい事だ。それが出来る奴は強くなる……なぜなら、そうやって失敗して、敗北して、学びを得る事を成長と呼ぶからだ。成長出来る人間は、強い……」
ジンがいつものように口端を上げて嗤ってやると、カレンはポカンと面食らっていた。
「驚いたわ……あなたも人を褒めるのね……」
「いつも褒めているだろう」
「いつも見下しているじゃない」
「何を言ってやがる、いつも見下されているのは立場上、俺だろう……?」
「そうか、そうね……」
ようやく優等生は純粋に笑った。
「ねえ、教えて……あなたはどうしてそんなに強いの?」
カレンの心からの疑問にジンは顎に手を置いてしばし考え、星の光に輝く夜空を仰ぎ、答えた。
「もし、俺が強いのだとすれば、それは俺がこの世で最も弱い存在だからだ」
「言葉遊びをする気は無いわ」
「それが真実だ」
「弱い人間に王級の魔物が従うなんてありえないわ」
「従う、従わない……それは人間が生物の中で最も位が高いのだと言っているのと同じ。生き物なんてみんな兄弟だ。俺が強いのだとすれば、それは使い魔達のお陰でもあるが、俺はあいつらを従わせているワケじゃない。だからあいつらは、俺を信用してついて来てくれる……」
「そんなの、ウソよ……」
「本当だ、それがあんたの召喚士としての器だぞ」
「そう……結局私の納得のいく答えは聞けれなかったわ」
「自分で考えろ」
呆れたように、少女は笑みを零した。
「これから、あなたは何をするつもり?」
「知れたことを……てっぺんに立つ」
「この学園の? あなたの実力は分かったけど、生徒会長だって強いわよ。それに今日の事で、生徒会はあなたを警戒する。無暗矢鱈に動きはしないし、迎え撃つときは万全の体制で。こちらからあなたをどうこうするつもりは、今は無いと思うわ。それと、あなたの排除に学園側が本気で乗り出したら、もうどうしようも無いわよ……?」
「動き出すのは直ぐだ。カードは全て揃っている……」
ジンはくく、と嗤う。
「そうなの……別に今更あなたのやろうとしている事に、横槍入れようとは思わないけど……私はどうしていればいいの……?」
「俺からの指示はない。今まで通り、優等生として過ごしていてくれ」
「そう……」
特に異論も示さず、カレンは短く返事をし、腕を組んで視線を森の奥へ流した。
そしてジンの袖がミノアによりちょんちょんと引っ張られる。
「あの、私はどうすれば……?」
「あんたは、これからも生徒やクラブ、教師側の情報を集めていてほしいが、しばらく休暇をやろう」
「え……? 本当ですか?」
「ああ、本当だ。あんたの仕事はしばらく無くなったんでな。ご苦労、お疲れさん、しばらくの間休んでいてくれ」
「やった……解放された……!」
ジンは解放したワケでは無く、しばらく休んでいてくれと云っただけなのだが、ミノアは大いに喜んだ。しかし、それをわざわざ咎める必要も無いだろうと、微笑ましく見守る。どうせその休暇が終われば、彼女は怒涛の日々に忙殺されることになるのだから。
静まり返った校庭の片隅に、一人の男の笑い声が木霊する。ここには大勢の生徒が居るというのに、誰も口を開かない。
ジンはしばらくの間不気味に嗤い、そして言葉を発した。
「無様だな……ラグナ」
「っぐ……!」
学年主席は、穢れた男を前に息を詰まらせるだけで、何も言えなかった。
「身分階級から弾かれたクズを前に、手も足も手せずに完敗……そんなんで良く学園を正しい姿に導くなんて大見得が切れたものだ……!」
「だ、だまれ……」
ふるふる肩を震わせながら弱弱しく口が開かれた。
その様子にジンは再び笑いが込み上げるのを懸命に堪える。
