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第53話 有難いあやかし達
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俺は山に暮らし始めてから、不便と感じた事は殆んど無い。
いや、買い物がほぼネットショッピングになっていて、自宅まで配送してくれないのは不便と言えば不便だが。
それは私有地として持っている山に暮らしていれば、俺じゃなくても皆変わらないのではないかと思う。
どうして俺が山での暮らしを快適に過ごせているのかと考えた時に。
地味かもしれないが一番大きいのは、人魂や鬼火の存在ではないかと思う。
こいつらがいるといないでは、快適さに雲泥の差が出る事だろう。
人魂や鬼火。
宙に浮いている火の玉のあやかしだが、あいつらは火として周囲に影響を与える事も出来るし与えない事も出来る。
説明が難しいが、松明にもなれるし電球にもなれるようなイメージだ。
電球で物が燃える事もあるかもしれないが。
要するにだ。
部屋や外を照らす灯りとしても活躍するし、暖房としても活躍する。
煮炊きにも使えるし、ライター代わりとしても使える。
山で生活するのに、こんなに有難いあやかしは中々いないだろう。
一つ難点を言えば、時々張り切り過ぎて火力が上がるので、圧倒的にガスコンロの方が安定している事だろうか。
それでも焚火と比べれば、全然安定している。
水の中でも消えたりしないので、最近は風呂を沸かすのも任せてしまっている。
最近思い付いたんだが、燃やさずに温める事が出来るんなら、冬は服の中に入れてカイロの代わりにするのも有りかもしれない。
絵面的には物凄く危険行為丸出しに見えるだろうが。
今年の冬に一度試してみるとしようか。
『止めておけ』
「あ、やっぱり危ない?」
化け狐に止められたので、今冬の実践投入は見送りとしよう。
人魂と鬼火の優秀さは別格だが、地味に垢舐めの存在もでかい。
あいつは俺が風呂に入る時にも、延々と風呂場にいる。
だから初めは気になったのだが、見慣れてしまえばどうという事もない。
白蛇っぽい見た目の少女が、長い舌で壁や床や浴槽を舐めている。
ただそれだけだ。
それこそ一日中舐めているので、我が家の風呂は常にピッカピカ。
気持ちが良いぐらいの清潔さだ。
時折石鹸を舐めて苦そうな顔をするのも愛嬌があるし、舌を水で洗ってから舐めるのを再開するのも面白い。
年を取ると風呂掃除ってのは中々に面倒なものだ。
腰を曲げて浴槽の掃除をするのは、結構体に堪える。
そんな風呂掃除を一手に引き受けてくれる垢舐めは、一家に一人居付いて欲しいあやかし、と言っても過言では無いだろう。
あやかし慣れしていない人間からしたら、恐怖でしかないだろうけどな。
そこに当たり前にいるからこそ、普段は目立たない垢舐めに感謝を伝え、人魂と鬼火にも礼を言おうと思って屋敷から出たら、空に黄金に輝く光の玉があった。
あいつはあれだな、ディスコのミラーボールにしたら喜ばれるんではなかろうか。
縁起が良さそうなので、金の鯱みたく屋根に引っ付いてて貰う事にして。
人魂と鬼火を集合させて慰労と感謝の気持ちを伝えた。
いや、買い物がほぼネットショッピングになっていて、自宅まで配送してくれないのは不便と言えば不便だが。
それは私有地として持っている山に暮らしていれば、俺じゃなくても皆変わらないのではないかと思う。
どうして俺が山での暮らしを快適に過ごせているのかと考えた時に。
地味かもしれないが一番大きいのは、人魂や鬼火の存在ではないかと思う。
こいつらがいるといないでは、快適さに雲泥の差が出る事だろう。
人魂や鬼火。
宙に浮いている火の玉のあやかしだが、あいつらは火として周囲に影響を与える事も出来るし与えない事も出来る。
説明が難しいが、松明にもなれるし電球にもなれるようなイメージだ。
電球で物が燃える事もあるかもしれないが。
要するにだ。
部屋や外を照らす灯りとしても活躍するし、暖房としても活躍する。
煮炊きにも使えるし、ライター代わりとしても使える。
山で生活するのに、こんなに有難いあやかしは中々いないだろう。
一つ難点を言えば、時々張り切り過ぎて火力が上がるので、圧倒的にガスコンロの方が安定している事だろうか。
それでも焚火と比べれば、全然安定している。
水の中でも消えたりしないので、最近は風呂を沸かすのも任せてしまっている。
最近思い付いたんだが、燃やさずに温める事が出来るんなら、冬は服の中に入れてカイロの代わりにするのも有りかもしれない。
絵面的には物凄く危険行為丸出しに見えるだろうが。
今年の冬に一度試してみるとしようか。
『止めておけ』
「あ、やっぱり危ない?」
化け狐に止められたので、今冬の実践投入は見送りとしよう。
人魂と鬼火の優秀さは別格だが、地味に垢舐めの存在もでかい。
あいつは俺が風呂に入る時にも、延々と風呂場にいる。
だから初めは気になったのだが、見慣れてしまえばどうという事もない。
白蛇っぽい見た目の少女が、長い舌で壁や床や浴槽を舐めている。
ただそれだけだ。
それこそ一日中舐めているので、我が家の風呂は常にピッカピカ。
気持ちが良いぐらいの清潔さだ。
時折石鹸を舐めて苦そうな顔をするのも愛嬌があるし、舌を水で洗ってから舐めるのを再開するのも面白い。
年を取ると風呂掃除ってのは中々に面倒なものだ。
腰を曲げて浴槽の掃除をするのは、結構体に堪える。
そんな風呂掃除を一手に引き受けてくれる垢舐めは、一家に一人居付いて欲しいあやかし、と言っても過言では無いだろう。
あやかし慣れしていない人間からしたら、恐怖でしかないだろうけどな。
そこに当たり前にいるからこそ、普段は目立たない垢舐めに感謝を伝え、人魂と鬼火にも礼を言おうと思って屋敷から出たら、空に黄金に輝く光の玉があった。
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