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第79話 仏前結婚式、三
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本堂では雅楽の生演奏が続いている。
先輩は、俺の影武者として参列席に座っているだろう。
あれ、額の皺でバレてるかもしれねぇな。
『気付くに決まっておろう』
「だよな。ま、行くか」
『うむ』
俺は化け狐と一緒に本堂へと戻る。
皆合掌はしているが、入堂した俺に視線が集まる。
少々戸惑った様子の新婦側の親族とは対照的に、先輩は物凄く愉快で楽しそうな表情をしている。
きっと俺がいる筈の席にいる先輩を見た時の永空の顔が、よっぽどお気に召したのだろう。
本尊の前に座っている新郎新婦の前に出ると、永空がキッと俺を睨んだが、白無垢を着た美香の方は何でもないって表情出頷く。
普通であれば多少なりとも驚きそうなものだが、美香はこの場において共犯者なので、驚いていないのも当然だ。
元より素材の良い地味系美人顔だが、眼鏡を外して白粉と赤い口紅で化粧をした姿は、誰が見ても和風美人と思わせるぐらいの魅力がある。
うちの息子は、よくこんな美人を掴まえたもんだ。
本尊の前に座って開式を宣言したら、雅楽の音色が止まり、啓白文を唱える。
啓白文は日付から始まって本尊、開山、両家の先祖への結婚式の報告。
あれ?永空の先祖って半分はベナン人じゃね?
ベナン人じゃなかったとしても、周辺のアフリカ諸国の可能性が高いよな。
ブルキナファソ人とかだったら、日本語で経唱えて理解出来るかな?
『余計な事を考えずに集中しろ』
了解。
後日永空には、先祖向けにアフリカ式の結婚報告をする様に言っておこう。
啓白文から経に移行して、普段通りに経を唱える。
この辺は息子の結婚式だからといって、気持ちを入れても仕方がない。
寧ろ無心になって経を唱えて、、、終了した。
この見事な無心ぶりは、寝ながら経を唱えていた日々の積み重ねと言って良い。
経が終わってから新郎新婦の焼香があり、これは本尊に向けての挨拶の意味がある。
永空は何らボケずに焼香を終えた。
仏前式には念珠の授与がある。
事前に供養しておいた念珠を永空と美香に渡し、二人で寺を守っていくと誓いを立てる。
永空の念珠は菩提樹だが、美香の方はローズクォーツで出来ている。
本人達が選んだ物なので、特には何も言わない。
念珠の授与の前後で結婚指輪の交換が行われる場合もあるんだが、今回の仏前式ではやらないと永空から聞かされている。
ジューンブライドを気にするなら、指輪の交換ぐらいやれば良いのでは、と思わなくもないが、本人達が決めた事だからな。
これについても、周りがとやかく言う必要は無いだろう。
御神酒を使った三三九度は、流石に坊主だけあって永空が見事にリードして進め、両家の盃の儀は、先輩が出張って進行した。
先輩も少しは目立ちたかったのかもしれない。
ここまで来れば、後は俺からの垂訓だ。
どれ、敬虔で経験豊富な俺から有難いお言葉でも掛けるとしよう。
先輩は、俺の影武者として参列席に座っているだろう。
あれ、額の皺でバレてるかもしれねぇな。
『気付くに決まっておろう』
「だよな。ま、行くか」
『うむ』
俺は化け狐と一緒に本堂へと戻る。
皆合掌はしているが、入堂した俺に視線が集まる。
少々戸惑った様子の新婦側の親族とは対照的に、先輩は物凄く愉快で楽しそうな表情をしている。
きっと俺がいる筈の席にいる先輩を見た時の永空の顔が、よっぽどお気に召したのだろう。
本尊の前に座っている新郎新婦の前に出ると、永空がキッと俺を睨んだが、白無垢を着た美香の方は何でもないって表情出頷く。
普通であれば多少なりとも驚きそうなものだが、美香はこの場において共犯者なので、驚いていないのも当然だ。
元より素材の良い地味系美人顔だが、眼鏡を外して白粉と赤い口紅で化粧をした姿は、誰が見ても和風美人と思わせるぐらいの魅力がある。
うちの息子は、よくこんな美人を掴まえたもんだ。
本尊の前に座って開式を宣言したら、雅楽の音色が止まり、啓白文を唱える。
啓白文は日付から始まって本尊、開山、両家の先祖への結婚式の報告。
あれ?永空の先祖って半分はベナン人じゃね?
ベナン人じゃなかったとしても、周辺のアフリカ諸国の可能性が高いよな。
ブルキナファソ人とかだったら、日本語で経唱えて理解出来るかな?
『余計な事を考えずに集中しろ』
了解。
後日永空には、先祖向けにアフリカ式の結婚報告をする様に言っておこう。
啓白文から経に移行して、普段通りに経を唱える。
この辺は息子の結婚式だからといって、気持ちを入れても仕方がない。
寧ろ無心になって経を唱えて、、、終了した。
この見事な無心ぶりは、寝ながら経を唱えていた日々の積み重ねと言って良い。
経が終わってから新郎新婦の焼香があり、これは本尊に向けての挨拶の意味がある。
永空は何らボケずに焼香を終えた。
仏前式には念珠の授与がある。
事前に供養しておいた念珠を永空と美香に渡し、二人で寺を守っていくと誓いを立てる。
永空の念珠は菩提樹だが、美香の方はローズクォーツで出来ている。
本人達が選んだ物なので、特には何も言わない。
念珠の授与の前後で結婚指輪の交換が行われる場合もあるんだが、今回の仏前式ではやらないと永空から聞かされている。
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これについても、周りがとやかく言う必要は無いだろう。
御神酒を使った三三九度は、流石に坊主だけあって永空が見事にリードして進め、両家の盃の儀は、先輩が出張って進行した。
先輩も少しは目立ちたかったのかもしれない。
ここまで来れば、後は俺からの垂訓だ。
どれ、敬虔で経験豊富な俺から有難いお言葉でも掛けるとしよう。
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