「お前には人を従える力なんか無いし、何かを変える力も無い。ましてや戦争なんざ……ラグナ。潔くクラブを解散しろ」
ジンの宣告にラグナは睨んだ。
それを引き金にレヴィアタンが威嚇の唸り声をあげる。
「身の程を知れ。そんな器じゃねえんだよ、お前は」
「黙れ……! 竜門会を解散だと……? 誰が貴様の言う事など聞くか!」
「ああ、そうかい……」
「ふざけやがって不可触民が……! 僕は、負けたなどと思っていない!」
「負け犬の遠吠え結構……どちらにせよ、落とし前は必要だ。お前は、多くの勤勉で真面目な生徒をいたぶり、傷つけ、虐げて、迫害した……! それには何の意味も無かった。ただ自身の権力を振りかざしたかっただけの、くそ最低なエゴだ……! 戦いの前に言ったな、俺はお前を潰すと……」
ジンの声は静かで低い。その言葉の奥には怒りと嘆きと優しさが混同し見え隠れしており、ここにいる全てに分からせるような語り口調だった。
「いいや……! いずれ潰されるのは貴様の方だ、アンタッチャブル!」
「ヴィクトリア、やれ……!」
「っは……!?」
ジンが手を下ろすと、ヴィクトリアは大口を開いて、ラグナの体をバクリと一飲み。
――そして、呑み込んでしまった。
驚きの出来事に見物人達は顔を青ざめさせ、それでも恐怖のあまり悲鳴も上がらない。
「何をしているだ、ジン!!!」
バートラムが血相を変えてジンの肩を強く掴んだ。
「安心しろ、殺しはしない」
そう答えてもバートラムの様子は変わらなかったが、何を言われても無視し決め、掴まれた手を振りほどき、ここに居る全員へと向き直る。
「聞け! ここに居るあんたら全員は、俺の存在が許せないだろう。追い出したくて仕方が無い筈だ……俺を追放したいなら、掛かってくるがいい。俺は逃げも隠れもしないし、どんな卑怯な手でも使ってくるがいいさ。俺は正面から迎え撃つ。ただし、覚悟はしておけ……! これはちんけな戦争ごっこなんかじゃない、革命だ。俺は、宣言する……! この学園を作り替える! 身分階級という、他者が決めた価値観を捨て去り、真の実力が評価される、あるべき姿の学園にしてみせる……! そこには、上流だの下流だのの区別はない。気に入らなければ止めてみろ……! 俺は、ことごとくを返り討ちにしてやろう……!」
ニヤリと口角を吊り上げて締めくくった。
不可触民の戯言に、誰も何も答えない。
ラグナが魔物に飲み込まれた光景が頭から離れないのだろう。彼らの記憶にはしっかりと恐怖が植え付けられた。
「……ヴィク、出してやれ」
レヴィアタンは二度三度えづくと、地面に鼻先をくっ付けて、ラグナを吐き出した。
命に別状は無くとも、体中は胃液まみれでべとべとで二枚目が見る影もない。
「がはっ……! かひゅぅっ……!」
ラグナは胸を掻き毟りながら酸素を貪った。少しの間とはいえ、水竜の胃袋の中に納まった恐怖体験は、普段は身だしなみも綺麗な紳士の少年に、多大な精神的損傷を与えたようだ。
身体に傷は無いが、立ち上がる事すら出来ない。がくがくと膝を震わせて、直ぐに転び倒れる。
「ははははははははは……!」
その姿を目の当たりにして、ジンは大いに笑ってやった。
そして再び口を開く。
「俺と戦いたい奴は、こうなる覚悟を決めておけよ……」
これは、見せしめだった。
召喚士としての圧倒的な力を見せつけた後、敗北した時に負うリスクを、ここに居る者全員の脳裏に焼き付けた。歯向かう気すら起こさせないように。
それは、しっかりと彼らの心の中に根を張り、取り除く事も出来ない。
その証拠にジンと目を合わせようとするものは居なかった。誰もが俯き唇を噛む。ラグナが地べたに這いつくばっているというのに、竜門会のメンバーは誰一人として、手を貸しに来ることは無かった。
実質、竜門会は解散したも同然だった。
それを理解してラグナは額を地面に擦りながら自嘲気味に笑った。
「あはは……そうか……そうか……」
貴族の子に生まれ社会のトップに立つ少年。更には召喚士としての腕も一流の学年主席は、胃液と泥に塗れてどろどろだ。
いつも見下していた不可触民に見下され、立場が逆転している。
「それが、君の、本当の姿というワケだ……!」
腕を突っ伏し、震える膝に鞭を打ち、無理やりに立ちあがった。
そして、ジンを睨みつけ、口を開く。
「覚えたよ、ジン……! 君の名前は生涯忘れる事が出来ないだろう。この僕に初めて黒星をつけ、汚辱と屈辱と恥辱を塗りたくった男だ……! この恨みは決して忘れない! そして、覚えておけ! 君は必ず、僕が、潰す……! ラグナ・エンリの名に懸けて! 覚悟をしておくんだ、君の時代が長く続くことは無い……! 潰す、僕が……! 忘れるな、ジン!」
ジンは静かに嗤った。
◇
終わってしまえば熱気が冷めるのも早かった。
ジンは小屋の庭先で焚火を見つめながら座り、空いた小腹を満たす為にベーコンを串に刺して温めて頬ばるが、旨いのか、そうでも無いのか良く分からなかった。
「何だが、妙に惚けてますね……」
コーヒーカップを両手で傾けるミノアがジンに問いかけるも、気だるそうに眼を向けて答えるのも億劫だった。
「うん……なんというか、一気に燃え上がったから、その反動で、一気に疲れが来たというか、一段落して安心した、というか……」
思考も纏まらないままに歯切れの悪い言葉が散文で出てくるだけだ。
まだまだやらなければならない事も沢山ある。
革命は始まったばかりで多くの敵を作ったし、気を緩めるわけにはいかないのだが、どうもやる気が起きない。
「そ、そうですか……それで、私の写真の事なんですが……」
「まだ返す訳にはいかない」
「ですよねー、分かってたんですよ?」
少し気が緩んだとは云え、それは計画が順調に進んでいる証でもある。
一晩経てばいつも通りに戻ってくれるだろう。
それは激動の日々の始まりでもあるから、今だけは気持ちを休ませていたい。
それでもミノアと合流したのは、最終の打ち合わせをしたかったからだ。
「それで、今日で確実にジン君は学園中を敵に回しましたよ? 生徒会からは完全に目を付けられましたし、他のクラブや、それにラグナ君もあの様子ならばまた牙を向いて来るでしょう……そんな人たちが一斉に向かってきたら、いくらあなたでも太刀打ちできないんじゃないですか?」
「その為に恐怖を植え付けた。少なくともしばらくの間は警戒されるだろうが、手は出されないだろう」
「あ、ラグナ君にした事、あれは教師としては見過ごせません! 今後あんな、命を脅かすようなことはしないで下さい!」
「絶対に殺さない自信があったからこそやった。それに、あんたに教師面されると無性に腹が立つな……どの口が言っているんだと思ってしまう。いたいけな少年を毒牙で蝕んておいて……」
「ま、また蒸し返すんですか……? だからもうやってないじゃないですか……! その毒牙は虫歯になったので抜きました!」
「そういえば、あんたお気に入りの少年が、あんたに会いたがっていたぞ?」
「本当ですか!?」
「嘘に決まっているだろ、毒蛾野郎め。俺に面識があると思うか?」
嬉しさを満面に表したかと思うと、直ぐに落胆した。「ひどい……」と恨めしそうに零す。もうしばらくジンが弱みを握ったままでいないと、この女は懲りずに件の少年にイタズラをしそうだ。
味のしないベーコンを食べ終え、残された木串を弄んでいると、枝の弾ける音が聞こえた。焚火の中からではなく、森の暗闇の中から。
「よお……来るだろうと思っていたぞ」
「………」
闇の中から、同じように闇色をした髪を揺らして現れるカレンに挨拶を送るが、冷たさと警戒を含んだ視線が返されるだけで言葉は返されない。
「大体の要求と、あんたの言いたいことは分かっている……でも残念、あんたを手放すつもりも無いし、というか、その事に意味は無い」
「そう……全部あなたのお見通し、計画通りってことね……」
「そういう事だ」
「あの、どういう事ですか?」
事の次第を知りたそうにミノアが首を傾げた。
「先生同様、彼に私を解放してもらうように頼みに来たのです。でも、それは私の予想通り叶いませんでしたけど」
「というか、俺はお前に何も要求していなければ、何も指示していない。ただ今まで通りいつも通り学業と生徒会活動に従事し、青春を謳歌していろと、至極当たり前な事を言っただけだ。それで開放も何もないんだよ」
「あなたに、関わってしまった時点で、私の運命は決まっていたというワケね……」
「そういう事だ……」
カレンは拳を握り締めて悔しさを表現し、ジンは「話が早くて助かる」と口元を綻ばす。
「では、色々と教えてちょうだい。あなたは今日のこの結果、何処までを予想していたの?」
「その質問も含めて、全部だ」
ジンが淡泊に答えるとカレンは息を詰まらせた。
「ラグナが下流生狩りをする事、下流生を人質に俺を排除しようとする事、生徒会が動き出し、あんたが処理人として立ちはだかる事、そして負ける事、俺が奴を叩きのめす事、それによる周りの奴らの反応……全部だ、可能性としてはその他にもいく通りかのパターンはあったが、今日起きたことはその可能性が現実になっただけで、全て予想通りと云える」
「ふふ、ふ……私がラグナに負ける事も予想通りなんて、ね……」
「ああ、それに関しては確信があった」
堪え切れなくなったカレンが声を荒げる。
「確信ですって!? 私とラグナとの間に、実力の差はほぼ無かった筈……! 今日私が敗北したのは、ただの運! 私にもどうしようも無い力が働いただけのことよ! それを確信があったですって!」
「ああ、そうだ……! ケルベロスに見限られる程度の召喚士が、あの男に勝てるワケが無い。その確信があった……!」
「……っ!」
カレンは言葉を詰まらせたが、ジンは止めの一撃とばかりに言葉を放つ。
「運、だと言ったな……あんたが負けたのは運のせいで、自分でもどうしようも無かったと……それならば、あんたは一生どうしようも無い人間のまま、召喚士として底辺のままであり続けるだろう。あんたがラグナに負けたのは、単純に技量と召喚士としての器だ」
「ラグナの方が、私よりも優れていると……?」
「遥かにな。あいつは考え方が少々過激なだけで、召喚士としては既に一流の域に片足を突っ込んでいる」
カレンは何か言いたげだったが、逡巡した挙句、拳を解いて柔らかく口を開いた。
「それでもまだ一流じゃないのね……」
「一流の召喚士ってのは俺みたいな奴だ」
「言うわね……」
ついに、優等生の少女は黒真珠のように潤んだ瞳から、涙を零した。
「あんたは泣いてばっかだな……」
「泣いてなんか、ないわよ……!」
赤らんだ頬を隠すようにそっぽを向く。しかし、袖で目元を拭う姿は隠しようがなかった。
「でも、ほんと、ぜんぶ……あなたの言う通りよ。自分でもそんな事分かり切っていた筈なのに、確かめずにはいられなかったのね、きっと……」
背中を震わせるカレンに、ミノアがそっと近寄った。少女もそれを受け入れ女教師の腕をとる。
「別にそこまで悲観する事じゃ無い。この学園は世界一の召喚士養成学校とか謡いながら、8割はボンクラだ。あんたもそのボンクラの一人だったってだけだ」
「もう! 泣いている女の子に向かってその言い方は無いぞ!」
「先生、泣いて無いです……」
ミノアの抗議には耳を傾けず、ジンは続きを語る。
「召喚士の技量なんてのは、磨けばどうとでもなる……あんた、人としてはめちゃくちゃ優秀だよ」
「えっ……?」
思いもよらぬ言葉だったのか、驚いたカレンは面を上げる。涙は流れていなかったが、目は少し赤くなっていた。
「俺みたいに壊れても無いし、そうやって自分と真剣に向き合い、俺にムキになって怒り、己の弱さを痛感し反省する……それは案外難しい事だ。それが出来る奴は強くなる……なぜなら、そうやって失敗して、敗北して、学びを得る事を成長と呼ぶからだ。成長出来る人間は、強い……」
ジンがいつものように口端を上げて嗤ってやると、カレンはポカンと面食らっていた。
「驚いたわ……あなたも人を褒めるのね……」
「いつも褒めているだろう」
「いつも見下しているじゃない」
「何を言ってやがる、いつも見下されているのは立場上、俺だろう……?」
「そうか、そうね……」
ようやく優等生は純粋に笑った。
「ねえ、教えて……あなたはどうしてそんなに強いの?」
カレンの心からの疑問にジンは顎に手を置いてしばし考え、星の光に輝く夜空を仰ぎ、答えた。
「もし、俺が強いのだとすれば、それは俺がこの世で最も弱い存在だからだ」
「言葉遊びをする気は無いわ」
「それが真実だ」
「弱い人間に王級の魔物が従うなんてありえないわ」
「従う、従わない……それは人間が生物の中で最も位が高いのだと言っているのと同じ。生き物なんてみんな兄弟だ。俺が強いのだとすれば、それは使い魔達のお陰でもあるが、俺はあいつらを従わせているワケじゃない。だからあいつらは、俺を信用してついて来てくれる……」
「そんなの、ウソよ……」
「本当だ、それがあんたの召喚士としての器だぞ」
「そう……結局私の納得のいく答えは聞けれなかったわ」
「自分で考えろ」
呆れたように、少女は笑みを零した。
「これから、あなたは何をするつもり?」
「知れたことを……てっぺんに立つ」
「この学園の? あなたの実力は分かったけど、生徒会長だって強いわよ。それに今日の事で、生徒会はあなたを警戒する。無暗矢鱈に動きはしないし、迎え撃つときは万全の体制で。こちらからあなたをどうこうするつもりは、今は無いと思うわ。それと、あなたの排除に学園側が本気で乗り出したら、もうどうしようも無いわよ……?」
「動き出すのは直ぐだ。カードは全て揃っている……」
ジンはくく、と嗤う。
「そうなの……別に今更あなたのやろうとしている事に、横槍入れようとは思わないけど……私はどうしていればいいの……?」
「俺からの指示はない。今まで通り、優等生として過ごしていてくれ」
「そう……」
特に異論も示さず、カレンは短く返事をし、腕を組んで視線を森の奥へ流した。
そしてジンの袖がミノアによりちょんちょんと引っ張られる。
「あの、私はどうすれば……?」
「あんたは、これからも生徒やクラブ、教師側の情報を集めていてほしいが、しばらく休暇をやろう」
「え……? 本当ですか?」
「ああ、本当だ。あんたの仕事はしばらく無くなったんでな。ご苦労、お疲れさん、しばらくの間休んでいてくれ」
「やった……解放された……!」
ジンは解放したワケでは無く、しばらく休んでいてくれと云っただけなのだが、ミノアは大いに喜んだ。しかし、それをわざわざ咎める必要も無いだろうと、微笑ましく見守る。どうせその休暇が終われば、彼女は怒涛の日々に忙殺されることになるのだから。
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